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「川崎じもと応援券(第3弾)」法律相談に、是非ご利用下さい!

2022年7月4日 月曜日

 川崎合同法律事務所では、「川崎じもと応援券(第3弾)」法律相談料のお支払いに、ご利用可能です。

(2022年12月31日まで利用可)

 是非この機会に、「川崎じもと応援券」をご利用の上、ご相談ください。

川崎じもと応援券(第3弾)については、こちらをご覧下さい。

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民法・不動産登記法等の改正等 その1~相続土地国庫帰属法とは~(弁護士 山口毅大)

2022年6月24日 金曜日

 山口毅大弁護士については、こちらをご覧下さい。

1 はじめに

 2021年4月21日、民法・不動産登記法等の改正等がなされました。この改正等の内容は、多くの市民の方に影響を与える、大改正です。ただ、その改正点等の内容は、多岐にわたります。そこで、今回は、相続土地国庫帰属法の要点について、解説いたします。

2 相続土地国庫帰属法の概要

  相続土地国庫帰属法とは、簡単にいえば、一定の要件のもとで、取得した土地を国庫に帰属する制度です。

  その趣旨は、次の点にあります。すなわち、相続等によって土地を取得した方は、特に積極的な土地の利用をするつもりがないのに、土地の管理について、責任を負わなければならないこと、所有者不明土地を発生させる原因となることから、一定の限度でその負担から解放させる方法を認める必要性が高いという点にあります。他方で、過度な管理費用等が国に転嫁されること、モラルハザードが発生することを防止する必要があります。そこで、相続または相続人に対する遺贈(以下「相続等」といいます。)により取得した土地のうち、一定の要件を満たすものに限定した上で、法務大臣が要件を確認して、承認するということになりました。

3 承認申請をすることができる方

  上記趣旨から、相続等により、取得した者に限って、承認申請権を与えています。

4 国庫帰属が認められるためには(国庫帰属が認められない土地の要件)

  国庫帰属が認められるには、国庫帰属が認められない土地に該当しない必要があります。
  まず、通常の管理または処分をするために、過分の費用や労力を要する土地を類型化し、これらの土地に該当する場合には、却下事由としています。

  具体的には、①建物の存する土地、②担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地、③通路その他の他人による使用が予定されている土地として政令で定めるものが含まれる土地、④特定有害物質により汚染されている土地、⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地です。

  また、土地の種別や現況、隣地の状況等から、実質的に通常の管理または処分をするために、過分の費用や労力を要する土地の類型化し、これらの土地に該当する場合、不承認事由とされています。

  具体的には、①崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの、②土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物が地上に存する土地、③除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地、④争訟によらなければ通常の管理又は処分を行うことができない土地、⑤その他、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地です。

5 申請手続

  承認申請は、管轄する法務局や地方法務局に対して行います。具体的には、相続土地国庫帰属法では、①承認申請者の氏名又は名称及び住所、承認申請にかかる土地の所在、地番、地目及び地積を記載した申請承認書、②添付書類を提出することになります。ただし、具体的な方法、添付書類については、今後、法務省令で定めることになります(2022年3月時点)。

6 申請後

  申請後、審査手続が進み、却下処分、不承認処分又は承認処分が出され、通知されます。

7 留意事項から負担金

  承認があったとき、承認申請者は、承認があった土地に着き、管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して、政令で定めるところにより算定した負担金を、負担金の額の通知を受けた日から30日以内に納付しなければなりません。

8 施行日

  相続土地国庫帰属法は、2023年4月27日から施行されます。

9 総括

  このように、相続土地国庫帰属法を利用するためには、要件が厳格であり、政省令で委任されている事項があり、今後制定される通達を見なければ、取扱いが不明な点もございます。この制度を利用するに際しては、不動産や相続に携わる弁護士に、一度ご相談されることをお勧めいたします。

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講演会「ウクライナから憲法を考える」を終えて(弁護士 前田ちひろ)

2022年6月8日 水曜日

渡辺先生講師:一橋大学名誉教授 渡辺治 先生

 

