Q&A

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Q 試用期間中の解雇-ある会社に入社したのですが、試用期間中に、もう会社に来なくてよいといわれました。どうすれば良いでしょうか。

2020年1月30日 木曜日

A 会社との間で試用期間の合意がある場合でも、労働契約自体は、入社時から、期間の定めのない労働契約として成立しています。試用期間中に、労働者の勤務状態により、能力・適格性が判定され、雇用を継続することが適当でないと判断されると、解雇または本採用拒否という方法で、解約権が行使されることになります(解約権留保付労働契約説)が、この解約権行使は、無制限に認められるものではなく、解雇権濫用法理(労働契約法16条)同様、「客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当」な場合という非常に厳格な要件を満たした場合にのみ認められるものです。

  使用期間中に解雇・本採用拒否をされた場合にも、諦めず、まずは会社に対して、解雇・本採用拒否の理由を、書類等で確認してください。

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Q 退職金未払 -会社が退職金を支払ってくれません。どのようにしたら良いでしょうか。

2020年1月16日 木曜日

A 退職金の請求が認められるためには、就業規則、労働協約、労働契約などの法的根拠が必要ですので、まずは、会社に退職金規程があるか確認してください。もし、退職金規程がない場合でも、慣行や労働者との個別の合意、会社と従業員代表との合意などにより、支給金額の算定が可能な程度に明確に定まっていれば、退職金請求権があるといえます。退職金が支払われない場合は、根拠となる就業規則等を示して請求しましょう。

  懲戒解雇の場合には、退職金が不支給・減額となる場合もありますが、懲戒解雇の場合にも、退職金規程等に、不支給・減額の規程を明確に規定していなければ会社が勝手に不支給・減額にすることはできませんので、退職金規程を確認してください。

  なお、退職金請求権の時効は5年間ですので、注意しましょう。

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Q 不利益変更-会社の業績が悪いので、給料を下げるといわれています。その一方で、会社は、社員を新規採用しています。給料の切り下げに応じなければいけないのですか。

2020年1月9日 木曜日

A 労働条件は、労働者と使用者の合意に基づき決定され(労働契約法8条)、賃金等の労働条件の変更も、労働者と使用者の合意に基づいて行われるのが原則です(労働契約法3条1項)。したがって、労働者の同意のない賃下げは無効ですし、会社から一方的に給料を下げると言われても労働者は応じる必要はありません。ただし、拒否した場合に、不利益を被る可能性もありますので、労働者は、賃金切り下げの理由について、使用者に説明を求め、対応を検討されるのがいいでしょう(説明義務については労働契約法4条1項)。
なお、例外的に労働者との合意がなくても、就業規則の変更によって不利益変更が可能な場合があります。ただし、就業規則の変更は、労働者の受ける不利益の程度、変更の必要性、交渉の経緯等からして合理的であり、かつ、変更後の就業規則が労働者に周知されている場合に限り有効となります(労働契約法10条)。

  社員を新規採用する余裕があるのに、会社の業績が悪いとの理由で就業規則の変更をすることは、合理的とは解釈できませんので、仮に会社が就業規則の変更による給料の引き下げをしてきた場合にも、認められない可能性が高いといえます。

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Q 有期契約の雇い止め-私は、1年間の有期契約社員として会社から雇われましたが、4か月で解雇されてしまいました。どうすれば良いでしょうか。また、私の同僚は、2か月の有期契約社員として会社から雇われ、30回契約更新していましたが、期間満了であるとして、今回更新されませんでした。どのようにしたら良いでしょうか。

2019年9月6日 金曜日

A 解雇は一般的に、客観的に合理的な理由、社会通念上の相当性が必要とされますが(労働契約法16条)、有期契約社員の期間途中の解雇の場合には、更に「やむを得ない事由がある場合」でなければ認められません(労働契約法17条1項)。期間の定めのない契約における解雇に比べても、有期契約社員の期間途中の解雇は厳格に判断されるといえます。したがって、ご質問の解雇についても、「やむを得ない事由」がなければ無効となります。

