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「事実婚のままでは相続できない!?」 ~大切なパートナーに財産を遺すために遺言書を作りましょう~(弁護士 前田ちひろ)
2025年7月31日 木曜日
事実婚のパートナーに財産を遺したい方へ、遺言書が必要な理由をやさしく解説します
最近は、戸籍上の結婚にこだわらない「事実婚」を選ぶカップルも増えています。
生活スタイルは結婚と何ら変わらなくても、法律の上では違いがあり、その違いは相続の場面で大きな問題となります。
この記事では、事実婚の方に向けて、以下のポイントに着目しつつ、遺言書を作っておくことがいかに大切か、解説していきます。
・法定相続人ってだれ?
・法律婚と事実婚のちがい
・パートナーに財産を遺すには?(遺言書の役割)
■ 相続人って決まってるの?~「法定相続人」について
人が亡くなると、その人が持っていた財産(不動産や預貯金など)は、一般的にはそのご家族が相続します。誰が相続をするかについて、法律には定めがあり、ここに定められているのが「法定相続人」です。
法定相続人として、まずは「配偶者」が定められ、その他には、亡くなった方の子ども、親、兄弟姉妹などが順番に定められています。そこで、法律婚をしている場合には、結婚相手は、配偶者として相続人になることができます。
■ 同じ夫婦でも違う?~法律婚と事実婚のちがい
ところが、事実婚の場合には、パートナーは法律上の「配偶者」には含まれていません。そこで、たとえどれだけ長く一緒に暮らしていても、法定相続人となることができないのです。
法律婚(入籍している夫婦)の場合には、たとえば子どもがいる場合でも、配偶者には財産の半分を相続する権利があります。一方、事実婚の場合は、亡くなった方に子どもや兄弟姉妹などの法定相続人がいると、それらの法定相続人が相続をすることになり、パートナーは財産を一切もらえなくなってしまう可能性があります。
では、そのような事態を回避するためには、どうしたら良いのでしょうか。答えは、「パートナーにも相続させる」という意思を、生前にしっかりと残しておくことです。
その方法として、遺言書の作成をおすすめします。
■ パートナーに財産を遺すには?~遺言書の役割
遺言書には、「誰に」「どの財産を」「どのくらい」渡すかについて、自分の意思を書いておくことができます。
特に、事実婚のパートナーのように、法律で相続人とされていない相手に財産を渡したい場合には、遺言書がなければ相続をすることはできませんので、遺言書の作成がとても重要になります。
遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」もありますが、法律に決められた形式を守っていないと無効になってしまうこともあります。確実にパートナーへ財産を遺したいとお考えであれば、弁護士に相談し、法的に問題のない遺言書を作成するのが安心です。
■ まとめ~大切な人のために、準備をしましょう
事実婚は、お互いを尊重した自由な生き方を実現するための一つの方法です。しかし、法律上の保障が不十分な部分があることを理解し、特に相続については、きちんと対策をしておくことが大切です。
「自分がいなくなったあとも、パートナーが安心して生活できるようにしておきたい」
そう思う方は、遺言書の作成を前向きに検討してみてください。
当事務所では、遺言書の作成や相続のご相談を丁寧にサポートしています。初めての方にも分かりやすくご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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