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PM2.5汚染の真相は/西村 隆雄 2013.3

2016年8月17日 水曜日

はじめに
  この間、連日のように中国の大気汚染問題が報道され、PM2.5(微小粒子)汚染のわが国への影響が論じられています。
  PM2.5は、直径2.5ミクロン以下の微小な粒子のことであり、体の深部に入りやすく健康影響をおよぼす危険な大気汚染です。
  欧米では早くから注目されてきた汚染物質でしたが、わが国では、東京大気汚染訴訟の和解において、初めて、環境基準の設定に向けた検討が約束され、患者・市民の運動もあって、やっとのことで2009年9月に環境基準(年平均値15μg/立方メートル、日平均値の98%値35μg/立方メートル)が設定され、その後、運動に後押しされるかっこうで、この間測定体制の整備が進められてきたというのが実情です。

わが国のPM2.5汚染の実情
  この間の中国での高濃度汚染や西日本での中国からの汚染飛来が報じられていますが、それ以前から、わが国では欧米に比しても濃度レベルが高く、2011年度の東京都における測定結果でみても、自動車排ガス測定局(沿道)12局中全てが環境基準オーバー、一般測定局(非沿道)16局中、基準達成はたったの2局のみで残り14局は基準オーバー、しかも短期基準の日平均値のみならず、長期基準の年平均値も含めて、いずれも環境基準をオーバーするという惨たんたる結果となっていたのです。

環境省の暫定指針
  環境省はこうした実態にほおかむりして、中国の汚染ばかりを強調、2月27日には、暫定指針の70μg/立方メートルなるものを発表しました。
  しかしそもそも環境基準の35μg/立方メートル自体、このレベルを越えると循環器・呼吸器疾患による死亡が増加したり、呼吸器疾患(COPD,ぜん息)や循環器疾患(冠動脈・脳血管疾患、脳梗塞、うっ血性心不全)による入院・受診が増加することから、これが環境基準値とされたのであって、この2倍が暫定指針というのはいかがなものです。

急がれるPM2.5対策
  東京大気の原告団・弁護団は、裁判和解以降、国・都などとの間で「道路連絡会」を開催して、和解条項の履行と公害対策を迫ってきましたが、先日の連絡会で、当方から、国民の関心の集まっているPM2.5の当面の対策についてただしたところ、環境省は、測定体制を整備し、成分分析の結果が出てからでないと対策の検討には入れないと答弁して、会場をあ然とさせました。
  中国からの移流汚染ばかりを強調し、国民に外出をひかえる暫定指針を云々する前に、もともと環境基準をオーバーする状況にあった国内由来のPM2.5汚染に対する対策を強化することが緊急の課題です。
  その意味で、東京都が発表している東京都のPM2.5発生源別の寄与割合でみても、都内および関東6県の人為発生源のうちの34パーセントをしめる自動車、とりわけディーゼル車の対策を強めることがまずもって求められ、さらなる単体排ガス規制の強化、使用過程車の対策強化、都心部への流入規制、ロードプライシングの導入等による自動車交通総量の削減などの対策が急務となっています。

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『2013.3.10 原発ゼロへのカウントダウン in かわさき集会』に ご参加下さい/川岸 卓哉 2013.3

2016年8月17日 水曜日

1 集会開催経緯
(1)2012年3月11日の集会
 「原発ゼロへのカウントダウンinかわさき」実行委員会(以下「実行委員会」といいます)は、昨年2012年3月11日に川崎市中原平和公園で脱原発集会を行うために結成され、当日の参加者は1650名を超え大成功となりました。
(2)その後の活動
 3月11日の集会後は、7月、11月の中央で大規模集会への参加、大飯原発再稼働に反対する川崎市内主要駅の一斉ビラ配り、東京電力川崎支社との交渉などを行ってきました。11月には、「キャンドルナイト&デモ」として、川崎駅前の渡田公園で集会とキャンドルデモを行い、250名が参加しました。
(3)毎週金曜日川崎駅前行動
 昨年10月からは、官邸前での毎週金曜日の脱原発行動に連帯し、川崎駅前LAZONA連絡路で、毎週金曜日18時30分から20時まで,脱原発の訴えを継続的に活動を行っています。参加者によるリレートークの他,脱原発コール,ビラ配り,通行人に福島への想い,被災地への想いを書いてもらう「手書きツウィッター」などを行っています。

