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行政不服審査法シンポジウム-5年後見直しの課題-のご報告 (弁護士 小林展大) | 川崎合同法律事務所

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行政不服審査法シンポジウム-5年後見直しの課題-のご報告  (弁護士 小林展大)

2021年6月29日 火曜日

 小林展大弁護士については、こちらをご覧ください。

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1 2021年5月17日(月),日本弁護士連合会主催の「行政不服審査法シンポジウム-5年後見直しの課題-」にパネリストとして登壇し,情報公開の分野における審査請求の問題点について報告するとともに,パネルディスカッションもしてきました。

2 この情報公開請求は,マイナンバー違憲訴訟の中で判明したものですが,マイナンバーを取扱う業務については,委託元の許諾を得なければ再委託してはならないこととなっているにもかかわらず(番号法10条1項),委託元の許諾を得ずにマイナンバーを取扱う業務を再委託して,マイナンバーが大量漏えいするという事故が続発したことから,その事故について事実関係を確認するために行っていたものです(現在もまだ情報公開請求の手続は続いています。)。

3 情報公開請求の分野における審査請求の問題点については,主に地方自治体における審査請求手続の問題点を報告しました。具体的には,審査庁において,弁明,反論という形で一通り主張させてから情報公開・個人情報保護審査会もしくは行政不服審査会に諮問している自治体もあれば,弁明書が提出されるとすぐに審査会に諮問してしまい,審査会において反論をさせている自治体があるという手続上のばらつき,行政不服審査法31条1項に基づく口頭意見陳述及び審査会での口頭意見陳述の案内をしている自治体もあれば,同案内をしていない自治体もあるという問題,審査会への諮問後に意見書等の提出の機会を与えている自治体とそうでない自治体があるという手続のばらつき,審査会で口頭意見陳述をしたときの審査会の委員の姿勢の違い等を報告しました。
  また,地方自治体の情報公開請求の審査請求手続については,情報公開条例により,2014年の法改正で導入された審理員による審理制度を適用除外としている自治体が多いですが,審理員による審理制度がなされた自治体については,その審理の経過も報告しました。
  そのほか,審査会の答申と裁決の傾向,審査請求手続における対象文書の追加特定についての問題点,当初不存在とされた文書が実は存在していて後に部分公開決定がなされたという実例等も報告しました。

4 パネルディスカッションにおいては,行政不服審査における論点をいくつかピックアップして,その各論点につき,ディスカッションをしました。

  具体的には,弁明書・理由説明書の記載が不十分ではないかと考えられること,処分庁の主張を基礎付けるような証拠,資料等があまり提出されず,物件提出要求申立(行政不服審査法33条)をすることになることもあること,口頭意見陳述の実情,口頭意見陳述の活発化等といった各論点について,コーディネーター及びパネリストでディスカッションをしました。

5 シンポジウムに向けた準備をするために,自分自身で行っていた情報公開請求及び審査請求を振り返ってみて,手続の相異として興味深い点もあれば,改善が必要ではないかと思う点も見つかり,行政不服審査の実務上の問題点を見つめ直す良い機会となりました。

  特に,口頭意見陳述の活発化,口頭意見陳述を有意義,有益なものとするための努力は,制度を利用する者としての今後の重要課題であろうと考えられます。

以上

投稿者 川崎合同法律事務所

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