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「日産非正規切り訴訟」今年3月に判決!/藤田 温久 2014.2
2016年8月17日 水曜日
Ⅰ.日産自動車、日産車体で働いていた非正規労働者8000人が雇い止めにあった事件で、5人の原告が、横浜地裁に、日産自動車、日産車体等4社、を被告として、地位確認、損害賠償請求等を求めている訴訟が、2009年5月の提訴以来4年半の審理を経て昨年11月に結審しました。
Ⅱ.この裁判は、裁判所の異常な偏見に満ちた訴訟指揮に対し、裁判官を忌避し、弁論更新を経た後、昨年4月から毎月全1日の証人尋問(原告5人、証人9人)を7月まで実施、原告側だけでも28回も準備書面(最終書面だけでも430頁)を提出し、証拠も数百提出され、傍聴者が毎回傍聴席を埋め尽くすという大訴訟でした。
Ⅲ.審理を通じ、被告日産で、①異常なまでに多数かつ多様な派遣法違反や各種法令違反の存在と、②①が全グループ的・継続的なものであることが明らかになり、③それら違法行為は、組織的計画的に常用代替禁止原則の脱法、ひいては「解雇権濫用法理」の脱法を狙っておこなわれたことが立証されました。
Ⅳ.このような「脱法目的により非正規労働契約の悪用」が、30年前に15%に過ぎなかった非正規労働者が2013年には36.2%実に5人に2人が「非正規労働者」という惨状を導いたのです。就活自殺、未婚率の増大、少子化などの主要な要因の一つも「非正規化」によるワーキングプアーの激増です。
Ⅴ.今年3月25日に予定される判決言渡しにおいて、被告らの強欲な利益追及目的のためになされた組織的脱法行為により「物」として切り捨てられた原告らを、被告らに雇用責任を負わせることで救済し、約2000万人の非正規労働者ひいては我が国の未来に一条の光を与えることこそ、裁判官に求められる憲法的責務だと思います。
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|アメリカ便り:日本について考えてみました/石井 眞紀子 2014.2
2016年8月17日 水曜日
昨年秋から、米国のロースクールで学んでいます。
米国のロースクールは留学生が多く、国際色豊かです。そのためか、私の受講している国際人権法関連の授業で「国際人権水準というけれども、人権とは結局西洋的価値観では?」という問いかけが、特にマイノリティー出身の研究者から何度となくなされます。そもそも、「人権」に該当する言葉は日本語にもともとあるのか、それとも翻訳なのか、と聞かれて、ルーツを調べるとやはり翻訳なのでした。
そのような中で、先日読んだ文献で印象深かったのは、「人権という概念は確かに西洋で生まれた。それは、国家による過酷な弾圧という西洋の体験に基づくものである。西洋に限らずそれぞれの国で、それぞれの歴史の流れに従い生まれた人権思想がある。」との主張でした。考えてみると、日本でも歴史の中で生まれた独自の人権思想があるのではないか。特に戦後、もう戦争は嫌だ、国家の道具にはなりたくない、そして原爆は絶対に許さない、という、経験に裏付けされた力強い人権感覚というものが、日本人には確かにあるのではないか、と思い、少し目が覚める思いがしました。
そういうわけで、憲法はアメリカに押し付けられただとか、自虐史観だとか、そういう話をする前に、日本人固有の過酷な体験から得た人権思想を、もう一度大事にしたらいいんじゃないかな、なんて思いを巡らせたりして、学生の身分ですので贅沢な思考の時間を楽しんでいるところです。
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|川崎の脱原発運動について/三嶋 健 2013.10
2016年8月17日 水曜日
1. 原発事故は収束していない。
連日、福島第1原子力発電所から、放射能に汚染された地下水が海に流出し続けていることが報道されています。原発事故は決して終わっていません。
2. 「原発ゼロへのカウントダウン IN かわさき」
2012年1月、私たちは、脱原発を訴える集団・個人の連絡組織である「原発ゼロへのカウントダウン IN かわさき」を結成し、災害1周年の3月11日には、平和公園で1600名の集会を成功させました。その年11月には、東電との討論会、キャンドルデモを実施し、断続的に川崎ラゾーナ前の金曜日行動に取り組み、2周年の1400名の集会とデモの実施、7月の脱原発コンサートと精力的に運動を展開しています。仲間の中から、再生可能なエネルギーを市民の手で進めようというグループも結成され、活動の幅も広がってきています。