 2022年6月1日、カルッツかわさきにて、弊所主催の企画として、「ウクライナ問題から憲法を考える」と題した講演会を行いました。講師には、政治学、日本政治史をご専門とされ、現在は一橋大学の名誉教授でいらっしゃる渡辺治先生をお招きし、ウクライナに対するロシアの侵攻を口実として湧き上がっている改憲論について、本当に改憲の必要性があるのか、歴代政権が実行してきた憲法9条の機能に対する破壊策動の歴史の分析を踏まえて、お話しいただきました。

 

挨拶・川口開会挨拶(川口彩子弁護士)

 

 新型コロナウイルス感染症への感染状況は未だ油断を許さないものではありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を口実として改憲論が湧き上がっており、参院選を前に未だかつてない改憲の危機が訪れている今この時期に、是非、多くの方々と、その危機感を肌で共有し、憲法9条についての学びを深め、見識を共有する機会を持ちたいとの思いから、感染対策を十分に行った上で、オンラインではなく現地開催と致しました。その結果、コロナ禍という大変な状況においても、107名という大勢の方に足を運んで頂くことができました。主催者としても、改憲問題が緊迫化している状況に、同じように危機感を覚える人々が数多くいらっしゃることを改めて認識することができ、勇気づけられる一日となりました。

 

会場沢山の方にご来場頂きました

 

 そもそも、この講演会企画は、これまでの自民党政権同様、岸田政権下でも推し進められてきた改憲への動きが、今年に入り、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、これにより国民の間に湧き上がった他国からの侵略に対する漠然とした不安を、煽り、そして利用する形で展開されていることに危機感を覚え、ロシアによるウクライナ侵攻によって本当に改憲の必要性が高まったのか、改憲の流れはそもそもどのような経過を辿ってきたのか、その流れの中のどの地点に今私たちは立たされているのか、そのことを、今一度冷静に分析する必要があるとの意識から持ち上がったものでした。

 渡辺先生のお話の中では、まさにその点が、事実経緯に沿った細かな分析から明らかとされました。今、改憲論者は、現実には起こりえないと思われていたロシアによるウクライナ侵攻が実行されたことにより、中国や北朝鮮による日本への侵略がいよいよ現実的な危険性を帯び始めたと主張し、それを理由に、米国との軍事同盟強化によって他国からの侵略を抑止する必要性があると説いています。しかし、そもそも、ロシアによるウクライナ侵攻は、NATOの拡大がロシアに脅威となっていた事実を無視して語ることのできないものであり、「軍事力強化による戦争抑止」の限界の現れとしての側面を色濃く持つ事態であるということができます。また、日本における改憲への動きは、ロシアによるウクライナ侵攻を機に生じたものではありません。安倍政権下の2014年には、閣議決定により憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を容認、その後、2015年には集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法が成立しました。その後の菅政権下でも、2021年4月16日に出された日米共同声明において、中国により台湾が侵攻された場合にはこれに対する米国の軍事介入に日本が事実上加勢することが約束されました。このように、改憲に向けた憲法9条の機能の破壊はこれまですでに進められてきたものであり、ロシアによるウクライナ侵攻により改憲の必要性が生じたものではありません。私たちは、ウクライナの惨状を目の当たりにした今だからこそ、改憲に向けた動きはそれ以前からあったことを踏まえ、岸田政権の目指すものの本質は何なのか、ロシアをウクライナ侵攻まで追い詰めた背景には何があるのか、そのことを冷静に分析するこが重要であると、今一度改めて認識しなければなりません。

 6月22日には参議院選の公示がなされることが見込まれていますが、この参院選において、改憲阻止の戦いは大きな正念場を迎えます。今回の企画は、改憲阻止の運動の面でも、貴重な機会となりました。この場をお借りして、改めて、ご来場いただいた皆様、そして渡辺先生に感謝の意をお伝えしたいと思います。誠に有り難うございました。

 前田・司会司会を務める前田ちひろ弁護士

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ウクライナ戦争への視点(弁護士 藤田温久)

