トピックス

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年末ワンストップ相談会 in かながわ開催のお知らせ/小野 通子 2011.12

2016年8月17日 水曜日

 反貧困ネットワーク神奈川では、一昨年、昨年に引き続き、今年も、後記の要領で、年末相談会を実施いたします。
 平成20年のリーマンショックにより多くの労働者が派遣切り等により失業しましたが、本年度も、近時の急激な円高の影響もあり、雇用情勢の悪化は改善の兆しは見せず、反貧困ネットワーク神奈川には、現在も、労働、生活保護、住居、求職相談等が多数寄せられております。
 また、雇用保険の適用がなく雇用喪失と同時に住居も失い路上生活を余儀なくされる方々の存在も未だに確認されるところであり、今年の年末年始を路上で生活することを余儀なくされる方が続出することは間違いがありません。
 加えて、今年は、震災及び原発事故により、多くの被災者が、家族・仕事・財産も失うという、生活の基盤を根こそぎになってどん底の貧困に追いやられるという事態に至っています。

 そこで、反貧困ネットワーク神奈川は、仕事と住居を失い生活に困っている人々が寒い空に放置されることがないようにするとともに、様々な悩み・問題を抱える方達が今年中に少しでもこれらの問題の解決の道筋がつけられるようにするために、一昨年、昨年実施した年末のワンストップ相談会を今年も引き続いて実施することにいたしました。

 言うまでもなく、貧困問題は、現在の我が国において取り組まねばならない、極めて重要な人権課題です。折しも、今年は、横浜弁護士会においても、貧困問題対策委員会が立ち上がり、重点的な課題として取り組んでいくことが決定しています。
 また、今回は、横浜パーソナルサポート・サービス(生活・しごと∞若者相談室)の方達にも相談担当をしていただくことになっております。
 多数の皆様の参加をお待ちしています。

日程:平成23年12月18日(午前10時~午後4時)
場所:大通り公園(石の広場)
内容:生活保護、医療、労働、住居、債務整理等の各種相談(無料法律相談も含む)、
    震災・原発関連相談
    炊き出し実施

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東京電力福島原子力発電所事故に思う/渡辺 登代美  2011.9

2016年8月17日 水曜日

 3月11日に発生した東日本大震災によって、東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故は、レベル7という最も深刻な事態に陥っている。何も知らされずに放射線に被曝させられ、着の身着のままで避難させられ、故郷の地と生活の糧を失い、しかもこの先、いつ戻れるかわからない、そんな被災者の蒙った損害は、誰が賠償するのだろうか。

■ 地域再生・生活再建を
 原子力損害の賠償に関する法律は、被害者の保護と原子力事業の健全な発達に資することを目的として、原子力事業者である東京電力に無過失責任を課している。そして東京電力との賠償交渉の目安とするため、原子力損害賠償審査会で指針を作成しており、8月5日に中間指針が発表された。

 この中間指針では、避難対象区域から避難した人の損害や、農林水産物・観光業に対する風評被害などが対象とされている。今後は、避難対象区域外から避難した人の損害についても、検討される予定である。

 ただこの指針では、損害賠償に焦点がおかれているため、地域再生・生活再建という被害者の原状回復の視点が全く欠けている。街の八百屋さんは、店を作り直す費用を賠償してもらっても、街が復活して人々が生活するようにならなければ、商売にならないのである。

 この他、地方公共団体が行なう除染費用の賠償や、放射線被曝による中長期的な健康管理も実施していかなければならない。

■ 電気料金や消費税に転嫁させない運動を
 では、これらの賠償資金はどこから出るのか。原子力事業者は、万一の事故のために一種の保険をかけることになっている。しかし、この保険から出るのは1基あたり1200億円に過ぎず、10数兆円規模といわれている今回の被害賠償額には遠く及ばない。

 そこで、原子力損害賠償支援機構というのを作り、国や関西電力等他の電力会社も協力して損害賠償をする仕組みが考案された。しかし、東京電力の加害責任を明確にしないままの支援機構であるため、最終的に、電気料金や消費税の値上げという形で私たち国民が賠償資金を負担させられるおそれが大きい。そんなことをさせないよう、しっかり監視していかなければならない。

