トピックス

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「茶のしずく石鹸」事件/小野 通子 2012.9

2016年8月17日 水曜日

 昨年5月ころから、ある石鹸を使っていたら突然小麦アレルギーを発症して、救急車で運ばれてしまったという相談を何件も受けるようになりました。その石鹸というのは、昨年5月に株式会社悠香が自主回収を行なった通称「茶のしずく石鹸」です。

 これは、それまで小麦アレルギーを持たなかった方が、「茶のしずく石鹸」と使っていると、小麦アレルギーを発症し、小麦含有製品を食べた場合、かゆみ、蕁麻疹のみならず、下痢、嘔吐、血圧低下、呼吸困難を発症し、重篤な場合には、ショック状態となり救急搬送されるなど生命の危険にさらされるというものです。

 我々弁護団は、神奈川在住の被害者27名を原告とし、今年4月20日、横浜地方裁判所に製造物責任法に基づく損害賠償請求を提起しました。同日、全国でも、一斉に訴訟が提起されました。被告悠香および製造会社らは、「茶のしずく石鹸」に欠陥があることを認めず、争う姿勢をみせています。

 我々の現在の食生活において、小麦が入っていない食品を探すことは容易ではありません。お菓子やパン、パスタ、ラーメン、うどんはもちろんのこと、カレーやハンバーグにも小麦は含まれています。好きなものを一生食べられないかもしれない、過って食べたら死んでしまうかもしれない、原告らは食べる楽しみを奪われ、常に恐怖を抱えながら食事をしなければならないのです。このような被害を発生させた会社の責任逃れを許すことはできません。

 事件は始まったばかりです。応援よろしくお願いいたします。

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原発ゼロへの行進はつづく/鈴木 亮平 2012.9

2016年8月17日 水曜日

 7月16日、猛暑のなか東京・代々木公園で開催された「さようなら原発10万人集会」には、全国から17万人もの個人・家族・グループが集まりました。私たちも、所員どうし声をかけあって参加しました。

 この間、毎週金曜日には首相官邸前で大規模な抗議行動が行われています。当初数百人だった参加者は、大飯原発再稼働を目前に控えた6月29日には20万人にまでふくれあがりました。7月29日に行われた「脱原発・国会大包囲」には、やはり20万人もの人が集まり、私たちもペンライト片手に集会・デモ行進に参加しました。

 今年の3月11日。東日本大震災、そして東電福島第一原発事故から1年となる日。ここ川崎では、「原発ゼロへのカウントダウン in かわさき」が開催されました。多くの市民の手によって開催されたこの集会・デモ行進には、約1600名もの川崎市民が集いました。事務所の所員も、実行委員会事務局として参加しました。

 この川崎の集会から半年が経とうとしています。大飯原発の再稼働後、脱原発・反原発への行動は、広く世論を巻き込みながら、ますます大きなうねりとなっています。私たちも、多くの人々とともに、原発ゼロへむけて行進を続けていきます。

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比例定数の削減に反対しよう/川口 彩子 2012.9

2016年8月17日 水曜日

 テレビで映される国会議員の姿を見て、この人たちは本当にちゃんと国民のために仕事をしているのだろうかと疑問に思うことはありませんか?

 野田政権は、国民に消費税増税の痛みを押し付けると同時に、「自ら身を切る」と称して衆議院議員の定数を削減する法案を提出しました。現在の衆議院議員の定数480人のうち、小選挙区から5人、比例代表から40人、合計45人の国会議員を減らそうというもので、法案には将来的に比例代表をさらに35人減らすことが盛り込まれています。

 しかし、本当に国会議員の数を減らしてもいいのでしょうか。私たちの声を代表する人が少なければ少ないほど、多数の意見のみが取り上げられ、少数の意見は切り捨てられてしまいます。「国会議員の質の劣化」の原因は、トップ当選の声しか反映されない「小選挙区制」にあります。いま求められているのは、比例定数の削減ではなく、私たちの声が届く選挙制度に改めていくことです。選挙制度の抜本改革は、民主党以外の野党が一致して求めており、今がその実現のチャンスです。

 川崎合同法律事務所では、選挙制度を分かりやすく解説する学習会の講師をお引き受けしています。最新の情勢を学んでみませんか? 