 また、期間満了時に更新拒絶(雇い止め)がされた場合には、更新拒絶の有効性は、雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無、労働者の継続雇用に対する期待の相当性等の基準によって判断されます(労働契約法19条)。会社の同僚の方は、30回も更新がされてきたことに鑑みれば、雇止めは無効になる可能性が高いと思われます。

 

  なお、有期契約社員は、同一の使用者との間で、5年を超えて契約を更新した場合には、無期労働契約への転換を申し込むことができ、この場合には、使用者はこの申し込みを承諾したものとみなされます(無期転換ルール、労働契約法18条)。したがって、同僚の方は、今回の更新拒絶が無効とされた場合には、次の契約期間中に無期労働契約への転換を申し込むことができます(会社はこれを嫌がって、同僚の方の更新を拒絶したのかもしれません)。

 

  ただし、無期転換ルールが適用されるのは2013年4月1日以降に締結・更新された有期労働契約からですので、これ以前から反復更新されてきた有期労働契約については、2013年4月1日以降改めて5年を超えることが必要となりますので注意してください。

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Q 派遣社員の直接雇用―派遣社員として,メーカーで5年以上働いていますが,実際の仕事は,製造メーカーの製造ラインで,メーカーの社員の指示の下,働いています。メーカーに正社員として雇ってもらうことはできないのでしょうか。

2019年8月23日 金曜日

A 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「派遣法」といいます。)には,「労働者派遣の役務の提供を受ける者が次の各号のいずれかに該当する行為を行った場合には,その時点において,当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る労働者に対し,その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。」(40条の6第1項),「第四十条の二第一項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。」(40条の6第1項3号),「派遣先は,当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について,派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。」(40条の2第1項),「前項の派遣可能期間は,三年とする。」(40条の2第2項)との規定があります。

 

  派遣先のメーカーは,派遣可能期間を超えて派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受けているので,当該労働者派遣に係る労働者に対し,その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます。その労働契約の申込みに対し,派遣労働者が承諾の意思表示をすることによって,派遣先との間に労働契約が成立し,メーカーに正社員にしてもらうことができます。

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Q 労災-仕事中、転んで骨折してしまい入院中に、何の補償もなく、会社を解雇されてしまいました。どのようにしたらよいでしょうか。

2019年8月16日 金曜日

A 会社は,原則として,労働者が業務上負傷し,又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は,労働者を解雇することができません(労基法19条1項)。あなたに対する解雇が,その期間及びその後30日以内になされた場合には,あなたに対する解雇は無効です。

 

 また,治療費,休業中の給料等は労災保険を申請して,労災認定されれば,支払われますので,会社に労災保険を申請したい旨伝えましょう(ただし,消滅時効には注意が必要です。)。

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Q 整理解雇-会社から、会社の業績が悪いことを理由に、解雇されてしまいましたが、会社は、社員を新規採用しています。解雇はやむを得ないでしょうか。

2019年8月2日 金曜日

A 使用者側の経営事情を原因とする労働者の解雇は、特に整理解雇といいます。

  あなたの解雇は、会社の業績が悪いことを理由とされていますので、整理解雇に該当します。

  判例によれば、整理解雇は、以下の4要件を満たさない場合、労働契約法16条(解雇権濫用法理)に違反して無効になります。

 

第1要件 人員削減の必要性が存在すること

第2要件 解雇を回避するための努力が尽くされていること

第3要件 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること

第4要件 事前に説明・協議義務を尽くしたこと

 

  あなたの(整理)解雇の場合、会社は社員の新規採用をしているとのことですので、第1要件の人員削減の必要性が存在するのかが疑わしいと言えます。

  本当に会社の業績が悪化しているのか、偽装ではないのか、新規採用の情報だけでなく、役員報酬や賃上げの状況、株式配当の状況など、できるだけ会社の経営情報を収集しましょう。

  その結果、会社の業績が悪いとの主張が偽装なのであれば、あなたの(整理)解雇は無効ですので、復職及び金銭賠償を求めて会社と交渉し、会社があなたの復職や金銭賠償に応じなければ、労働審判や訴訟も検討すべきでしょう。

 

  なお、仮に会社の業績が悪いとの主張が偽装とは言えない場合にも、その他の要件(第2要件から第4要件)についても、要件を満たしているのか、それぞれ確認してください。

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Q 相談する本人以外が一緒に行っても平気ですか?