3. 参議院選挙後の情勢
今年の7月の参議院選挙で、原発推進をかかげる自民党が多数の議席をとりました。政権は早速、前政権の「2030年代までに原発稼働ゼロ」政策の見直しに着手するとともに、「原子力発電の活用」をアベノミクスの「成長戦略」の一環として位置づけて、再稼働を急ぎ、海外に原発の輸出を強行しようとしています。原発事故の環境や人の命への影響の大きさを軽視しているとしか思えません。
4. 10月13日の統一行動に参加しよう
10月13日12時に、全国組織三団体が、日比谷公園に集まり、統一行動をします。私たちも、川崎駅ラゾーナ前、登戸駅の広場、武蔵溝ノ口に、反原発の黄色いシンボルカラーを身につけて集まって、日比谷公園の行動に参加し、原発推進政策に歯止めを掛けたいと思っています。未来の子ども達に、安全な日本を託したいと願っている全ての方々に呼びかけます。一緒に行動しましょう。
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|川崎港3基目のガントリークレーン導入の無駄/星野 文紀 2013.10
2016年8月17日 水曜日
私は、かわさき市民オンブズマンという団体の活動で川崎市の税金の無題使いを、監視する活動をしています。
昨年6月、川崎市は川崎港に3基目のガントリークレーン(コンテナ荷揚げ用クレーン)を導入することを決めました。しかし、川崎港にはすでに2基のガントリークレーンがあり、その2基のクレーンも十分に活用できていないのです。すでに、あるものも十分活用できていないのに9億円もの税金をつぎ込んで新しいクレーンを作ることは、必要のないところに税金を支出する違法行為ですので、かわさき市民オンブズマンは川崎市に対して6月に住民監査請求を起こしました。
住民監査請求のなかで我々が主張したことは、主に次の通りです。
(1) 需要がない
川崎港のすぐ目と鼻の先には、横浜港、東京港という川崎港の100倍を超す国際コンテナの取り扱い実績のある港があり、川崎港にコンテナ船がよる必要がない。
(2) 今あるものでさえ過剰な施設である。
川崎市の資料によれば、2011年度で川崎港コンテナターミナルのガントリークレーンが2基同時に動いた時間1年で累計10.5時間しかなく、年間のほとんどの時間片方のガントリークレーンしか動いていません。
処理能力の点でも、現在の2基のガントリークレーンは年間処理能力12万5千TEUの3割に満たない年間コンテナ取扱実績3万2千TEUしか稼働していないのです。
つまり、現状でも川崎港のガントリークレーン数は過剰と言えるような状態であります。
(3) クレーンを増やしてもコンテナ需要が伸びないことは明白
今述べたとおり、述べたとおりクレーンの数は十分すぎるのであり、十分すぎるものを拡充しても、需要が伸びる訳はなく、クレーンを増やしても需要が伸びないことは明白です。
(4) 公共性がない
2011年の川崎港のガントリークレーンの使用許可実績をみると、1社しか申請しておらず、川崎港コンテナターミナルは1社の為の施設となっています。
市が税金を使って埠頭を整備することが許されるのは、市民の為にみんなが利用できる、公共性をもった埠頭が必要だからです。1社しか使っていない埠頭にもはや公共性はなく、これ以上市民の税金をつぎ込んで整備する必要はありません。
しかし、川崎市はコンテナ需要が伸びる可能性があるとして、われわれの請求を認めませんでした。市民の税金の無駄使いを防ぐため、住民訴訟において更なる追求をしたいと思います。
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|憲法学習会をやりませんか?/小野 通子 2013.10
2016年8月17日 水曜日
『日本国憲法を口語訳してみたら』(幻冬舎、塚田薫著)という本が昨年夏に出版されて話題になりました。みなさまも書店で単行本が平積みにされているのを見たことがあるのではないでしょうか。少し引用しますと、有名な憲法前文は「俺らはちゃんとみんなで選んだトップを通じて、うちらのそのガキのまたガキのために、ご近所さんと仲良くして、みんなが好きなことできるようにするよ。また戦争みたいなひどいことを起こさないって決めて、国の基本は国民にあることを声を大にして言うぜ。それがこの憲法だ。」などと口語訳されているようです。この内容はさておき、この本が全く憲法を知らない人にも手に取りやすい本であったことは確かでしょう。このような本が話題になっていることからも、現在、未だかつてなかったほど、憲法改正問題への国民の関心が高まっていることがわかると思います。