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『3・11原発ゼロへのカウントダウン in かわさき』開催のお知らせ/ 川岸 卓哉 2011.3

2016年8月17日 水曜日

1 開催の経緯
『3・11原発ゼロへのカウントダウンin かわさき』チラシ 3月11日(日)に、『原発ゼロへのカウントダウン in かわさき』を、川崎市中原区の中原平和公園で開催します。
 東京電力福島第1原子力発電所の事故から1年がたとうとしています。事故で放出された放射性物質により、いのちと暮らしをはぐくむ自然環境は汚染され、私たちは不安のなかでの暮らしを強いられています。
 原発事故は、私たちが原発と共生できないことを明確にしました。
 きたる3月11日は、東日本大震災の犠牲となられた方々への追悼の日であるとともに、「原発ゼロ」へむけて、決意をあらたにする日にしたいと私たちは考えています。
 このアクションの開催の経緯は、実行委員会事務局長をされている丸山健二さんが、昨年秋にお子さんが産まれ、子供の未来のために、反原発アクションを川崎でやるとこを提案したのがきっかけです。
 その後、あらゆる立場や考え方を越えて、「原発ゼロをめざす」という一点で、呼びかけ人には、川崎にゆかりのある、ミュージシャン、俳優、小説家、神父、学者、医師、法律家などが名を連ねています。また、賛同人には、呼び掛け開始からわずか1か月で1000名近い市民が名を連ねています。

2 かわさき1万人アクション
 2012年3月11日。東日本大震災と福島原子力発電所事故の発生から1年となるこの日は、全国各地で犠牲者の追悼と、脱原発のとりくみがおこなわれます。
 川崎市内でも、各地で集会が計画されています。
 会場は違っても、「原発ゼロ」への思いを同じくする人とつながり、市内で合計1万人を超えるアクションとなることをめざして呼びかけています。
 そのつながりを目に見える形に表すため、シンボルカラーをイエローとして、他の会場との共同のテーマカラーとなることを検討しています。参加者のみなさまにもイエローを身につけてご参加頂くよう呼びかけています。
 また、同日、神奈川県内外でも様々な原発を考える催しが行われます。
 私たちは、様々な行動と連帯する取り組みに努めています。すでに、横浜も、私たちの呼びかけに応えて、「原発ゼロへのカウントダウンinかながわ」の開催を決定しました。また、全国規模のアクションである「さよなら原発100万人アクション」とも、ホームページ上で相互リンクを張って、連携しています。

3 川崎合同法律事務所の関わり
 今回のアクションには、川崎合同法律事務所の所員も大きく関与しています。篠原義仁弁護士が呼びかけ人、三嶋健弁護士が実行委員長、事務員の鈴木亮平さんが事務局次長、私が事務局となっています。また、当日の司会を中瀬奈都子弁護士、リレートークを渡邊登代美弁護士が担当します。加えて、会場に原発訴訟関連のブースを当事務所で出し、そこにも他の多くの弁護士が参加予定です。

4 決めるのは、わたしたち
 私は先日、福井県で行われた、全国で原発差し止め訴訟に取り組んでこられた弁護士の会議に参加してきました。そこで先生方が口々に言っていたのは、運動の重要性でした。
 これまで、全国で、幾度も、長く困難な原発差し止め訴訟は提起されてきました。しかし、地震や津波による事故の危険性は法廷で十分に明らかにされていたにも関わらず、結局原発の差し止めは裁判所に認められませんでした。そして、先生方の警鐘むなしく、福島原発事故は起きてしまいました。なぜ、裁判所が差し止めなかったのか。それは、安全神話を信じる世論があったからです。原発の是非といった国の在り方に関わる政策形成訴訟は、裁判所は判決に対する批判を避けるため、世論に従った判断をする傾向にあります。
 福島原発事故後も、国や、電力会社等大企業の原発推進勢力は、情報統制によって、原発の危険性や放射線被害をできるだけ小さく見せようとしています。それに従属した報道しかしないマスコミに、期待することはできません。私たち市民レベルで、脱原発の全国規模での運動を作り、推進勢力に対抗する必要があります。今回の川崎でのアクションは、全国でのそういった運動の一端を担っていると位置づけられます。
 みなさま是非、3月11日は中原平和公園にご参集下さい。

