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知っていますか?自民党改憲草案が目指す国の在り方/ 川岸 卓哉 2013.7
2016年8月17日 水曜日
自民党が発表した改憲草案を知っていますか。憲法は、国の最高法規です。ですので、憲法に反する政府の行為や、国会の作った法律はすべて違憲無効となります。憲法は、まさに国の在り方を決める、国にとって一番大事な法です。自民党改憲草案には、自民党が考える、将来の国の在り方が表れます。以下、自民党改憲草案のポイントをご紹介します。
①国民の服従を強いる天皇制へ
自民党改憲草案は、天皇の元首化、君が代、日の丸、元号を憲法上制定するなど、天皇を国民の上に君臨する存在としています。これは、国の在り方は独裁者ではなく、私たち国民ひとりひとりが決めるという「国民主権」に反する内容です。
②戦争をする国への転換
現行憲法では、前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。」9条2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と、平和主義、戦争放棄を定めています。しかし、自民党改憲草案は、これらを全て削除し、「国防軍」という名の軍隊を設けます。平和主義を放棄し、戦争をする国へ転換します。
③表現の自由の制限
自民党改憲草案では、表現の自由に、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない」とわざわざ留保をつけています。この目的は、政府を批判するような情報についての国民の知る権利の制限、言論・政治活動の規制にあります。
④地方自治の破壊と住民切り捨て
地方自治については、道州制を導入します。これは、国の責任を限定し、住民の福祉・安全に対する責任を地方自治体に転嫁します。結局、生存権の保障は骨抜きになり、ナショナルミニマム(政府が国民に対して保障する生活の最低水準)が失われることになります。
⑤国家緊急権による民主主義封殺・人権抑圧体制
自民党改憲草案では、国家緊急権を定めています。これは、「緊急事態」と宣言された場合、政府に、通常時では認められないような強力な独裁権限を認めるものです。このような国家緊急権は、戦前の明治憲法に規定されていた内容の復活です。戦前には、政府に反対する国民の弾圧に使われました。軍部の台頭を許した暗黒政治に逆戻りする危険があります。
以上のように、自民党が憲法を変えたい狙いはどこにあるのでしょうか。それは、大企業とアメリカの要請に応えるためです。第1に、大企業の負担軽減のために、社会保障の切り下げをし、これによって生活が苦しくなる国民に対し天皇のために耐えがたきを耐えなければならないと思想統制する、一方、反対する国民の表現の自由を制限し、弾圧できる体制を作ります。第2に、世界の「警察」として自由市場を守るアメリカの軍事費負担軽減の要請から、アメリカのかわりに戦争をすることにあります。
7月の参議院選挙では、自民党は、以上のような憲法改正草案の実現をしやすくするため、第一歩として、憲法96条の憲法改正要件を緩和することを争点にしようとしています。しかし、このような自民党改憲草案がめざす「国の在り方」にしていいのでしょうか。
川崎合同法律事務所では、憲法学習会の講師派遣を行っています。是非、自民党改憲草案について学び、国の在り方について一緒に考えていきましょう。
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