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アメリカ便り:日本について考えてみました/石井 眞紀子 2014.2
2016年8月17日 水曜日
昨年秋から、米国のロースクールで学んでいます。
米国のロースクールは留学生が多く、国際色豊かです。そのためか、私の受講している国際人権法関連の授業で「国際人権水準というけれども、人権とは結局西洋的価値観では?」という問いかけが、特にマイノリティー出身の研究者から何度となくなされます。そもそも、「人権」に該当する言葉は日本語にもともとあるのか、それとも翻訳なのか、と聞かれて、ルーツを調べるとやはり翻訳なのでした。
そのような中で、先日読んだ文献で印象深かったのは、「人権という概念は確かに西洋で生まれた。それは、国家による過酷な弾圧という西洋の体験に基づくものである。西洋に限らずそれぞれの国で、それぞれの歴史の流れに従い生まれた人権思想がある。」との主張でした。考えてみると、日本でも歴史の中で生まれた独自の人権思想があるのではないか。特に戦後、もう戦争は嫌だ、国家の道具にはなりたくない、そして原爆は絶対に許さない、という、経験に裏付けされた力強い人権感覚というものが、日本人には確かにあるのではないか、と思い、少し目が覚める思いがしました。
そういうわけで、憲法はアメリカに押し付けられただとか、自虐史観だとか、そういう話をする前に、日本人固有の過酷な体験から得た人権思想を、もう一度大事にしたらいいんじゃないかな、なんて思いを巡らせたりして、学生の身分ですので贅沢な思考の時間を楽しんでいるところです。
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