2022年5月10日 火曜日

藤田温久弁護士については、こちらをご覧下さい。

1   明確なロシアの侵略
 ロシアの軍事侵攻は、国際紛争の平和的解決を原則とし、武力による威嚇または武力の行使を原則禁止する国連憲章に明確に違反し、国際刑事裁判所設立条約が禁止する戦争犯罪や侵略犯罪に当たる。ウクライナはロシアに侵攻していないから個別的自衛権は行使できず、「ドネツク」「ルガンスク」両「人民共和国 」はロシアしか独立を認めていないので両「国」との条約に基づく集団的自衛権も成立しないから国連憲章51条で正当化もできない。つまり、ロシアの軍事侵攻は、絶対に許されない侵略だ。よって、① ロシアを糾弾し即時撤退を求める世論を一層広く形成し、② 国連とともに平和的手段による制裁を科しロシアを和平・撤退へと強制しなければならない。

2 ウクライナ戦争から何を学ぶべきか~ 4 つの教訓
 安倍元首相や右派マスコミは、「中国が台湾で同じ動きに出る危険性がある」、「憲法9条を改正し米軍と共に集団的自衛権を行使できるようにしなければウクライナの二の舞」「米軍との核共有が必要=非核三原則の見直し」などと「ウクライナ」を使って煽り立てている。
 しかし、戦争の時こそ冷静に情報を分析し理性と知性により判断することが求められる。第2次世界大戦後、米国はベトナム、アフガン、イラクなどで侵略を繰り返し、フランス、英国も同様である。犠牲者の人数はウクライナの数百倍を優に超える。「ウクライナ」が「初めて」でもなく「最大」でもない。そんなことを言っている人や情報は信じられない。そもそも
NATOは国連憲章に違反する攻撃的軍事同盟(セルビア、イラク、アフガン)である。NATO=正義とし
ている人の発言にも注意したい。

〔4つの教訓〕

①  ソ連崩壊後、米国とNATOは旧ソ連とワルシャワ条約機構諸国をNATOに統合せず非同盟中立の地位に置くことを約束していた。しかし、この約束は反故にされ、NATOが国境に迫ったことが侵略の最大の「理由」である。ウクライナNATOに加盟せずに「緩衝地帯」としてロシア側から安心供与を受ける等の外交努力が欠如していたことがロシアの暴走の背景にある。台湾問題でも、中国が譲れない「一つの中国」を事実上侵害せず「中国側も戦争に訴えない」という相互保障を確立するための外交努力が欠如し、相互に挑発行為、軍拡を繰り返せばウクライナの二の舞になるということが、ウクライナ戦争の第1の教訓である。 

 

②  日本の軍拡、まして「核共有」は周辺諸国の脅威となり、果てしない軍拡競争を招き、緊張を激化させる。核兵器禁止条約による全面的核廃絶に向けた動きを加速しなければ、「核の脅し」は繰り返され、暴発の危険もある。憲法の平和主義こそが戦争の惨禍を防ぐ唯一の道である。それが、ウクライナ戦争の第2の教訓である。

③  原子力発電所がロシア軍の攻撃にさらされることで、3・11の悪夢がよみがえり、原子力発電からの全面撤退の必要性が安全保障上もいかに焦眉の課題かが一層はっきりした。ウクライナ戦争の第 3 の教訓である。

④  国連総会でロシア非難決議が141カ国の賛成という圧倒的多数で採択された。反米の立場からロシアを支持するということはできず中国は棄権した。核兵器禁止条約(17年総会で採択、21年発行)に続き、反核・平和の国際世論は前進している。うかつな侵略は「国際世論の支持を失う」結果を招き、国を危うくすることが誰の目にも明らかになりつつある。これがウクライナ戦争の第 4 の教訓である。

3  学習会の講師を派遣します。
 当事務所では、ウクライナ問題、改憲策動、平和問題等、いつでもご要望に応じ講師を派遣します。ご連絡ください。

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2022年講演会企画 「ウクライナ問題から憲法を考える」講師:渡辺治先生 6月1日(水)18:30~(カルッツかわさき大会議室)

