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原発ゼロ市民共同かわさき発電所の取り組み/川岸 卓哉 2014.4
2016年8月17日 水曜日
1 原発ゼロ市民共同かわさき発電所設立に向けた取り組み
太陽光発電所イメージイラスト 昨年の2013年夏から、「原発ゼロへのカウントダウン in かわさき」実行委員会の有志で、「原発ゼロ市民共同かわさき発電所」という団体を立ち上げ、脱原発の両輪としての再生可能エネルギー普及へ向けた取り組みを始めています。その取組の紹介と、意義について紹介します。
原発ゼロ市民共同かわさき発電所では、これまで、川崎市内での再生可能エネルギー普及運動の方向性を探るため、学習会を重ねてきました。まず、地球温暖化抑制を目的として3.11前から公共施設にソーラーパネルなどを設置するなど、川崎市内で先駆的に再生可能エネルギーの普及を進めている団体からお話を伺い、市内の団体との活動交流を行うことからはじめました。また、行政との関係では、脱原発を掲げて当選した保坂展人世田谷区長をお招きして、川崎のお隣世田谷区で、行政が中心になって行う再エネ普及へ向けた取り組みを学びました。太陽光発電パネル組み立てワークショップも開催、簡易ソーラーパネルの組み立てを小さな子供たちとも体験し、太陽光発電の基礎についても楽しく学びました。さらに、より実践的な先進事例のケーススタディの検討に入り、世田谷市民エネルギー合同会社などから、川崎市と同じ都市型の世田谷区で、市民が自力で、教会の屋根を利用して太陽光発電所を作った際のノウハウや、苦労話を伺うなどしました。
これらの学習会の中で、参加者メンバーは、再生可能エネルギーの普及に対し日和見態度の川崎市を動かすには、まず、市民が主体となって市民共同発電所を設立し、市民が先導していく必要があるとの認識に達しました。そして、メンバーで、「原発ゼロ市民共同かわさき発電所」の実現へ向けて作戦会議を重ねて、3月30日にキックオフ集会を行いました。キックオフ集会では、技術者などもメンバーに加わり、新築戸建や、複数マンションを所持している方からも協力申し出もあって、市民共同発電所が現実的なものとなりました。団体としては、年内に市民共同発電所第1号の稼働開始を目標にして準備をすすめるとともに、建築関係、経営関係などの技術者、専門家へのメンバーの拡大を進めています。
2 脱原発の両輪としての再生可能エネルギー普及運動
これらの取り組みは、原発ゼロへのカウントダウン in かわさき実行委員会の参加者が、反原発アクションの風化,マンネリ化により、毎年3月に行っている集会の参加者数が、減少傾向にあったため、実行委員会メンバーの新しいアプローチでの反原発運動の工夫が必要となると考えたことから始まったものです。
再生可能エネルギーの普及は、すなわち、原発依存度を低下させることになるため,原発立地でない川崎地域からも、市民一人ひとりが実現できる脱原発の方法といえます。また、原発の危険性は,福島原発事故を経験した国民にとって周知の事実ですが、それでも原発推進勢力の延命を国民が止められないのは,世論が原発の(目先に過ぎませんが)エネルギー政策としての経済性を容認していることにあります。そこで、反原発アクションとしても、この経済性の議論についても正面から対峙する必要があると考えました。
再生可能エネルギーの推進は,脱原発を掲げられなくても、潜在的に脱原発を願っている幅広い国民から共感を得られるもので、脱原発の国民世論はさらに広がる可能性がある。さらに、再生可能エネルギーの推進は、各地域,各自治体で,創意工夫がされながら進められている全国的な動きとになっています。再生可能エネルギーの普及運動は、原発に反対するにとどまらない、脱原発が客観的に十分可能であることを作り出す創造的な活動として、反原発アクションの活性化の契機ともなり得ます。
3 再生可能エネルギー革命へ
地域で再生可能エネルギーについて取り組む意義は、脱原発の両輪ということだけにとどまりません。再生可能エネルギーは本質的に地域分散型が可能であり、地域でエネルギーを自給できるようになれば、地域に雇用が生まれ、地域にお金が流れるようになり、地域経済の活性化にもつながります。また、地域住民が主体となることによって、環境意識を高めこともできます。その意味で、地域での再生可能エネルギーの活用は、環境面での目的達成にとどまらず、地域の経済と社会をよりよい方向に変革し、環境面、経済面、社会面での持続可能な社会を実現することも可能にするものです。
再生可能エネルギー普及活動に取り組む意義は、単に発電量を増やすことだけではなく、地域で生み出されるエネルギーについて、時間をかけてお互いの想いを共有していくプロセスの中で、地域の絆を強めるという、地域でのコミュニケーションが重要となっていきます。
さらに、この再生可能エネルギー普及活動は、エネルギー政策における主導権を自治体・市民へと移すものでなければなりません。
そのためには、再生可能エネルギーの大型化(メガソーラーなど)ではなく小規模分散型に、「上」から進める大型路線ではなく、「下」から進める地元密着路線である必要があります。また、大規模な資本投入による再生可能エネルギーの拡大ではなく市民・自治体が主役の小規模施設であるべきだと考えられます。
究極的には、「電力は絶対必要なのだから」と、誰かの命、健康を犠牲にしなければ成り立たないような文化生活であるならば、その文化生活こそ問い直さなければなりません。さもなくば、日本中をソーラーパネルで埋め尽くしても、電力が足りないと言い続ける人は必ず出てきます。再生可能エネルギーが日本で広まってこなかったのは、電力会社、経済界の利権構造、非合理で国益よりも省益を優先する官僚機構、行政や補助金に依存した人々の意識にあります。
小規模分散型の再生可能エネルギーへのシフトを通じて、脱原発を、さらには、人々が自分のことを自分で決める本当の民主主義を手に入れるため、川崎地域での脱原発を旗印とした市民共同発電所を求めるアクションを発展させていきたいと考えています。ご支援、ご協力をお願いいたします。
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