2019年7月27日 土曜日
山口毅大弁護士の記事が弁護士ドットコムニュースに掲載されました。
山口毅大弁護士の「短時間パートだけ、今年から「手当カット」 これってあり?」の記事が弁護士ドットコムニュース(yahoo!ニュースでも配信) に掲載されました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00009912-bengocom-life&pos=5
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|2019年7月4日 木曜日
日本通運川崎支店 無期転換逃れ地位確認訴訟(弁護士 川岸卓哉)
本件は、有期労働契約を5年を超えて更新した場合に無期転換申込権を認める、いわゆる労働契約法18条「無期転換ルール」逃れに対する裁判です。原告は、日本通運川崎支店で派遣社員の事務職を経て、2013年より、日本通運株式会社に、1年契約更新の有期労働契約で直接雇用されました。その後、契約更新は4回されましたが、無期転換申込権が発生する通算契約期間5年のわずか1日前、2018年6月末日をもって、期間満了による雇止めされました。これに対し、雇い止め無効を主張し、横浜地方裁判所川崎支部に提訴しました。全国で、本件と同様の会社の無期転換逃れを争う裁判が提訴・係争され、今後、各地の裁判所の判断により、労働契約法18条に関する新たな労働法理が創出されていくことが想定されます。本件裁判の帰趨も、広く有期労働契約労働者の将来も左右する結果となります。契約書の形式的契約文言の壁を事実と道理に基づく主張で突破してきた歴史が、有期契約の労働者を救済する判例法理形成の歴史。新たな判例法理を作り出すため、全力を尽くす決意です。ご支援お願いいたします。
訴訟支援の署名に、ご協力を御願いします。
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|2019年7月1日 月曜日
最低賃金引き上げの実現を(弁護士 川岸卓哉)
日本の最低賃金は極めて低額である。最高の東京が時給985円、最低の鹿児島で761円、全国平均876円。労働時間平均月154時間(毎月勤労統計)を前提とした場合、時給1000円で154時間働き、そこから公租公課や勤労必要費用を引くと、10.7万円ほどにしかならない。他方で、生活保護費(生活扶助と住宅扶助の合計)は、東京23区で13.7万円、函館市で11万円である。すなわち、現在の最低賃金は、生活保護制度が想定する「健康で文化的な最低限度の生活」にも届かない異様に低いものとなっている。
では、人が生活するにはいくらの最低賃金が必要なのだろうか。全国で単身世帯がふつうに生活するのに必要な賃金月額のミニマムは、22万から24万円におさまっている。これを時給換算すると、1500円前後となる。標準的生活の下限(ミニマムスタンダード)には、時給1500円は必要ということになるが、遠く及ばない。
日本の最低賃金が低い背景には、男性正規労働者中心の日本型雇用慣行があった。世帯主である男性正規労働者の年功賃金が家計収入の柱とされる一方、主婦パート、学生アルバイトなど非正規労働者には、あくまで家計補助としての最低賃金が適用がされてきた。しかし、今、このような日本型雇用は解体、縮小し、正社員の低賃金化し、非正規労働者が増加するなかで、最低賃金プラスα以内の賃金の人々が増加。結婚し子どもを育てることが困難となっている。このような、低賃金労働者の生活下支えのために、最低賃金が従来よりも大きな意味を持つようになってきているのである。
アメリカでは、2012年から、ファーストフードで働く労働者が時給15ドルを求めるストライキを起こした。時給15ドルは、米国連邦最低賃金の倍以上の金額であり、実現は不可能に思われたが、ワシントン州シアトル市では州最低賃金15ドルが実現した。これが広がり、2011年から2016年の間に、30を超える自治体で、州・市の最低賃金を15ドルに引き上げる成果につながっている。900万人の労働者に影響を与え、米国史上最大の賃上げとなった。
日本でも、最低賃金1500円をめざす市民運動が生まれている。その中心団体であるAEQUITAS(エキタス)は、2011年の福島原発事故以後、反原発、反ヘイトスピーチ、反安保法制など、さまざまなイシューの運動が路上で展開せれてきたなかで、「貧困や劣悪な労働環境によってすでに壊されている日常を平和にする運動」が必要と感じていたメンバーが、アメリカの運動からヒントを得て結成。2015年以降「生活を守れ!上げろ最低賃金デモ」を新宿などで行っている。デモの街頭での反応はよく、ネット上で「#最低賃金1500円になったら」とアンケートを行った際にも、多数のアンケートが寄せられている。貧困と劣悪な労働環境の広がりは、労働者のあいだに大きな不満を形成する土壌となり、最低賃金1500円の実現は、これらの労働者の生活を抜本的に改善するため、広範な人々にとって魅力的なものとなっている。このような労働者の動きは、政治にも影響を与えた。2019年7月の参議院選挙でも、各野党が最低賃金の引き上げ(1300円~1500円)を政策として掲げ、争点となった。最低賃金の大幅な引き上げには、中小企業の経営に大きな影響を与えることが予想される。最低賃金の大幅な引き上げが困難な中小企業のために、韓国などを参考に社会保険料の減免措置や補助金制度等の政策も必要である。日本でも、市民の動きで政治を動かし、誰もが1日8時間働いて普通に暮らせる社会とするため、最低賃金引き上げの実現を目指すべきである。
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