2022年4月25日 月曜日

講演会の模様は、こちらをご覧下さい。

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 PDFファイルはこちらから

 ウクライナに対するロシアの侵略戦争を口実に「憲法9条を変えねば日本は守れない」「米軍との核共有が必要」「対中国抑止のため敵基地攻撃能力を持った自衛隊に増強すべき」「安保強化が必要」などの暴論が右派マスコミを先頭に世論を動かしつつあり、改憲の危険性もかつてなく高まっています。こうした状況の中、7月には参議院選挙があり、改憲発議を許さない運動は、いよいよ正念場を迎えます。
 改憲をめぐるたたかいを作り上げていくため、渡辺治先生に、改憲を阻止するために私たちがこれからなすべきことについてお話しいただきます。

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◇◆講師ご紹介◆◇
渡辺 治(わたなべ おさむ)先生  一橋大学名誉教授、九条の会事務局。主な著書・編著に『日本国憲法「改正」史』(日本評論社1987年)、『政治改革と憲法改正』(青木書店1994年)、『安倍政権論』(旬報社2007年)、『憲法九条と二五条・その力と可能性』(かもがわ出版2009年)、『安倍政権と日本政治の新段階』(旬報社2012年)、『安倍政権の改憲・構造改革新戦略』(旬報社2013年)、『〈大国〉への執念 安倍政権と日本の危機』(大月書店2014年)、『憲法改正問題資料(上・下)』(旬報社2015年)、『現代史の中の安倍政権』(かもがわ出版2016年)、『戦後史のなかの安倍政権』(新日本出版社2018年)など多数。

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※新型コロナウィルス感染症の感染状況によっては中止する可能性があります。
 中止の場合は川崎合同法律事務所ホームページにてお知らせします。ご了承下さい。

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ロシア軍のウクライナ侵略に反対するスタンディングデモを行いました

2022年3月4日 金曜日

2022年3月2日(水)
川崎駅頭において、ロシア軍のウクライナ侵略に反対するスタンディングデモを行いました.

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「けんせつ神奈川」2022年1月5日(第622号)に掲載されました

2022年1月28日 金曜日

 神奈川土建一般労働組合機関紙「けんせつ神奈川」2022年1月5日(第622号)に、弊所の山口毅大弁護士が寄稿した、「緊急事態条項の欺瞞と危険性」が掲載されました。

yamaguchikennset!!

 

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NECディスプレイソリューションズ休職期間満了雇止め事件 勝訴判決声明

2022年1月19日 水曜日

NECディスプレイソリューションズ休職期間満了雇止め事件 勝訴判決声明

2021年12月23日、横浜地方裁判所にて、NECディスプレイソリューションズ株式会社(現シャ ー プ NECディ ス プ レ イ ソ リ ュ ー シ ョ ンズ 株 式 会 社)で休職期間満了で雇止めされた事件について、地位確認を認める勝訴判決を得ました。
弁護団には当事務所の藤田温久弁護士、川岸卓哉弁護士、畑福生弁護士が加わっています。以下、判決を受けての声明です。