今年7月の参議院選挙での自民党の勝利を受けて、憲法改正の恐れはますます高まっています。川崎合同法律事務所でも、今年の年明けから神奈川県の各地で企画された憲法学習会に講師として参加し、憲法の大切さ、改憲の問題点を皆様に伝えるべく頑張ってきています。
今年になってから、参加者10名の小規模な学習会から、参加者100名を超える学習会まで、川崎合同法律事務所の弁護士が講師となった学習会は40回、参加者は1000名を超えました。学習会の内容は、主催者からの要望に合わせ、憲法の内容を紙芝居などを使ってわかりやすく解説する基本的なものから、集団的自衛権や自民党改憲案の問題点を参加者と討議し合うものまで様々です。参加者からは、「憲法がどのように国民を守り、権力を抑制しているかを再認識した」「96条は絶対に変えてはいけないと思う」などの声が寄せられました。
最近は、憲法改正がニュースなどで取り上げられることも多いですが、疑問はありませんか?川崎合同法律事務所の弁護士が、みなさまの疑問にお答えします。ぜひ、身近な仲間と一緒に憲法学習会を開いて、私たちに声をかけてくださいね。
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|原発の光景/神奈川支部 渡辺 登代美 2013.9
2016年8月17日 水曜日
【双葉郡楢葉町】
避難指示解除準備区域。宿泊は制限されているが、昼間は自由に行くことができる。但し、店もなく、人もいない。
地震で屋根瓦が落ちたままの母屋は、雨水が入り放題。玄関を開けると、畳を突き破って丈高い草が生え、立派なキノコが成長していた。
すぐ隣に新築した長男家族の家は、避難時の生活を残したまま無傷である。しかし、幼い子のいる長男一家は、もうこの家に戻ってこない。
【骨】
数日だろうと、とにかく避難した。牛舎につながれ、取り残された牛。今は、大量の骨。骨は臭わない。肉と皮が腐っていたときの臭いは、想像を絶する。
生き残った牛たちは、放射能に汚染された餌を食べた場合の影響を調査するために、わざわざ、さまざまな程度に汚染された餌を与えられて、生かされている。
【帰還困難区域】
国道6号線が開通。沿道の民家の前は金属製の矢来で塞がれ、側道にも防御柵が。
許可を得て防御柵内に入る。帰途。脇道までよく知った地元の道であるのに、人のいる防御柵をみつけなければ6号線に戻れない。どこが塞がれており、どこに人がいるのか、帰宅する住民には何も知らされていない。
【除染】
除去された土壌など、放射性汚染物質は一立米くらいの黒いごみ袋様のものに入れられている。それらは、数百個単位で、元は水田だった、今はセイタカアワダチソウの群生地のそこここに野積みされている。
【海】
よく釣りをした堤防は地震で数メートル沈下し、コンクリートが割れて海に没している。もう釣りはできない。津波の際、放置されたままの車。山積みされた船の残骸。祭りももうない。
【街】
2年半前から、時間が止まっている。地震で壊れた家並。倒れたままのブロック塀。親しかった人たちの家。今は、誰もいない。
【帰宅】
自分の家に帰るだけなのに、許可申請をし、防護服を着て、検問で身分証明書を提示する。
元は自家菜園だった草地からたくさんの雉が飛び立つ。庭に散らばる小さな骨々は、これらの鳥が小獣に捕食されたものだろう。
【放射能】
さまざまな種類の測定器をもち込み、帰宅する度に線量を測る。ほとんど下がっていない。
【双葉町】
帽子、マスク、手袋。35度を超える猛暑の中、全身白づくめの防護服を着て、汗びっしょりになって除草剤を撒き、墓前に手を合わせる。
【生業を返せ、地域を返せ!】
原発で利益を得ただろうという人たちもいる。しかし、全財産を、全人生を失っても良いほどのものではあり得ない。怒り。こんなことは、二度とあってはならない。
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|川崎公害「生涯」の取り組み/篠原 義仁 2013.9
2016年8月17日 水曜日
1
1970年4月、大気汚染の激じん地、川崎合同法律事務所に入所。
秋から、一年先輩の杉井厳一さん、大貫端久さん(東弁)、同期の岡村共榮さんと私は、公害病認定患者の名簿をもとに住宅地図に一軒一軒プロットして準備を整え、患者訪問活動を行うこととした。目的は、被害者救済と公害対策に関する患者要求の聞き取りで、この作業は、町内別小規模集会、要求のとりまとめ集会を経て、「38項目」要求としてまとめあげられた。
