ケーススタディー

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賃貸中の建物を知らない人が利用していた・・・占有移転禁止仮処分について(弁護士 岩村智文)

2017年10月24日 火曜日

 飲食店に建物を貸していたAさん、数か月家賃の支払がなかったので、店を訪ねたところ、借り主であったBさんではない、Cさんが店の営業をしていた。驚いたAさんがとるべき法的手立ては何か、ということを考えてみましょう。

  Aさんとしては、家賃も払わずに行方をくらましたBさん、貸してもいないCさん両名に建物を明け渡してほしい、ということで当事務所に相談に来られました。  この場合、借り主であるBさんには、家賃不払いと又貸しを理由に、建物を占拠して営業しているCさんに対しては権限のない使用を理由に明け渡しを求めて裁判所に訴えることができます。また、Bさんには明け渡すまでの、Cさんには営業期間中の家賃(家賃相当額の金額)を請求できます。

  ところで、裁判所にB,C両氏に対し、明け渡しや家賃の請求を求める前にやっておかなければならないことがあります。それはCさんが裁判所の判決が出る前に他人(例えばDさん)に店の営業を譲ってしまうことに対する対策です。もし、判決前にCさんがDさんに譲ってしまっていたとするとB,C両氏に対する勝訴の判決を得たとしても、その判決でDさんに出て行け、といえないからです。ですからそうした危険を防ぐために「Cは、建物に対する占有を他人に移転し、または占有名義を変更してはならない。」などという内容の仮処分決定を裁判所から訴訟前に得ておかねばなりません。占有移転禁止の仮処分というものです。この仮処分には保証金(裁判が終われば返ってきます)が必要ですが、仮処分を得ておくと判決までに営業主体が次々に変わろうと判決を得れば営業している人が誰であろうと裁判所の力で明け渡しを求めることができます。Aさんの保証金は滞納家賃の2割の70万円でした。

  当事務所では、行方の分からないBさんに対する訴訟の手立てもしっかり立て、Bさんに対する占有移転禁止の仮処分を得て訴訟を起こし、無事解決しました。

投稿者 川崎合同法律事務所

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