■ 脱原発の社会を
 これまで国の安全神話に騙され、私たちは原子力発電の問題を深刻に受け止めてこなかった。しかし、今回の被害の甚大さ、広汎性、長期性を目の当たりにし、原子力発電は止めなければならないと真剣に考える。

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12年かけて勝ち取った公務上災害認定/川口 彩子  2011.9

2016年8月17日 水曜日

今から12年前の1999年5月12日、神奈川県立こども医療センターの看護師だった池田美奈子さんは、勤務中の事故により腰椎椎間板ヘルニアを発症しました。池田さんが勤務していたのは重度の心身障害をもつお子さんなどが入院している病棟で、こども医療センターの中でも特に腰に負担がかかる職場とされていました。

 池田さんは地方公務員災害補償基金に公務災害の認定請求をしようとしましたが、神奈川県は池田さんのヘルニアは公務災害ではないと勝手に判断し、池田さんに「公務災害は却下された」と伝えました。しかし池田さんは自分がヘルニアになったのは日常業務が原因で、公務災害に間違いないと確信していましたので、上司の協力が得られないまま孤軍奮闘し、1人で請求書を書き上げて公務災害認定請求を行ったのです。しかし、地方公務員災害補償基金は2004年1月、池田さんのヘルニアは公務外との裁決をしました。これを不服とした池田さんは審査請求、再審査請求もしましたが、いずれも棄却されました。そこで池田さんは「公務外」処分の取り消しを求め、横浜地裁に提訴したのです。提訴までに既に8年を費やしていました。

 横浜地裁は今年5月12日、池田さんの訴えを全面的に認め、池田さんのヘルニアを公務災害と認定する画期的な判決を下しました。判決日が事故日と同じ5月12日だったのは、裁判所から池田さんへのプレゼントだったのだと思います。公務災害は確定しましたが、池田さんは現在、神奈川県立病院機構に対し、池田さんがヘルニアになってしまったことの責任を問う裁判をたたかっています。今後も池田さんへのご支援をよろしくお願いいたします。

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福岡運輸事件について/三嶋 健  2011.9

2016年8月17日 水曜日

 本年、1月18日、横浜地裁川崎支部は、大方の予想を裏切って、原告敗訴とした。その要点は、午後2時のアルコール検査で、高い数値が出た以上、前日の9時以降飲んでいないという原告の主張は信用できない、高い数値が出た以上、懲戒解雇はやむを得ないというものであった。

 本件は、アルコール検査で高い数値は出たが、事故を起こしたわけでもなく、酒気帯びで業務をしたわけでもないのに、1回の検査結果だけで、死刑判決にも等しい懲戒解雇処分とすることが許されるかという点が問われていた。原告は、これまで処分歴もなく、特段の交通違反歴もなく、優秀な運転手と評価されていたことからすれば、その不合理性は際だつ。

 しかし、川崎支部は数値を根拠に、前日来飲んでいないという原告の主張を嘘と決めつけ、嘘の弁解をするような運転手は厳罰でもかまわないという偏見に基づき、懲戒解雇処分を合理化したのである。当時、検査を受けたくないとごねて検査を免れた者もいるというような杜撰な検査体制であったとする原告側の指摘も無視した。

 原告側は、直ちに控訴した。原告は、会社と同じ検知器を購入し、医療生協の協力も得つつ再現実験をし、一審では十分に反論できなかった検知器の精度自体を争うべく、現在準備中である。

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結審・判決迎える建設アスベスト訴訟/西村 隆雄 2011.9

2016年8月17日 水曜日

長年にわたって建設作業に従事してきた労働者が、建設現場で吸い込んだアスベストによって肺ガン、中皮腫、石綿肺などを発病したとして、国、アスベスト建材製造メーカーを相手どって損害賠償を求めた建設アスベスト訴訟が、来年1月13日に横浜地裁でいよいよ結審を迎え、来春には判決言渡しのはこびとなってきました。