地域に入り、患者の声を要求にまとめあげ、関係団体の協力を得て、川崎市交渉へと発展させていった。
2
川崎の公害対策は、71年に成立した革新自治体の施策によって、一定の前進をみたものの、巨大汚染源のコンビナート群(固定発生源)の抵抗と自動車排ガス規制(移動発生源)の停滞によって、抜本的な改善は進まなかった。
そうしたなかで、78年7月に環境庁がNO2環境基準の改悪を強行し、経団連がマル秘文書で公害健康被害補償法の廃止を唱えるところとなった。そこで、川崎でも、大阪・西淀川訴訟につづき、大量の原告団を組織して、裁判を提訴することとした。請求は損害賠償請求と大気汚染物質の排出規制・差止請求の2本柱。提訴後に、公害で破壊された地域の「環境再生とまちづくり」という運動上の要求も加えられた。
3
82年3月に提訴。以後2次~4次と追加され、原告団は、440名に達した。弁護団団長は、矢島惣平さん。一審判決後、体調を崩したため、その後は、加藤満生さんが就任。
裁判は、96年の企業和解まで14年余、99年の国和解までに、さらに2年半を要した。国との和解条項では、「公害の根絶」と「環境再生とまちづくり」をめざすこととして、被害者と加害者が対等平等に協議する場の「道路連絡会」を制度化した。
和解後、原告団と弁護団は、前記目的を達するまで、「解散しない」と宣言し、現在に至ってもこの活動を継続している。
ちなみに、国道15号、国道1号の環境にやさしい道路構造対策、道路沿道対策、緑化対策は目にみえた形で進行し、今は、自動車専用レーンづくりが進んでいる。
川崎市交渉もこれと結合して進められ、地下街アゼリアや駅前広場の改造も行われ、駅前の平面横断も「社会実験」をふまえて実現させた(近々にも、川崎駅北口の大改造も開始される)。
公害裁判勝利和解の成果は、こうした「まちづくり」の実践とも連動して現在進行形の形で進んでいる。
従って、加藤団長以下、団員は「生涯」、川崎公害弁護団として取り組みを継続する「さだめ」となっている。
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|知っていますか?自民党改憲草案が目指す国の在り方/ 川岸 卓哉 2013.7
2016年8月17日 水曜日
自民党が発表した改憲草案を知っていますか。憲法は、国の最高法規です。ですので、憲法に反する政府の行為や、国会の作った法律はすべて違憲無効となります。憲法は、まさに国の在り方を決める、国にとって一番大事な法です。自民党改憲草案には、自民党が考える、将来の国の在り方が表れます。以下、自民党改憲草案のポイントをご紹介します。
①国民の服従を強いる天皇制へ
自民党改憲草案は、天皇の元首化、君が代、日の丸、元号を憲法上制定するなど、天皇を国民の上に君臨する存在としています。これは、国の在り方は独裁者ではなく、私たち国民ひとりひとりが決めるという「国民主権」に反する内容です。
②戦争をする国への転換
現行憲法では、前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。」9条2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と、平和主義、戦争放棄を定めています。しかし、自民党改憲草案は、これらを全て削除し、「国防軍」という名の軍隊を設けます。平和主義を放棄し、戦争をする国へ転換します。
③表現の自由の制限
自民党改憲草案では、表現の自由に、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない」とわざわざ留保をつけています。この目的は、政府を批判するような情報についての国民の知る権利の制限、言論・政治活動の規制にあります。
④地方自治の破壊と住民切り捨て
地方自治については、道州制を導入します。これは、国の責任を限定し、住民の福祉・安全に対する責任を地方自治体に転嫁します。結局、生存権の保障は骨抜きになり、ナショナルミニマム(政府が国民に対して保障する生活の最低水準)が失われることになります。
⑤国家緊急権による民主主義封殺・人権抑圧体制
自民党改憲草案では、国家緊急権を定めています。これは、「緊急事態」と宣言された場合、政府に、通常時では認められないような強力な独裁権限を認めるものです。このような国家緊急権は、戦前の明治憲法に規定されていた内容の復活です。戦前には、政府に反対する国民の弾圧に使われました。軍部の台頭を許した暗黒政治に逆戻りする危険があります。