 声 明

 本 日 、 横 浜 地 方 裁 判 所 第 7民 事 部 (員 鍋 美 穂 子 裁 判 長 )は、 原 告 伊 草 貴 大 の NECディ ス プ レ イ ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ 株 式 会 社 (現 、 シ ャ ー プ NECディ ス プ レ イ ソ リ ュ ー シ ョ ンズ 株 式 会 社 。 以 下 、 「 NECDS」 と い う )に 対 す る 地 位 を 確 認 す る 原 告 勝 利 の 判 決 を 下 し た が 、 同 社 に 対 す る 損 害 賠 償 及 び NECDSの 指 定 医 に 対 す る 損 害 賠 償 は 認 め な かった。
 本 件 は 、 新 卒 入 社 後 、 パ ワ ハ ラ ・ セ ク ハ ラ 等 に あ っ た 原 告 が 適 応 障 害 を 発 症 し た と ころ 、 NECDSが 、 そ の 適 応 障 害 は 原 告 の 発 達 障 害 に 起 因 す る も の で あ る と 一 方 的 に 決め つ け 、 適 応 障 害 が 治 癒 し た 後 も 、 障 害 者 と し て の 雇 用 を 希 望 し な い 限 り 、 NECDSに は 復 帰 す る 職 場 が な い と し 、 こ れ に 納 得 出 来 な い と す る 原 告 を 休 職 期 間 満 了 に よ る 退職 と し て 、 実 質 的 に 解 雇 し た も の で あ る 。
 本 事 件 は 、 昨 今 の 労 働 現 場 で 急 増 し て い る 労 働 者 の メ ン タ ル 疾 患 に よ る 休 業 に つ い て 、 自 ら の 労 働 安 全 衛 生 上 の 責 任 が 問 わ れ る べ き 被 告 企 業 が 、 労 働 者 に 発 達 障 害 が あ る 等 とし て 、 責 任 を 転 嫁 し 、 実 質 的 な 解 雇 を 行 っ た 事 件 で あ る と い う 現 代 的 な 特 徴 が あ る 。
特 に 、 発 達 障 害 的 要 素 は 「 ど ん な 人 で も 」 持 っ て お り 、 「 特 性 の 濃 い 人 か ら 薄 い 人 ま で グ ラ デ ュ エ イ シ ョ ン 」 で あ る と い う 特 徴 が あ る 。 こ の た め 、 「 発 達 障 害 」 の 診 断 基 準 を 満た さ な い た め 、 疾 病 と は 診 断 出 来 な い 場 合 で も 、 そ の 特 性 故 に 、 病 気 が 再 発 す る 恐 れ が あ る 等 し て 、 元 の 職 場 に 復 帰 さ せ る こ と を 拒 絶 す る こ と が 容 認 さ れ る な ら 、 好 ま し く ない と 考 え る 労 働 者 を 正 に 脱 法 的 に 、 事 実 上 、 解 雇 す る こ と が 出 来 て し ま う と い う こ と に も な り か ね な い 。
 本 判 決 は 、 こ の よ う な 新 た な 手 法 の 問 題 点 を 明 ら か に し 、 「 当 該 傷 病 と は 別 の 事 情 」 を理 由 に 「 休 職 期 間 満 了 に よ り 自 然 退 職 と す る こ と 」 は 、 「 解 雇 権 濫 用 法 理 の 適 用 を 受 け る こ と な く 、 休 職 期 間 満 了 に よ る 雇 用 契 約 の 終 了 と い う 法 的 効 果 を 生 じ さ せ る こ と に な り 、 労 働 者 保 護 に 欠 け る 」 と し て 、 本 件 の よ う な 脱 法 的 手 法 を 断 罪 し 、 休 職 期 間 満 了 に よ る 退 職 を 無 効 と し た も の で あ る 。
 も っ と も 、 本 件 で は 、 NECDSは 、 原 告 の 意 に 反 し て 、 4人 が か り で 原 告 の 両 手 両 足 を 掴 ん で 宙 吊 り に し 、 約 百 メ ー ト ル に わ た っ て 移 動 し て 、 職 場 か ら 閉 め 出 す と い う 、例 を 見 な い 暴 力 行 為 に も 及 ん で い る が 、 本 判 決 は 、 正 し く 事 実 を 認 定 せ ず に 損 害 賠 償 を 排 斥 し た 。
 ま た 、 メ ン タ ル 疾 患 を 契 機 と す る 脱 法 的 解 雇 に は 、 会 社 の 意 向 を 汲 ん だ 会 社 の 産 業 医や 指 定 医 の 関 与 が 散 見 さ れ 、 問 題 と さ れ て き た た め 、 本 件 で は 指 定 医 と し て 関 与 し た 医師 に つ い て も 、 正 面 か ら 責 任 を 問 題 と し た が 、 本 判 決 は 、 原 告 の 実 質 的 解 雇 と の 相 当 因 果 関 係 を 否 定 し 、 指 定 医 の 責 任 を 曖 味 化 し た 。
 電 機 産 業 界 で は 、 2011年 こ ろ か ら 電 機 リ ス ト ラ の 嵐 が 吹 き 始 め 、 既 に 64万 人 に も 及 ぶ 正 規 労 働 者 が リ ス ト ラ さ れ て い る が 、 未 だ に 終 息 を 見 る こ と が な い 。 対 象 と さ れた 労 働 者 は 、 組 織 的 に 強 い 精 神 的 負 荷 を か け ら れ て 、 退 職 を 迫 ら れ て い る 。 原 告 と 弁 護 団 は 、 原 告 が 所 属 す る 電 機 ・ 情 報 ユ ニ オ ン と 共 に そ の 実 態 を 告 発 し 、 本 判 決 を 梃 子 に 、原 告 の 職 場 復 帰 を 実 現 す る と 共 に 、 脱 法 的 手 法 に よ る 不 当 な リ ス ト ラ の な い 社 会 を 目 指 し て 奮 闘 す る も の で あ る 。
2021年 12月 23日
原 告 ・ 弁 護 団 O NECの 不 当 解 雇 と た た か う 伊 草 さ ん を 支 援 す る 会