2 本年の集会内容
 本年2013年3月10日にも、再度,川崎市中原平和公園で集会を行います。本年は、原発事故から2年が経過し、原発問題が風化しいく情勢のもと、脱原発を目指す団体・個人が結集し力を合わせるため,前回の集会には参加していなかった団体への実行委員会への参加の呼びかけを拡大するとともに,広くかわさき市民への参加を呼び掛けています。

スケジュール
11:00  開場 原発関連展示ブースほか
12:00  文化行事
13:00  「川崎から脱原発!」リレートーク
 ≪スペシャルゲスト≫
  「大間原発に敷地は売らない」 あさこはうす 小笠原 厚子さん
  「経済界から脱原発宣言」  城南信用金庫 吉原 毅理事長
 ≪リレートーク≫
  ①福島からの避難者の発言
  ②電気代不払い運動
  ③川崎市在住の小さな子供がいるお母さんの発言
  ④韓国の脱原発運動家からの国際連帯のメッセージ
  ⑤リニア新幹線問題
  ⑥福島の子供を受け入れるサマースクール
  ⑦福島原発事故弁護団
  ⑧川崎の放射性物質汚染ごみ問題,などを予定。
14:30  原発ゼロへの行進 誰でもデモ

3 集会の方式
①呼びかけ人方式
 川崎市内在住の著名人を中心に,教授,宗教家,弁護士,各市民団体の代表者など,多くの人が呼びかけ人となっています。
②個人賛同方式
 集会には個人個人から賛同署名を得て,メッセージはHPに記載しています。
③「広場」のイメージ
 実行委員会・集会には「脱原発」の一致点のみで参加しますが,各団体が・個人が各ブース・集会で自由に発進します。私たちは,実行委員会・集会をそれぞれが自由に情報発信する「広場」と考えています。

4 集会・実行委員会の特色
①立場を超えた「脱原発」の一致点での集まり
 実行委員会は,思想信条を超えて「脱原発」の一致点で、多様な団体・個人が参加しています。今年1月からはこれまで実行委員長であった三嶋健弁護士と、川崎市内での脱原発ネットワークである「脱原発かわさき市民」の学習院大学教授の川口洋一さんの共同代表体制となっています。
②活動報告・交流の場としての実行委員会
 実行委員会には、子供を守るために川崎市へ放射性物質汚染問題について働きかけるお母さんから、10年以上脱原発を訴えてきた人まで、実にそれぞれ多様な活動を行っている方が参加しています。実行委員会は、各参加者の活動報告・交流・ネットワークの場としての実行委員会になるように工夫をしています。実行委員会に初参加の団体には、毎回十分な自己紹介・活動報告の時間を取るようにしています。また、各実行委員会のはじめには、数人に,活動報告をしてもらい、問題意識の共有化、学習・交流の場としての役割も果たせるようにしています。
③川崎の地域に根ざした活動
 実行委員会は、地域に根ざした草の根の活動を行い、脱原発の裾野を広げることが、脱原発の声を大きくしていくことになると考えています。官邸前の金曜日行動に連帯して、川崎駅前で金曜日行動を行っているのも、この考えに基づきます。

5 是非ご参加下さい
 本年の集会、そして実行委員会の最終目標は、もちろん脱原発にあります。さらに、究極目標は命より経済を優先する社会価値観の変革にあらねばなりません。福島原発事故は、福島の多大なる犠牲の下に、多くのこれまで政治に無関心であった国民に、この国の本質的な矛盾について気づかせることになりました。その「気づき」を、確実に社会にフィードバックしなければ、同じことは何度でも繰り返されることになります。にもかかわらず、先の衆議院総選挙では、経済政策を第一に掲げ原発政策の推進を目論む政党が勝利し、福島の悲劇の教訓は活かされていません。選挙結果の分析からは、前選挙より1000万人も投票者数が減り、戦後最低の投票率を記録したことが明らかになりました。これは、私たちが訴えていた原発問題が国民にとって重要な争点化しなかったことを意味します。私たちの運動としての広がりが不十分であった結果です。
 国民の世論の7割である脱原発の声を結集し伝えるために、本年の集会に是非ご参集ください。