以上のように、自民党が憲法を変えたい狙いはどこにあるのでしょうか。それは、大企業とアメリカの要請に応えるためです。第1に、大企業の負担軽減のために、社会保障の切り下げをし、これによって生活が苦しくなる国民に対し天皇のために耐えがたきを耐えなければならないと思想統制する、一方、反対する国民の表現の自由を制限し、弾圧できる体制を作ります。第2に、世界の「警察」として自由市場を守るアメリカの軍事費負担軽減の要請から、アメリカのかわりに戦争をすることにあります。
7月の参議院選挙では、自民党は、以上のような憲法改正草案の実現をしやすくするため、第一歩として、憲法96条の憲法改正要件を緩和することを争点にしようとしています。しかし、このような自民党改憲草案がめざす「国の在り方」にしていいのでしょうか。
川崎合同法律事務所では、憲法学習会の講師派遣を行っています。是非、自民党改憲草案について学び、国の在り方について一緒に考えていきましょう。
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|派遣労働者に、派遣先会社(マツダ)との労働契約認める! 山口地裁が画期的判決/藤田 温久 2013.7
2016年8月17日 水曜日
1
3月13日、山口地裁は、大手自動車メーカー「マツダ」に、労働者派遣法違反にとどまらず、「常用雇用の代替防止」という労働者派遣法の根幹を否定する「組織的かつ大々的な違法状態を創出する意図」があったとして、派遣労働者と派遣元会社との派遣労働契約を無効であるとし、かつ、派遣労働者と派遣先「マツダ」との間に黙示の労働契約が成立しているとの判決を言い渡しました。マツダが、法定の派遣可能期間(当初1年、現在は3年)経過後、3ヶ月と1日だけ、その労働者をサポート社員として直接雇用し、その後再び派遣労働者として受け入れる制度(「サポート社員制度」)を導入し、特定の労働者を派遣可能期間を超えて派遣として使用し続けてきたこと等を断罪したものです。
2
かつて、我が国では「正社員」が当たり前でした。ところが、「小泉改革」以降10年間で、20%程度だった非正規労働者(派遣・契約社員等)は37%まで激増し、20歳代では45%にまで達しました。正社員を非正規労働者に置き換えた結果、大企業は儲けに儲けて、バブル期の3倍266兆円もの巨額の内部留保をため込みました。期間の定めがない労働者=正社員は、合理的な理由と社会的相当性がない限り解雇ができず、賃金水準も高いのに対し、非正規労働者は期間が来れば「雇い止め」ができ、賃金水準も圧倒的に低いからです。そこで、労働者派遣法も、「常用雇用の代替防止・正社員の非正規労働者への置きかえ禁止」のため派遣可能期間など様々な規制を課してきました。しかし、大企業は、派遣法の規制などに違反してまで非正規労働者を使い続けてきました。
3
このように違法に働かされてきた派遣労働者が、リーマンショック後、20万人以上も、「雇い止め」にされました。これに対し、全国で80件以上、派遣先の大企業を相手に、非正規労働者が、本来正社員であるべきだったのだから直接労働契約があることを確認するよう求める裁判を起こしました。今回の「マツダ」判決は、松下プラズマディスプレイ最高裁判決(2009年12月)がいう派遣労働者と派遣元会社との間の雇用契約を無効とする「特段の事情」を認め、派遣労働者と派遣先会社との間に黙示の労働契約が成立することを認めた画期的判決です。
4
マツダ判決は、現在闘われている、我が神奈川のいすゞ、日産、資生堂等を相手にする訴訟にも大きな影響を与えるものとなるでしょう。希望する人は誰でも正社員として働ける、当たり前の世の中に転換する第1歩としたいものです。
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|福島原発事故の被害救済をもとめる訴訟を提訴しました!/ 中瀬 奈都子 2013.4
2016年8月17日 水曜日
去る2013年3月11日、福島原発事故の被害救済を求める訴訟が各地で提訴されました。新聞やテレビで大きく報道されましたので、ご存じの方も多いと思います。
〇提訴について
篠原弁護士・渡辺弁護士・川岸弁護士・私が所属する「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団は、国と東京電力を被告とし、原状回復と慰謝料を求めて、福島地方裁判所本庁に、提訴しました。
原告数は、800名ちょうど。原告は、原発事故時に福島・宮城・山形・栃木・茨城の各県に居住していた方々で、そのまま居住地にとどまっている方約600名と、事故時の居住地から、北は北海道、南は沖縄まで避難されている方約200名、年齢は事故時0歳児から88歳まで、属性も農業、事業者、会社員、主婦、年金生活者、教員、漁業関係者・・・と実に様々です。また、原発事故時の居住地が福島県にあった方が9割です。