 アスベスト(石綿)は、綿のように柔らかな天然鉱物で、断熱性、耐火性、絶縁性などに優れ、極めて廉価であることから、「奇跡の鉱物」ともてはやされ、全面使用禁止となった2006年までに約1000万トンが輸入され、その約7割が建設材料に使用されてきました。アスベストは微細な繊維で、一旦吸収すると自力で排出することができず体内に留まり続ける発がん性物質で、肺ガン、中皮腫・石綿肺などを引きおこします。これらのアスベスト関連疾患は、いずれも有効な治療法がなく、治癒の見込みがないため、いったん発病した患者には悲惨な死が待ち受けているのが特徴です。また、発病までの潜伏期間が10年から長くは50年と極めて長期であるのも特徴で、使用のピークからみて、今後10年にぼう大な被害者が出現する危険性が言われています。

 裁判では、学者の証人尋問によって肺ガンについては1955年、中皮腫を含めても1964年に医学的知見が確立しており、この時点で「使用禁止」にすべきてあったこと、そして国はアスベストの危険性を十分に知っていながら、建築基準法の耐火構造等にアスベスト建材を指定、認定するという積極的な加害行為によってアスベスト被害を蔓延させてきたなどを明らかにしてきました。

 建設アスベスト訴訟は、横浜地裁と東京地裁の首都圏訴訟が先行してきましたが(東京も来年結審・判決)、本年札幌、京都、大阪で新たな提訴がなされ、さらに九州でも提訴準備が進んでいます。

 こうしたたたかいの広がりをふまえて、私たちは、横浜、東京での地裁勝訴判決に際して控訴断念を求めるたたかいをいどみ、政府・国会に対する働きかけを強めて、全国の建設アスベスト被害者を救済する基金制度の創設をかちとっていきたいと思っています。公正判決要請署名をはじめとして、ご支援のほどよろしくお願いします。

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日の丸・君が代裁判 一連の最高裁判決を受けて/川口 彩子 2011.9

2016年8月17日 水曜日

 国旗に向かって起立し国歌を斉唱しないと、音楽教師は君が代をピアノで伴奏しないと懲戒処分にする。3回・4回と処分が重なれば分限免職となる…。この悪夢のような10・23通達が東京都教育委員会から出されたのは2003年。今年で8年になる。

 今年3月10日、東京高等裁判所は、10・23通達直後の卒業式・入学式で懲戒処分を受けた都立学校の教職員170名の処分を取り消す画期的な勝訴判決を言い渡した。ところが最高裁は今年5月30日を皮切りに、次々と教師側を敗訴させる判決を出す事態となっている。

 最高裁にかかっていた日の丸・君が代関連の裁判は全国で15件。最高裁はこれを在庫一掃セールとばかりに立て続けに10件の判決を出した。教師たちに起立を強制する命令が、教師たちの思想良心の自由を間接的に制約することは認めながらも、その制約を許すほどの必要性・合理性が認められるとするもので、結論としては憲法19条に違反しないというのである。

 思想良心の自由は、憲法に定められている自由権の中でも最高位に位置する、人間が人間として生きるための大切な自由である。そのような大切な自由に対する制約が認められるかどうかについては、本来、厳格に審査されなければならない。人権保障の最後の砦となるべき最高裁が、いとも簡単に個人の思想良心の自由への制約を容認するとは、なんとも悲しく、罪深いとしか言いようがない。

 しかし注目すべきは、最高裁の14人の裁判官のうち2人の裁判官から、最高裁の出す結論には反対であるという「反対意見」が出されたことである。宮川光治裁判官の反対意見は「これまで人権の尊重や自主的に思考することの大切さを強調する教育実践を続けてきた教育者として、その魂というべき教育上の信念を否定することになる」として、生徒の前だからこそ起立することができないという教師たちの思いを汲んでくれた。

 冒頭紹介した3月10日の東京高裁の事件、2006年9月21日に東京地裁で違憲判決の出された予防訴訟はまだ最高裁に係属したばかりである。まだこの問題は終わっていない。多様な意見、そして多様な思想に寛容で、自らの思想良心にしたがう自由の保障される社会を築くため、これからも努力していくことを誓いたい。

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『震災ボランティア派遣』で石巻へ/鈴木 亮平 2011.9

2016年8月17日 水曜日

 8月はじめ、事務職員3名が神奈川労連の震災ボランティア派遣に同行し、宮城県石巻市南浜町・門脇町での作業に従事してきました。南浜町・門脇町は、住宅を含む多くの建物が津波に流されるなど、甚大な被害をうけた地域のひとつです。現地ではお盆の時期を間近にひかえ、墓地のガレキやゴミの撤去が求められていました。