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NHKサービスセンター雇用継続不当拒否・セクハラカスハラ事件訴訟不当判決に関するご報告及び声明

2021年12月10日 金曜日

 2021年11月30日、横浜地方裁判所川崎支部は、一般財団法人NHKサービスセンター(以下「法人」といいます。)の行った原告の雇用継続拒否を有効として、原告の労働者としての地位の確認を認めず、かつ法人が原告に対する安全配慮義務を怠ったとはいえない旨の不当判決を言い渡しました。

 

1 提訴に至る経緯
 原告は、2002年4月から、1年契約更新で、法人の運営するNHK視聴者コールセンター(現NHKふれあいセンター(放送))において視聴者対応を行うコミュニケータとして採用されました。その後、原告は16回にわたる契約更新を経て、2019年には無期雇用へと転換するに至りました。
 もっとも、原告は、無期転換を果たしたその年、2019年末をもって定年退職となり、その後の雇用継続を拒否されました。また、同コールセンターでは、視聴者からの問合せに名を借りた暴言やわいせつ発言を内容とする電話が多く寄せられ、原告を含むコミュニケータは精神的負担を抱えていたものの、法人は、そのような迷惑電話に対しても、切断したりせずに丁寧に対応することをコミュニケータに求め、コミュニケータの精神的負担を減らす措置を十分に講じてはきませんでした。これに対し、原告は、労働者としての地位の確認及び安全配慮義務違反を主張し、本件訴訟を起こしました。

 

2 今般下された不当判決の内容
 しかしながら本判決は、地位確認について、雇用継続の拒否に客観的合理的理由及び社会的相当性があるとして、本件雇用継続拒否を有効と判示しました。
 原告は16回も更新されるほどに真面目に業務に取り組んで来たにもかかわらず、本判決は、原告の視聴者対応について、一つを取れば些細なものと見得る余地があるとしながらも、法人の主張を前提に原告の職場からの排除を容認しました。
 また、本件コールセンターにおいて、わいせつ発言や暴言を内容とする迷惑電話が横行している職場環境には背を向けて、法人の安全配慮義務を認めず、労働者を捨て駒のように扱う法人の姿勢を追認する判断を行いました。

 

3 社会的にもセクハラ・カスハラへの対策の検討が進められていること
 昨今ハラスメントへの意識は向上しており、厚労省もセクハラ、パワハラ等に対する指針を発出しており、いわゆるパワハラ防止法が成立・施行されるに至っており、これに加えて、2021年1月21日からは、国において、「顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」が設置され、カスハラに対する対策の検討が進められています。
 近年、我が国において、セクハラ・カスタマ―ハラスメント(カスハラ)等のハラスメントを防ぐべき社会規範が現在進行形で形成されているなか、本判決はコミュニケータも人格を持つ個人として尊重されることは当然であるとしながらも、社会の流れに逆行し、接客業にあることを理由にハラスメントを受忍すべき判断をしたものであり、セクハラやカスハラに苦しむ多くの労働者を見放すきわめて不当な判決です。
また、法人は、迷惑電話に対する法的措置を怠った理由としてNHKの最終的な判断に基づくものである旨述べていました。公共放送であるNHKの対応は、法人によるセクハラ・カスハラ放置の原因となっていたのであって、決して許されてはなりません。

 