【昨年2012年3月11日の集会の様子】(HPより抜粋)
・原発ゼロへ昨年は集会に1650名が参加
 2012年3月11日。川崎市・中原平和公園には1650名の参加者の熱気につつまれました。
 福島第一原子力発電所事故と東日本大震災から一年となる節目の日に、震災犠牲者への黙とうを会場全体で捧げるとともに、脱原発、原発ゼロを訴える集会がおこなわれました。
 メイン会場の周辺には、実行委員会に参加する各団体の展示ブースや模擬店が並びました。
 集会後、原発ゼロを掲げて会場から元住吉ブレーメン通りを経て武蔵小杉駅までデモ行進をおこないました。
 お互いの意見の違いを超えて、広範な市民が原発ゼロの実現のために実行委員会をつくりとりくんだ集会でした。

 

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就活自殺をなくすためにできること/小野 通子 2013.2

2016年8月17日 水曜日

平成10年の不況時に自殺者数が急増して以来、日本の年間自殺者数は3万人超えで高止まりしていましたが、近年の市民や行政の活発な活動もあり、昨年ようやく年間自殺者数が3万人を切りました。しかしながら、学生が就職に失敗して自殺に至る「就活自殺」は近年特に急激に増加しており、平成22年の「就活自殺」は平成21年の2倍、平成19年の3.5倍にもなりました。

 そこで、当職の所属する横浜弁護士会自殺問題対策プロジェクトチームでは、今年、「STOP就活自殺」をテーマに相談会およびシンポジウムを行いました。

 相談会は、平成24年9月29日と平成25年1月26日の2回開催し、就職活動に悩む若者の相談を数多く受けることができました。しかし、ここにつながることのできた若者は就職活動に悩む若者のほんの一部に過ぎないことは実感せざるを得ないところです。

 シンポジウムは「就活自殺の実情と防止策」とのテーマで、平成25年1月26日に関西大学経済学部教授の森岡孝二先生をお招きして開催しました。自殺というナイーブなテーマの中でも「就活自殺」に絞り込んだテーマであったことから、どれだけの方に来場いただけるか心配していましたが、当日は土曜の夜であるにもかかわらず、開講記念会館1号室をほぼ満席にするほどの方々にご来場いただきました。就活自殺の問題が待ったなしの問題として市民のみなさんに捉えられている証拠だと思われます。

 森岡孝二先生によれば、大学生の「就活自殺」急増の原因は厳しすぎる就職環境にありますが(平成24年3月の大学卒業者の22.9%(12万8224人)は無職か半失業状態とのことです!!)、現在はメンタルケアしか行われておらず、対策は甚だ遅れています。一方で、運良く就職できた大学卒業生もブラック企業と呼ばれる企業で直ぐに過労を強いられるため、新卒での過労死・過労自殺も急速に増加している状況です。

 「就活自殺」の最も有効な防止策は、現在働いている労働者の残業時間の規制を徹底し、新規雇用を創出することです。

 確かに、「就活自殺」の問題は直接的な被告が存在しないようにみえるため、弁護士が関わっても直接的な解決は難しい分野とも言えます。しかし、労働者とそれに寄り添う弁護士が、適切な労働時間・労働条件を勝ち取ることが、間接的にではありますが若者の自殺防止に役立っているのです。我々弁護士も、このことを心に留めて、これからも頑張りたいと思います。

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原発事故被害者とともに東電、経産省・文科省交渉に参加して/ 中瀬 奈都子 2012.12

2016年8月17日 水曜日

 11月20日、東電および経産省・文科省との交渉のため、福島、米沢、沖縄から200名を超える原発事故被害者が結集した。渡辺・川岸・私も「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団の一員として交渉に参加した。想定以上の集まりに席が足りず、床に座り込む人も出る異様な雰囲気の中、「原状回復、完全賠償、廃炉」といった要求を掲げて交渉をした。

 特に人々の印象に残ったのは、水戸から沖縄へ避難している若いお母さんの発言ではなかろうか。

 ――「子供の健康を守るために必死なんです。生活も何もかも変わってしまったのです。けれど私たち自主避難者には何も賠償されない。東電は線引きをせずに賠償すべきです。」

 安全な環境で子供を育てたい、健やかに成長してほしい――親ならば当然の思い。ふるさとを離れるという選択を強いられ、仕事で地元を離れられない夫と離れ、慣れない土地で子供を育てる大変さ。当然、生活費は二重にかかる。避難費用もかかる。しかし、東電は、原発に近い一定の地域からの避難者にしか、避難費用を賠償しない。

 国や東電は、十分な賠償を進めないどころか、特定の被害者にのみ賠償をすることで、被害者の間に分断を生じさせようとしている。上述したお母さんの訴えは、賠償の実態を端的に表している。