 作業は、アスベスト曝露や負傷による破傷風を防止するために、真夏の炎天下にもかかわらず、帽子、ゴーグル、マスク、長袖・長ズボン、長靴の装着が必須となり、大変過酷な作業となりました。

 現場は、近くの製紙工場から流れ出たパルプが様々なガレキとからまって固まり、倒れて散乱した墓石を覆っていました。重機がほとんど役に立たず、地道に手作業で撤去作業を進めるしかなかったため、作業は遅々として進みませんでした。

 それでも、墓参りに訪れた遺族からは、感謝の言葉を頂くことができました。

 震災発生から半年が経とうとしています。見渡す限りのガレキをまえに、ボランティアの手だけでは復興への見通しはたちません。行政の責任ある対応が求められています。

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国労・岡さん、松本さん JR不採用で逆転勝訴/岩村 智文 2011.9

2016年8月17日 水曜日

 神奈川新聞2011年8月31日記事のとおり、国鉄分割民営化当時から担当してきた国労事件のうち、2人の不採用事件について、8月30日、東京高裁で勝訴判決を得ました。

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憲法に照らして公正な判決を/ 「川崎市による憲法違反の政党機関紙購読調査」裁判 原告 穂積 建三 2011.8

2016年8月17日 水曜日

私たちが、市職員といえども、どういう政党機関紙を読もうが完全に自由です。川崎市長や当局から購読の理由を聞かれたり、購読していることにとやかく言われることは全くありません。
 ところが、行政法の学者を自称していた川崎市の阿部孝夫市長は、2003年3月、係長級以上の職員を対象に「政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査」を強行しました。私たち市職員6人がこれは憲法違反の思想調査だと訴えている裁判は9年目に入り、東京高裁における控訴審はいよいよ9月29日に判決が言い渡されます。
 1審(2009年)は、本件調査は「原告らに回答を強制されたものとは言えず、その思想及び良心の自由ないし沈黙の自由を違法に侵害したものとはいえない」と、憲法第19条が保障している「思想・良心の自由」を極めて狭く解釈し、原告の訴えを棄却しました。

共産党をターゲットにした政治的な調査
 本件調査は「公務の中立性・公平性の観点から実情を把握する」と称して、すべての政党機関紙を対象に、「市議会議員から政党機関紙の購読勧誘を受けたことがあるか」、「圧力を感じたか」、「購読したか」などを問うものでした。
 2002年12月市議会で、公明党議員が「共産党の議員が地位を利用して市職員に赤旗を勧めている」と質問し、阿部市長が「圧力を感じて購読しているとすれば、重大な問題」と調査を約束したことが発端でした。
 市役所の中で政党機関紙の購読を勧誘している議員は共産党だけでしたから、職員には、それは共産党の「赤旗」に関する調査だとすぐに分かりました。だからこそ、原告の請求を棄却した1審でさえも、「『しんぶん赤旗』を念頭に置いた調査であることが窺われる」と認定したのです。
 本件調査の設問は、言い換えると、「共産党をどう思うか」、その親疎・遠近感の表白を迫るものでした。調査用紙に「回答は強制するものではありません」「個人の思想等を調べるものではありません」などの添え書きがあったことは、思想調査との批判を何としても免れようとする、川崎市の苦肉の策でした。

危険な『思想』の持ち主をあぶり出す「踏み絵」
 本件調査は、総務局を頂点とする人事・業務の指揮命令系統と機構を丸ごと使って、職員には公務としておろされ、各課長が用紙を配布し、課長机上に置いた書類袋(一部出先は庁内便)で回収しました。課長には、誰が回答し、回答しなかったか、誰がどういう回答をしたか、チェックできる仕組みで行われたのです。
 回答しなかった者は、共産党支持者、同党に親近感をもつ者であろうと推測され、それは、市職員の中の共産党支持者、同党に親近感をもつ者を「あぶり出す」、いわば「踏み絵」的な効果をもつものであったと言わなければなりません。
 公権力である川崎市が、人の内心のものの見方や考え方を知ろうとするのは、権力にとって危険な「思想」の持ち主を掌握し、有形無形の圧迫・干渉を加えるためです。1審判決のように、厳密な意味の「強制」がない限り第19条違反にならないというのでは、「思想・良心の自由」を憲法が保障している意味がありません。川崎市が、人の内心の「思想」を知ろうとすること自体が憲法第19条に違反するのです。

