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結審・判決迎える建設アスベスト訴訟/西村 隆雄 2011.9

2016年8月17日 水曜日

長年にわたって建設作業に従事してきた労働者が、建設現場で吸い込んだアスベストによって肺ガン、中皮腫、石綿肺などを発病したとして、国、アスベスト建材製造メーカーを相手どって損害賠償を求めた建設アスベスト訴訟が、来年1月13日に横浜地裁でいよいよ結審を迎え、来春には判決言渡しのはこびとなってきました。

 アスベスト(石綿)は、綿のように柔らかな天然鉱物で、断熱性、耐火性、絶縁性などに優れ、極めて廉価であることから、「奇跡の鉱物」ともてはやされ、全面使用禁止となった2006年までに約1000万トンが輸入され、その約7割が建設材料に使用されてきました。アスベストは微細な繊維で、一旦吸収すると自力で排出することができず体内に留まり続ける発がん性物質で、肺ガン、中皮腫・石綿肺などを引きおこします。これらのアスベスト関連疾患は、いずれも有効な治療法がなく、治癒の見込みがないため、いったん発病した患者には悲惨な死が待ち受けているのが特徴です。また、発病までの潜伏期間が10年から長くは50年と極めて長期であるのも特徴で、使用のピークからみて、今後10年にぼう大な被害者が出現する危険性が言われています。

 裁判では、学者の証人尋問によって肺ガンについては1955年、中皮腫を含めても1964年に医学的知見が確立しており、この時点で「使用禁止」にすべきてあったこと、そして国はアスベストの危険性を十分に知っていながら、建築基準法の耐火構造等にアスベスト建材を指定、認定するという積極的な加害行為によってアスベスト被害を蔓延させてきたなどを明らかにしてきました。

 建設アスベスト訴訟は、横浜地裁と東京地裁の首都圏訴訟が先行してきましたが(東京も来年結審・判決)、本年札幌、京都、大阪で新たな提訴がなされ、さらに九州でも提訴準備が進んでいます。

 こうしたたたかいの広がりをふまえて、私たちは、横浜、東京での地裁勝訴判決に際して控訴断念を求めるたたかいをいどみ、政府・国会に対する働きかけを強めて、全国の建設アスベスト被害者を救済する基金制度の創設をかちとっていきたいと思っています。公正判決要請署名をはじめとして、ご支援のほどよろしくお願いします。

投稿者 川崎合同法律事務所

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