 原発事故の被害は実に多様である。農民は土壌を汚され、漁民は海を汚され、事業者は風評被害に苦しみ、お母さんたちは子供の健康被害を心配し――。

 交渉には、様々な立場の被害者が参加していたため、東電や国に、多様な被害実態を具体的にぶつけることができた。

 しかし、国も東電も、ひたすら被害者の声が枯れるのを、その時間が通りすぎるのを待っているかのような態度だった。形だけの回答を繰り返し、より一層被害者の怒りを買った。国と東電が言い訳のようにいう「責任がある」「ご迷惑をおかけした」という言葉が、「法的責任」を認めた上のものでないことは明らかだ。

 被害者に共通する要求である「原状回復」、「完全な賠償」を本質的に進めさせるためにも、国と東電の「法的責任」を明らかにしていかなければならない、と改めて決意を固くした。

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裁判所の覚醒を!/藤田 温久 2012.9

2016年8月17日 水曜日

1. 2009年12月の松下PDP事件最高裁判決(以下「PDP最判」)以降、裁判所は、大企業が強行した違法な解雇、雇止めを擁護・免罪し、非正規労働者の救済に背を向け続けています。

2. 派遣労働者については、PDP最判の「論理」に盲従し、偽装請負等の派遣法違反を認定しがら、行政取締法規違反に過ぎないから、派遣契約の効力に影響を与えないとして、派遣先企業の直接雇用責任を否定してきました。更に、2011年9月の日本トムソン事件大阪高裁は、派遣先会社の悪質な派遣法違反につき「労働者派遣法は労働者保護ではなく」「労働者に対して就労の場を提供する機能を果たしていることも軽視できない」なと驚くべき「認識」を示して、一審判決の不法行為の成立、慰謝料支払いをも取消しました。

3. 有期契約社員についても、2012年4月のいすゞ東京地裁判決は、「不況等の事情の変化による生産計画の変更に伴う要員計画に変更がない限り、契約更新により少なくとも2年11か月までは雇用が継続される合理的期待を有していた」と、契約更新に対する「合理的期待」を限定し、期間内の雇止めなので「解雇権濫用法理が類推適用される」として、雇止めの「合理性」を検討するとしましたが、「期間従業員全員について剰員が生じた」、「商用車受注の急激かつ大幅な減少がいつまで続くのか的確に予測することは困難であった」ことだけで雇止めに「客観的合理性」を認めました。こんな論理で「要員計画の変更」の合理性が認められ雇用継続の合理的期待権の範囲外とされるならば、それはトートロジーですから、常に、有期契約社員の雇い止めは合理的ということになってしまいます。これは、「有期契約社員といえども契約更新が繰り返された場合解雇権濫用法理の類推適用がある」という確立した最高裁判例法理を事実上骨抜きにするものです。

4. 一方で、最高裁判例に盲従し、他方で、最高裁判例法理すら骨抜きにする。そこに共通するのは非正規労働者を景気の調整弁として利用するという使用者側の願望をそのまま認める姿勢だけです。上記大阪高裁の「認識」が自白するように、財界とマスコミが作り上げた「新自由主義改革」「非正規労働が日本を支えている」という幻想こそが裁判官のもつ「偏見」の正体なのです。

5. しかし、経団連の指示に従い、自公政権、民主党政権が雇用破壊を続けた結果、日本の労働者の35%が非正規労働者となり、大学を卒業しても就職できない結婚もできない子供も産めないという異常な状態を作り出し、10年にわたり賃金が上昇せず国民の購買力が低下し、更に賃金切り下げと非正規化が強行されるという悪循環に陥っているのが現実です。
 今こそ、法廷内外の闘いにより、裁判所を「幻想」から覚醒させ、日本国憲法の三権分立制下で司法が担う人権保障機能を発揮させなければなりません。我が事務所の弁護士が弁護団に参加している「いすゞ」「日産」「資生堂・アンフィニ」各非正規切り訴訟事件は、今年後半から来年にかけて山場を迎えます。裁判所を覚醒させる突破口とするべく奮闘中です。ご支援を宜しくお願いします。

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国のエネルギー政策の転換をめざして/渡辺 登代美 2012.9

2016年8月17日 水曜日

自宅は中古のマンションなので、前所有者が残していったエアコンが3台ある。しかし、夏の稼働率はゼロ。これは原発事故とは何の関係もなく、夫は クーラーが嫌いで、私はクーラーで病気になるというだけのことだ。