4 おわりに
 原告・弁護団・全川崎地域労働組合は、本判決の重要な意義を大きな力とし、最終的な原告の救済、ひいては高年齢者の雇用を守り、職場におけるハラスメントに対する適切な対処が行われるよう、今後も闘いぬく決意です。ご支援お願いいたします。
 弁護団は当事務所の川岸卓哉弁護士、畑 福生弁護士です。

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川崎市人事委員会措置要求判定取消訴訟勝訴の報告(弁護士 川岸卓哉)

2021年12月9日 木曜日

2021年9月27日、横浜地方裁判所において、川崎市立小学校に勤務する学校事務職員2名が原告となって、川崎市人事委員会の措置要求判定の取り消しを求めた訴訟で、勝訴判決を得ました。
1 憲法の労働基本権の代償措置としての地方公務員の措置要求制度
民間企業の勤労者の労働条件は、憲法25条で保障された労働基本権の3つの権利、団結権・団体交渉権・団体行動権(ストライキ)が保障され、労働条件の維持改善を図ることが可能です。他方、地方公務員には、労働組合法の適用を排除し、団体協約を締結、争議行為をなすことを禁じ、労働委員会に対する救済申立の途を閉ざしています。そのかわりに、行政に設置された人事委員会(公平委員会)への措置要求を申し立て、労働条件の維持改善を求める制度が認められています。したがって、地方公務員の措置要求制度は、日本国憲法28条において保障された労働基本権の代償措置として、重要な意義を有します。しかし、中立公平な機関であることが責務である人事委員会ですが、実際は行政の一内部機関に堕し、行政判断追従がほとんどで、措置要求制度が十分に機能してきたとはいえないのが実態でした。
2 提訴の経緯 川崎市人事委員会の門前払い判定
今回の裁判も、人事委員会の機能不全がきっかけとなっています。従来、義務教育にかかる教職員の給与費は神奈川県が負担していましたが、地方分権の観点から法改正があり、平成29年度より,政令指定都市の川崎市への税源移譲されることになりました。この際、川崎市は、市給与条例を改正し、学校事務職員について,既存の川崎市の行政職の給料表に位置付けましたが、神奈川県と川崎市では給料表の体系が異なるため、特に平成22年度採用の原告ら県2級の職員が不利益を受けることになりました。そこで、原告らは,職員団体「2級の集い」を結成し,教育委員会と交渉を重ねましたが改善されなかったため、公平な判断を求め、川崎市人事委員会に対し、措置要求の申立てをしました。しかし、人事委員会は、原告らの措置要求に正面から向き合わず、実質的に門前払いをする判定を下しました。これに対して、原告らは、公平な判断を求め、裁判所へ訴訟提起しました。
3 司法の鉄槌により措置要求制度の門が開かれる
  横浜地裁は、判決で、川崎市人事委員会の門前払いの判定は、市給与条例の内容の適否について判断すべきではないという誤った判断に基づき、原告らの要求事項を判断対象から除外し、原告らが要求していない事項について判断したものであるというほかなく、適法な手続きにより判定を受けることを要求し得る権利を侵害するものとして違法と判断しました。そして、原告らに不利益・不均衡が生じていることを看過しているとして、人事委員会の判定を取り消しました。人事委員会の判定は、自らの責務を忘れた公平性を欠く教育委員会の判断追従のもので、取り消しは免れないものでした。本判決は、憲法の代償措置である人事委員会への措置要求制度を無意味なものとせず、鉄槌を下した意義を有します。
  この判決を機に、地方公務員にも憲法の光が及び、措置要求制度の門が正しく開かれ、全国の地方公務員が、措置要求制度を活用して労働条件を維持・改善する道が拓かれればと考えています。   
  川崎市は控訴を断念し、判決は確定しました。川崎市人事委員会は、判決を受けて、あらためて、原告らの不利益・不均衡について、是正の可否及び方法を判断することになります。原告らと支援の全川崎地域労働組合及び川崎市教職員連絡会は、原告らの不利益を解消する完全解決まで、闘い抜く決意です。ご支援お願いいたします。
  弁護団は、川口彩子弁護士と私です。

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