5 企画概要
と き   2012年3月11日
場 所   中原平和公園(野外音楽堂)

【プログラム】
開 場    11:00 模擬店・展示ブース(広場)
文化行事  12:00 和太鼓、子供たちによる合唱、バンドによる演奏 ほか
開 会    13:00 黙祷
医療・経済・法律 専門家によるリレートーク
市民による「原発ゼロへのアピール」 ほか
デ モ    14:00 「原発ゼロへの行進“誰でもデモ”」

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年末ワンストップ相談会 in かながわ開催のお知らせ/小野 通子 2011.12

2016年8月17日 水曜日

 反貧困ネットワーク神奈川では、一昨年、昨年に引き続き、今年も、後記の要領で、年末相談会を実施いたします。
 平成20年のリーマンショックにより多くの労働者が派遣切り等により失業しましたが、本年度も、近時の急激な円高の影響もあり、雇用情勢の悪化は改善の兆しは見せず、反貧困ネットワーク神奈川には、現在も、労働、生活保護、住居、求職相談等が多数寄せられております。
 また、雇用保険の適用がなく雇用喪失と同時に住居も失い路上生活を余儀なくされる方々の存在も未だに確認されるところであり、今年の年末年始を路上で生活することを余儀なくされる方が続出することは間違いがありません。
 加えて、今年は、震災及び原発事故により、多くの被災者が、家族・仕事・財産も失うという、生活の基盤を根こそぎになってどん底の貧困に追いやられるという事態に至っています。

 そこで、反貧困ネットワーク神奈川は、仕事と住居を失い生活に困っている人々が寒い空に放置されることがないようにするとともに、様々な悩み・問題を抱える方達が今年中に少しでもこれらの問題の解決の道筋がつけられるようにするために、一昨年、昨年実施した年末のワンストップ相談会を今年も引き続いて実施することにいたしました。

 言うまでもなく、貧困問題は、現在の我が国において取り組まねばならない、極めて重要な人権課題です。折しも、今年は、横浜弁護士会においても、貧困問題対策委員会が立ち上がり、重点的な課題として取り組んでいくことが決定しています。
 また、今回は、横浜パーソナルサポート・サービス(生活・しごと∞若者相談室)の方達にも相談担当をしていただくことになっております。
 多数の皆様の参加をお待ちしています。

日程:平成23年12月18日(午前10時~午後4時)
場所:大通り公園(石の広場)
内容:生活保護、医療、労働、住居、債務整理等の各種相談(無料法律相談も含む)、
    震災・原発関連相談
    炊き出し実施

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東京電力福島原子力発電所事故に思う/渡辺 登代美  2011.9

2016年8月17日 水曜日

 3月11日に発生した東日本大震災によって、東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故は、レベル7という最も深刻な事態に陥っている。何も知らされずに放射線に被曝させられ、着の身着のままで避難させられ、故郷の地と生活の糧を失い、しかもこの先、いつ戻れるかわからない、そんな被災者の蒙った損害は、誰が賠償するのだろうか。

■ 地域再生・生活再建を
 原子力損害の賠償に関する法律は、被害者の保護と原子力事業の健全な発達に資することを目的として、原子力事業者である東京電力に無過失責任を課している。そして東京電力との賠償交渉の目安とするため、原子力損害賠償審査会で指針を作成しており、8月5日に中間指針が発表された。

 この中間指針では、避難対象区域から避難した人の損害や、農林水産物・観光業に対する風評被害などが対象とされている。今後は、避難対象区域外から避難した人の損害についても、検討される予定である。

 ただこの指針では、損害賠償に焦点がおかれているため、地域再生・生活再建という被害者の原状回復の視点が全く欠けている。街の八百屋さんは、店を作り直す費用を賠償してもらっても、街が復活して人々が生活するようにならなければ、商売にならないのである。

 この他、地方公共団体が行なう除染費用の賠償や、放射線被曝による中長期的な健康管理も実施していかなければならない。

■ 電気料金や消費税に転嫁させない運動を
 では、これらの賠償資金はどこから出るのか。原子力事業者は、万一の事故のために一種の保険をかけることになっている。しかし、この保険から出るのは1基あたり1200億円に過ぎず、10数兆円規模といわれている今回の被害賠償額には遠く及ばない。