提訴当日、澄んだ青空の下に約200名の原告・弁護団員・支援者が全国各地から集まりました(沖縄から飛行機でいらっしゃった方も!)。冒頭、震災で亡くなられた方々に対し、黙とうを捧げた後、「生業を返せ、地域を返せ!」の横断幕を先頭に、強い風が吹き付ける中、福島地方裁判所に向けていっせいに行進しました。
門前まで行進した後、私は、原告団長の中島孝さん、弁護団幹事長の南雲弁護士とともに、みなさんに見送られ、訴状を提出しました。800名分の委任状はずっしりと重く、原告のみなさんの想いが込められていると思うと、身の引き締まる思いがしました。
裁判所の敷地内へ入る際、中島原告団長が、「今から提出してくるぞ~!」と訴状をかかげると、集まったみなさんから「おぉ~~~~!!」と大きな、そして力強い声がかえってきました。
午後は、報告集会を行いました。原告のみなさんから、裁判にかける想いや、この取り組みをもっと大勢のひとに広げていくことの大切さや意気込みが語られました。沖縄に避難している方からも、「遠く離れているけれど、気持ちは福島と一つ。一緒に団結して取り組みたい」と発言がなされました。
中島原告団長からは、「原発事故後、不安な日々を過ごしていたが、被害回復のために何か行動しなければという思いで声をあげた。放射能は、福島だけでなく多くの地域へ飛散した。この集団訴訟は、原告になった人だけが救済されるものではなく、被害者全体の救済を求めるものであり、世の中全体の利益のために行うものである。まだ原発事故にこだわっているのかと心無い言葉をかけられることもあるかもしれないが、我々の痛みを周囲が理解していないからといって諦めることはない。訴訟はこれから始まる。大きな原告団に育てていこう!」と力強い決意が語られました。
〇提訴まで……
弁護団は、800名の原告と、福島・米沢・沖縄の各地で開催された説明会を通じて出会いました。説明会は、週末はもちろん、平日も開催され、ときには同日に3カ所開催ということもあり、第一次提訴までに実に40回以上開催されました。
昨年末、いよいよ3.11に提訴する、ということが決まったあと、私も、毎週末のように福島に通いました。福島・郡山・二本松といった中通り地方から、相馬・南相馬の浜通り地方まで、ときには、米沢、そして沖縄へひとっとびすることも。休日返上で説明会へ参加する日々は、体力的に厳しいものではありましたが、各地にちらばった被害者のみなさんのご苦労や、元の生活をとりもどしたいという強い思いに触れることで、力がみなぎる思いがしました。
また、説明会の開催にあたって、県北、南相馬、相馬・新地などの被害者の会や米沢、沖縄などの避難者の会、各地の民商や農民連の事務局の方々が、電話がけをしたり、地元紙にチラシを折り込んだりして参加を呼びかけるなど、大変な努力を続けてこられていることに、とても力強く感じました。
毎回毎回の説明会で、たくさんの方たちと出会い、お話できたことは私にとって大きな財産です。
〇私たちのもとめるもの
800名の原告で構成された原告団と弁護団は、今回の事故を「公害」と位置づけ、国と東京電力の責任を追及しつつ、被害者の根本的な要求である「原状回復」と「完全賠償」を実現させ、全体救済のための制度化を求めています。裁判は、このような取り組みを実現させるための一つの手段として位置づけられています。私たちは、裁判だけですべてが解決するとは考えておらず、裁判と並行して、国や東電と直接交渉したり、要請活動をしたりと、力強く運動を進めていきます。
〇これから……
私たちは、「原告1万人目標」を合い言葉に、今回の提訴にとどまらず、どんどん追加提訴を行い、原告数を増やしていくとともに、この取り組みを全国的なムーブメントにしていきたいと考えています。
そのために、全国各地での脱原発運動と連携していくことも重要だと考えています。川崎にもたくさんの避難者の方がいらっしゃいますし、エネルギー政策という身近な問題として、みなさんにも応援をしていただければ幸いです。
3.11提訴が終わった週末も、ひとやすみ……とはいかず、第2次提訴に向けた説明会を開催しました。また、裁判の当面の主張立証に向けた準備も、もちろん進めています。長い取り組みになりますが、若手中心の弁護団ですので、元気いっぱい突き進んでいきたいと思っています。ご支援をよろしくお願い申し上げます!
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