 原発事故以来、世の中の冷房が全般的に弱くなって、過ごし易くなった。それにも拘らず、せっかく薄着でいられる季節に、ハイソックス、カーディガ ン、膝かけで完全武装しても下痢や吐き気に襲われ、精神衛生上とっても良くない世の中に逆行している事務所がまだ存在している。もっとも、「人の迷惑 より自分の健康」をモットーに、窓を開け放ってはいるが。

 閑話休題。

 7月から8月にかけて、政府の「エネルギー・環境会議」が、2030年までの日本の原発に対するあり方として3つの選択肢を設定し、パブリックコメントを募集した。この選択肢に関する「国民的議論」を踏まえて、8月に新しいエネルギー・環境戦略を決定するとしている。3つの選択肢とは、①原発ゼロ、②原発依存度15%、③原発依存度20~25%だ。

 東京電力福島原発事故の悲惨さを目の当たりにしながら、まだ原発に依存しようとする政府の姿勢は理解に苦しむ(本当はよくわかるんですけど。)。各地で行なわれている意見聴取会で電力会社の社員が原発擁護発言をして問題になったり、参加者の大多数が「ゼロ」を主張しているのに①~③の発言者の数を同数としたり、短時間で質疑応答もない形ばかりの「国民的議論」がなされている。

 そもそも、選択肢の中に、「直ちに原発をゼロにする」というのがないのはおかしい。毎週金曜日の夜、首相官邸前で原発再稼働に対する抗議行動が繰り広げられている。ドラムマーチやら、ジャンべ(アフリカの太鼓)やら、白い風船、チェの旗。再び、国内すべての原発を止めるまで、続けたいものだ。

 私、川岸、中瀬の3人が事務局として参加している「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団では、原発に依存する国のエネルギー政策に変更を迫るため、東京電力だけでなく、国をも相手とした裁判の準備を進めている。原発事故による被害の完全な回復を図るためには、国に責任を認めさせ、エネルギー政策を転換させなければならない。凄惨な悲劇を二度と繰り返さないように。

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立ち上がる沖縄の人びとを見て/中瀬 奈都子 2012.9

2016年8月17日 水曜日

7月1日朝、那覇を訪れていた私が目にしたのは、県庁前に集まる人、人、人……。数百名のもの人々が、特殊な形状の航空機の絵の上に「NO」とかかれた黄色い紙を手に、「オスプレイを飛ばすな!」と大きな声を上げていました。ちょうどその頃、県庁内では、森本敏防衛相が、垂直離着陸輸送機 MV22 オスプレイを米軍普天間飛行場に配備する米政府の計画を説明するため、仲井真弘多沖縄県知事と会談をしていたのでした。

 事故が相次ぐ欠陥機の配備に、沖縄だけでなく、低空飛行訓練ルートにかかる県(私の故郷の徳島も!)からも配備反対・慎重意見が出されています。神奈川も、厚木基地がオスプレイの長期派遣先となる可能性があり、決して対岸の火事ではありません。

 沖縄では、その後も10万人県民大会などの大規模な集会・デモが予定され、オスプレイ反対運動が全県レベルの盛り上がりを見せています。かつて戦場となった地に、戦争につながる基地が作られ、そこに住民の安全な暮らしを奪う軍用機が配備されようとしています。悲しみの連鎖が起こらないように、沖縄から離れた地からも声をあげたいと思うのです。

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たたかって25年 ─家族に戻った笑顔─/ 国労横浜人活事件 原告 岡 英男 2012.9

2016年8月17日 水曜日

2012年5月21日、最高裁において、東京高等裁判所の「国鉄当局のデッチ上げ事件を認め懲戒停職処分無効と損害賠償金を支払え」という判決が確定し、松本繁崇さんと私の25年の歳月をかけた事件が解決した。「鉄道・運輸機構で働く」願いに届かなかったことは悔やまれるが、何より嬉しかったのは、妻や子どもたちが喜び、25年前の家族の笑顔と団結が戻ったことである。

 小学生の頃は、「お父さん頑張れ」と応援してくれた子どもたちが大人になるにつれて、特に息子は私に反発する時期もあった。しかし、22年後の横浜地裁(2009年12月)で、請求は棄却されたもののデッチ上げが認められた判決の夜、私が遅くに帰宅すると息子が鍵を開けて迎えてくれたのである。私はびっくりすると同時に、目頭が熱くなった。その晩は遅くまで、家族全員で議論したが、妻や娘たちは判決全体は不十分だがデッチ上げが認められたことを非常に喜んでおり、息子も父親の事件がデッチ上げだと社会的に認められたことが嬉しかったのだ。これで東京高裁への新たな闘いの決意も高まった。