 そこで、原子力損害賠償支援機構というのを作り、国や関西電力等他の電力会社も協力して損害賠償をする仕組みが考案された。しかし、東京電力の加害責任を明確にしないままの支援機構であるため、最終的に、電気料金や消費税の値上げという形で私たち国民が賠償資金を負担させられるおそれが大きい。そんなことをさせないよう、しっかり監視していかなければならない。

■ 脱原発の社会を
 これまで国の安全神話に騙され、私たちは原子力発電の問題を深刻に受け止めてこなかった。しかし、今回の被害の甚大さ、広汎性、長期性を目の当たりにし、原子力発電は止めなければならないと真剣に考える。

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12年かけて勝ち取った公務上災害認定/川口 彩子  2011.9

2016年8月17日 水曜日

今から12年前の1999年5月12日、神奈川県立こども医療センターの看護師だった池田美奈子さんは、勤務中の事故により腰椎椎間板ヘルニアを発症しました。池田さんが勤務していたのは重度の心身障害をもつお子さんなどが入院している病棟で、こども医療センターの中でも特に腰に負担がかかる職場とされていました。

 池田さんは地方公務員災害補償基金に公務災害の認定請求をしようとしましたが、神奈川県は池田さんのヘルニアは公務災害ではないと勝手に判断し、池田さんに「公務災害は却下された」と伝えました。しかし池田さんは自分がヘルニアになったのは日常業務が原因で、公務災害に間違いないと確信していましたので、上司の協力が得られないまま孤軍奮闘し、1人で請求書を書き上げて公務災害認定請求を行ったのです。しかし、地方公務員災害補償基金は2004年1月、池田さんのヘルニアは公務外との裁決をしました。これを不服とした池田さんは審査請求、再審査請求もしましたが、いずれも棄却されました。そこで池田さんは「公務外」処分の取り消しを求め、横浜地裁に提訴したのです。提訴までに既に8年を費やしていました。

 横浜地裁は今年5月12日、池田さんの訴えを全面的に認め、池田さんのヘルニアを公務災害と認定する画期的な判決を下しました。判決日が事故日と同じ5月12日だったのは、裁判所から池田さんへのプレゼントだったのだと思います。公務災害は確定しましたが、池田さんは現在、神奈川県立病院機構に対し、池田さんがヘルニアになってしまったことの責任を問う裁判をたたかっています。今後も池田さんへのご支援をよろしくお願いいたします。

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福岡運輸事件について/三嶋 健  2011.9

2016年8月17日 水曜日

 本年、1月18日、横浜地裁川崎支部は、大方の予想を裏切って、原告敗訴とした。その要点は、午後2時のアルコール検査で、高い数値が出た以上、前日の9時以降飲んでいないという原告の主張は信用できない、高い数値が出た以上、懲戒解雇はやむを得ないというものであった。

 本件は、アルコール検査で高い数値は出たが、事故を起こしたわけでもなく、酒気帯びで業務をしたわけでもないのに、1回の検査結果だけで、死刑判決にも等しい懲戒解雇処分とすることが許されるかという点が問われていた。原告は、これまで処分歴もなく、特段の交通違反歴もなく、優秀な運転手と評価されていたことからすれば、その不合理性は際だつ。

 しかし、川崎支部は数値を根拠に、前日来飲んでいないという原告の主張を嘘と決めつけ、嘘の弁解をするような運転手は厳罰でもかまわないという偏見に基づき、懲戒解雇処分を合理化したのである。当時、検査を受けたくないとごねて検査を免れた者もいるというような杜撰な検査体制であったとする原告側の指摘も無視した。

 原告側は、直ちに控訴した。原告は、会社と同じ検知器を購入し、医療生協の協力も得つつ再現実験をし、一審では十分に反論できなかった検知器の精度自体を争うべく、現在準備中である。

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結審・判決迎える建設アスベスト訴訟/西村 隆雄 2011.9

2016年8月17日 水曜日

長年にわたって建設作業に従事してきた労働者が、建設現場で吸い込んだアスベストによって肺ガン、中皮腫、石綿肺などを発病したとして、国、アスベスト建材製造メーカーを相手どって損害賠償を求めた建設アスベスト訴訟が、来年1月13日に横浜地裁でいよいよ結審を迎え、来春には判決言渡しのはこびとなってきました。

