Q&A
知っておくと安心!初回の調停で気をつけること(弁護士 川口彩子)
2023年11月8日 水曜日
川口彩子弁護士については、こちらをご覧下さい。
はじめての調停
調停の申立てをすると、1か月後くらいに期日が設定され、裁判所に行く日が決まります。弁護士がついている場合も、ついていない場合も緊張しますよね。
今回は、初回の調停のイメージをご紹介します。
服装
ふだんの服装で大丈夫です。普段着でもスーツでも可です。スーツを着用していないからといって不利にみられることはありません。
待合室
待合室は、申立人待合室と相手方待合室に分かれており、それぞれ離れたところにあります。ただ、同じフロアにあることも多いので、相手と顔を合わせたくない場合は時間をずらすなどして早めに待合室に入るようにするとよいでしょう。
呼出時間になると調停委員が呼びにきます。最近は個人情報保護のため、事件番号で呼ばれることが多いです。あらかじめ自分の事件番号を確認しておきましょう。
調停委員会
男女の調停委員と裁判官の3人が、調停委員会を構成し、あなたの調停を担当します。部屋にいるのは調停委員だけですが、裁判官も事前事後に報告を受け、適宜、調停委員と相談しながら案件を進めていきます。
調停委員は、裁判官ではありません。研修を受けた民間の方が調停委員を務めています。法律上調停委員は40歳以上と定められていますが、60代~70代の方が多いイメージです。家事調停の場合は、男性と女性が1人ずつ調停委員として担当します。原則として、案件が終わるまで同じ調停委員が担当します。
調停室
待合室で呼ばれると、調停委員が調停室まで案内してくれます。代理人として弁護士がついている場合は一緒に調停室に入れますが、弁護士以外は調停室に一緒に入ることはできません。(通訳が必要な事件の通訳さんは別)
調停委員と向かい合って座ると、最初に本人確認をされることが多いです。免許証等を持参しておくと安心です。
本人確認が終わると、調停委員の自己紹介、調停のガイダンスにうつります。ガイダンスでは、調停委員には守秘義務があること、当事者も録音録画等は禁止されていること、調停の仕組みや話し合いがまとまった場合などについての説明があります。
調停のしくみ
調停では、申立人と相手方とが同じ日に呼ばれますが、原則として顔を合わせることはありません。初回の調停では、まず申立人のほうから話を聞かれます。20分~30分で交代となり、元の待合室で待っていてくださいと言われます。申立人が待合室に戻ると、相手方が調停委員から調停室に呼ばれます。そこで、調停委員の方から、適宜、申立人の主張を相手方に伝え、相手方の意見を聞かれます。相手方の方も20~30分で交代となり、元の待合室に戻るよう言われます。その後、再度、申立人が呼ばれ、相手方の主張を教えてもらいます。
このように、調停では伝言ゲームのように話が進みます。調停で相手に会えるかもと期待している方もいらっしゃるかもしれませんが、上記のとおり原則として、相手と直接話をする場面はありません。
初回の調停ではそれぞれ平等に20分~30分かけて話を聞いてくれますが、回数を重ねてだんだん調停が煮詰まってくると、どちらか一方当事者の話が長くなることもあります。解決のために必要な時間ですので、ご了承ください。
調停のときに注意すること
(1)自分ばかり話さない
上記のとおり、調停では20分~30分をめどに交代し、元の待合室に戻らなければなりません。この時間でお話しできることは限られています。家事事件だと、どうしてもいろいろな経緯がありますから、説明しようとすると長くなるのはやむを得ないことではあります。ですが、それをできるだけコンパクトにまとめ、調停委員とできるだけコミュニケーションを取ることが重要になります。調停委員も時間を意識しながら調停を運営しています。こちらが話したい話ばかりしていると、調停委員が聞きたいことが時間内に聞けずにイライラしてしまいます。調停委員からの質問に端的に答えていけば、調停委員として関心をもったこと、重要と考えている点をたくさん質問してくれて、理解を深めてもらえます。ぜひ、調停の際は、質問に端的に答えることを心がけてください。
(2)調停委員は相手の味方というわけではない
自分のターンが終わって相手のターンとなり、再度調停室に呼ばれます。そのときに、調停委員は相手が話した内容を伝えてくれます。
ここで陥りがちなのは、調停委員から「相手は〇〇と言っていましたよ」と言われると、まるで調停委員が相手の言い分を信じてしまい、相手の側についてしまったかのように感じてしまうことです。しかし調停委員は、ただ単に相手が言ったことを伝えているだけなのです。悪気はありませんから、変に落ち込んだり、疑心暗鬼にならないようにしましょう。
また、調停委員が伝えてくれる相手の言い分に対して、逐一その場で反論をしてしまうと話が脱線したり、進まなくなってしまいます。調停委員が相手の言い分を伝えているときは、まずは黙って全部聞き、話がひととおり終わったところで反論するようにしましょう。
初回調停の終わり
調停の初回は、相手の言い分を把握したくらいのところで終わります。本格的なすり合わせは次回以降になることが多いです。あまり進まなかったと感じるかもしれませんが、まずは第一歩を踏み出せたことが重要です。
次回の調停は、ひと月からひと月半後くらいになります。次回の日程は、調停の日に全員の予定をすり合わせて決まります。弁護士がついている場合は、今回の調停の結果をふまえ、よく打ち合わせをして次回に臨みましょう。
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