 その後、組合として全ての採用差別事件を「政治解決」する局面に遭遇した。私は、政治解決そのものはむしろ良かったと思っているが、「横浜人材活用センター事件」は政治解決に相応しくない事件であり、デッチ上げが認められても反省の色も示さない鉄道・運輸機構と政治解決しても、後で「闘っておけば 良かった」と後悔したくないと考え信念を貫くことを決めた。その信念を貫き通して決着をつけることができた今は、人生に到達したような気分だ。

 横浜人活刑事弾圧事件で逮捕、懲戒免職とされた藍(あい)さんら5名の国労組合員は、無罪判決及び懲戒免職無効等の判決により職場に復帰した。さらに私たちの事件を通して、横浜人活事件は、国に損害賠償金を支払わせる次元まで到達した。賠償金が小さなものでも大きな勝利だと確信する。

 過日の裁判報告集会の懇親会に駆けつけた息子が、胸を張って「岡英男の息子です」と自己紹介した言葉は、全く予想しなかった嬉しい言葉で、最後まで闘い抜いて良かったと一生忘れられない瞬間だった。

 皆様、本当にありがとうございました。

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「茶のしずく石鹸」事件/小野 通子 2012.9

2016年8月17日 水曜日

 昨年5月ころから、ある石鹸を使っていたら突然小麦アレルギーを発症して、救急車で運ばれてしまったという相談を何件も受けるようになりました。その石鹸というのは、昨年5月に株式会社悠香が自主回収を行なった通称「茶のしずく石鹸」です。

 これは、それまで小麦アレルギーを持たなかった方が、「茶のしずく石鹸」と使っていると、小麦アレルギーを発症し、小麦含有製品を食べた場合、かゆみ、蕁麻疹のみならず、下痢、嘔吐、血圧低下、呼吸困難を発症し、重篤な場合には、ショック状態となり救急搬送されるなど生命の危険にさらされるというものです。

 我々弁護団は、神奈川在住の被害者27名を原告とし、今年4月20日、横浜地方裁判所に製造物責任法に基づく損害賠償請求を提起しました。同日、全国でも、一斉に訴訟が提起されました。被告悠香および製造会社らは、「茶のしずく石鹸」に欠陥があることを認めず、争う姿勢をみせています。

 我々の現在の食生活において、小麦が入っていない食品を探すことは容易ではありません。お菓子やパン、パスタ、ラーメン、うどんはもちろんのこと、カレーやハンバーグにも小麦は含まれています。好きなものを一生食べられないかもしれない、過って食べたら死んでしまうかもしれない、原告らは食べる楽しみを奪われ、常に恐怖を抱えながら食事をしなければならないのです。このような被害を発生させた会社の責任逃れを許すことはできません。

 事件は始まったばかりです。応援よろしくお願いいたします。

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原発ゼロへの行進はつづく/鈴木 亮平 2012.9

2016年8月17日 水曜日

 7月16日、猛暑のなか東京・代々木公園で開催された「さようなら原発10万人集会」には、全国から17万人もの個人・家族・グループが集まりました。私たちも、所員どうし声をかけあって参加しました。

 この間、毎週金曜日には首相官邸前で大規模な抗議行動が行われています。当初数百人だった参加者は、大飯原発再稼働を目前に控えた6月29日には20万人にまでふくれあがりました。7月29日に行われた「脱原発・国会大包囲」には、やはり20万人もの人が集まり、私たちもペンライト片手に集会・デモ行進に参加しました。

 今年の3月11日。東日本大震災、そして東電福島第一原発事故から1年となる日。ここ川崎では、「原発ゼロへのカウントダウン in かわさき」が開催されました。多くの市民の手によって開催されたこの集会・デモ行進には、約1600名もの川崎市民が集いました。事務所の所員も、実行委員会事務局として参加しました。

 この川崎の集会から半年が経とうとしています。大飯原発の再稼働後、脱原発・反原発への行動は、広く世論を巻き込みながら、ますます大きなうねりとなっています。私たちも、多くの人々とともに、原発ゼロへむけて行進を続けていきます。

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

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