 アスベスト(石綿)は、綿のように柔らかな天然鉱物で、断熱性、耐火性、絶縁性などに優れ、極めて廉価であることから、「奇跡の鉱物」ともてはやされ、全面使用禁止となった2006年までに約1000万トンが輸入され、その約7割が建設材料に使用されてきました。アスベストは微細な繊維で、一旦吸収すると自力で排出することができず体内に留まり続ける発がん性物質で、肺ガン、中皮腫・石綿肺などを引きおこします。これらのアスベスト関連疾患は、いずれも有効な治療法がなく、治癒の見込みがないため、いったん発病した患者には悲惨な死が待ち受けているのが特徴です。また、発病までの潜伏期間が10年から長くは50年と極めて長期であるのも特徴で、使用のピークからみて、今後10年にぼう大な被害者が出現する危険性が言われています。

 裁判では、学者の証人尋問によって肺ガンについては1955年、中皮腫を含めても1964年に医学的知見が確立しており、この時点で「使用禁止」にすべきてあったこと、そして国はアスベストの危険性を十分に知っていながら、建築基準法の耐火構造等にアスベスト建材を指定、認定するという積極的な加害行為によってアスベスト被害を蔓延させてきたなどを明らかにしてきました。

 建設アスベスト訴訟は、横浜地裁と東京地裁の首都圏訴訟が先行してきましたが(東京も来年結審・判決)、本年札幌、京都、大阪で新たな提訴がなされ、さらに九州でも提訴準備が進んでいます。

 こうしたたたかいの広がりをふまえて、私たちは、横浜、東京での地裁勝訴判決に際して控訴断念を求めるたたかいをいどみ、政府・国会に対する働きかけを強めて、全国の建設アスベスト被害者を救済する基金制度の創設をかちとっていきたいと思っています。公正判決要請署名をはじめとして、ご支援のほどよろしくお願いします。

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日の丸・君が代裁判 一連の最高裁判決を受けて/川口 彩子 2011.9

2016年8月17日 水曜日

 国旗に向かって起立し国歌を斉唱しないと、音楽教師は君が代をピアノで伴奏しないと懲戒処分にする。3回・4回と処分が重なれば分限免職となる…。この悪夢のような10・23通達が東京都教育委員会から出されたのは2003年。今年で8年になる。

 今年3月10日、東京高等裁判所は、10・23通達直後の卒業式・入学式で懲戒処分を受けた都立学校の教職員170名の処分を取り消す画期的な勝訴判決を言い渡した。ところが最高裁は今年5月30日を皮切りに、次々と教師側を敗訴させる判決を出す事態となっている。

 最高裁にかかっていた日の丸・君が代関連の裁判は全国で15件。最高裁はこれを在庫一掃セールとばかりに立て続けに10件の判決を出した。教師たちに起立を強制する命令が、教師たちの思想良心の自由を間接的に制約することは認めながらも、その制約を許すほどの必要性・合理性が認められるとするもので、結論としては憲法19条に違反しないというのである。

 思想良心の自由は、憲法に定められている自由権の中でも最高位に位置する、人間が人間として生きるための大切な自由である。そのような大切な自由に対する制約が認められるかどうかについては、本来、厳格に審査されなければならない。人権保障の最後の砦となるべき最高裁が、いとも簡単に個人の思想良心の自由への制約を容認するとは、なんとも悲しく、罪深いとしか言いようがない。

 しかし注目すべきは、最高裁の14人の裁判官のうち2人の裁判官から、最高裁の出す結論には反対であるという「反対意見」が出されたことである。宮川光治裁判官の反対意見は「これまで人権の尊重や自主的に思考することの大切さを強調する教育実践を続けてきた教育者として、その魂というべき教育上の信念を否定することになる」として、生徒の前だからこそ起立することができないという教師たちの思いを汲んでくれた。

 冒頭紹介した3月10日の東京高裁の事件、2006年9月21日に東京地裁で違憲判決の出された予防訴訟はまだ最高裁に係属したばかりである。まだこの問題は終わっていない。多様な意見、そして多様な思想に寛容で、自らの思想良心にしたがう自由の保障される社会を築くため、これからも努力していくことを誓いたい。

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