「しんぶん赤旗」の購読を萎縮させる
 川崎市は、調査終了後、阿部市長の指示のもとに、総務局長名で各局区長あてに、市職員に対するメッセージとして「政党機関紙の購読にあたっては、自らの意思で判断するのが当然」との通知を出しました。阿部市長が日本共産党に批判的な立場に立つ者であることを市職員は知っていましたので、それは、今後、赤旗を購読している者は自主的判断で購読していると見なすとのアナウンス効果で、市職員の「しんぶん赤旗」購読に萎縮効果をもたらしたのです。

“公正な判決を求める”要請署名にご協力を
 裁判の当事者になるとは夢にも思わなかった原告6人には、不安の中で船出した裁判闘争の8年余でした。当時は原告全員が現役の市職員でしたが、今は全員が退職しました。控訴審を闘ったこの2年余、未開の地を切り開くような弁護団の先生方のご努力、憲法学者の意見書提出などで、憲法における「思想・良心の自由」「プライバシー権」などの今日的意義という視点から、1審判決の誤りを明らかにし、本件調査の違憲性を深め、明らかにしてきました。
 私たちは、今度こそ、憲法に照らして公平な判断で、阿部孝夫川崎市長による憲法違反の「思想調査」を弾劾する判決を迎えようと、裁判所へ向けた“公正な判決を求める”要請署名の運動に全力を挙げています。ぜひ、ご支援くださるようお願いいたします。

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福岡運輸の懲戒解雇撤回を求める !!/沢井 功雄 2011.6

2016年8月17日 水曜日

現在、事務所の西村弁護士、三嶋弁護士、沢井弁護士で福岡運輸事件弁護団を結成しています。横浜地方裁判所川崎支部で原告の懲戒解雇が有効であるとの不当判決が出たため、東京高等裁判所に控訴中の事件です。弁護団よりも、原告の悲痛な叫びを掲載する方が良いと判断したので、以下原告の声を掲載します。

 2009年2月20日、私は、福岡運輸株式会社を懲戒解雇されました。
 2011年3月29日、横浜地方裁判所川崎支部は、会社が私に対して行った懲戒解雇を有効とする判断を示しました。
 判決は、会社のアルコール検査体制の不備があったこと、これまで入社以来10数年間にわたって、私が会社から何らの処分を科されていないこと、私が会社のアルコール検査を受けたのは、前日の飲酒から16時間以上も経過してからであるにもかかわらず、0.354㎎という異常な数値が検知されたこと、出社時に自宅を出る時に、前日のお酒が残っているのかを確認するために、自分専用の簡易式アルコール検査器で0㎎を確認して出勤したこと、点呼係や係長にも息のにおいを嗅いでもらい「アルコールのにおいはしない。お酒が残っているようにも見えない」と言われたこと等の事情を一切考慮しませんでした。
 判決は、アルコール検査の結果、検出された0.354㎎という数値を大前提とし、私の情状を一切考慮せずに数値のみを取り上げて解雇するといった極めて不当なものでした。
 つまり、判決は、私たちの主張のほとんどを無視したものであり、極めて不当な判断と言わざるを得ないものでした。働く者の基本的な権利を踏みにじる判決と言わざるを得ません。
 全日本建設交運一般労働組合神奈川県南支部の福岡運輸分会は、これまでも経営不振の際には会社の存続を考えて賃下げ提案を受諾するなど、労使関係の正常化を含めて労働組合として努力してきた経緯があります。
 また、会社との基本協定では、社員の身分、賃金、労働条件に関する事項を団体交渉事項としています。
 今回の不当解雇は、この基本協定をも踏みにじるものであり、会社がおかした二重の違法行為を容認する判決を認めることは到底できません。全国・職場内外の労働組合・労働者及び市民の皆様の力強いご支援、弁護団の献身的な援助にもかかわらず、このような不当判決が出されたことに対し、大きな怒りを感じています。
 私は、この不当判決を跳ね返して勝利するために、いっそうたたかいを強めていく決意のもとに、東京高等裁判所に控訴をしました。
 今後もみなさま方のご支援、ご協力をお願いいたします。

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