2019年6月17日 月曜日

A
  本人が同意しているのであれば、同行いただくことは構いません。ただ、相談いただくときは、できるだけ本人から話をお伺いしたいと思います。

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Q 法律相談をすれば、必ず私の事件を受任してもらえますか?

2019年6月10日 月曜日

A
  弁護士と依頼者との間で信頼関係が築けなければ、事件を受任することはできません。また、事件の見通しによっては受任できないこともあります。
  面談のうえ、話をお伺いするまでは、必ず受任できるとは言えません。

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医療事故調査制度について(弁護士 小林 展大)

2019年5月7日 火曜日

1 医療事故調査制度とは
  2015年10月1日から,医療事故調査制度が始まっています。この制度は,医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い,その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み等を,医療法に位置づけ,医療の安全を確保するものです。
  この制度の目的は,医療事故の再発防止,医療安全の確保にあります。

2 医療事故調査制度の対象案件
 ⑴ 医療事故調査制度の対象となる案件は次のとおりです(医療法第6条の10第1項)。
  ① 医療従事者が提供した医療に起因し,又は起因すると疑われる
  ② 死亡または死産であって
  ③ 当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして
  ④ 厚生労働省令で定めるもの
   また,医療法第6条の10第1項に規定する厚生労働省令で定める死亡又は死産(上記要件③④)は、次のいずれにも該当しないと管理者が認めたものとされています(医療法施行規則第1条の10の2第1項各号)。
ア 病院等の管理者が、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該医療の提供を受ける者又はその家族に対して当該死亡又は死産が予期されることを説明していたと認めたもの
イ 病院等の管理者が、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産が予期されることを当該医療の提供を受ける者に係る診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの
ウ 病院等の管理者が、当該医療を提供した医療従事者等からの事情の聴取及び同施行規則第1条の11第1項第2号の委員会からの意見の聴取(当該委員会を開催している場合に限る。)を行った上で、当該医療が提供される前に当該医療従事者等が当該死亡又は死産を予期していたと認めたもの
 ⑵ そして,医療事故調査制度の対象案件に該当するとして調査が開始されるかは,医療機関の管理者(院長など)の判断によります。
   また,医療機関,医療従事者の過失の有無は,医療事故調査制度の対象案件となるかの判断とは関係がありません。

3 医療事故調査制度の対象となった場合
 ⑴ 医療事故調査制度の対象となった場合,ⅰ事故発生について,遺族に説明し,第三者機関である医療事故調査・支援センターへ報告する,ⅱ原因を明らかにするために必要な調査を実施する(院内調査),ⅲ調査結果について,遺族に説明し,同センターへ報告することが義務付けられることになります(医療法第6条の10,第6条の11)。
 ⑵ なお,遺族等から医療法第6条の10第1項に規定される医療事故が発生したのではないかという申出があった場合であって,同医療事故には該当しないと判断した場合には,遺族等に対してその理由をわかりやすく説明することとされています(厚生労働省通知医政総発0624第1号平成28年6月24日)。

4 その他
医療事故調査制度については,他に,厚生労働省・医療事故調査制度について(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061201.html),
 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)(https://www.medsafe.or.jp/)のページもご参照下さい。

5 今後について
医療事故調査制度は,上記のように,医療事故の再発防止,医療安全の確保を目的とした制度です。
  それぞれの医療事故につき,医療事故調査制度の対象なのか,事案解決のためにどのような手段・手続を選択するか等は,検討を要するものですので,弁護士にご相談下さい。

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