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川崎公害「生涯」の取り組み/篠原 義仁 2013.9

2016年8月17日 水曜日


 1970年4月、大気汚染の激じん地、川崎合同法律事務所に入所。
 秋から、一年先輩の杉井厳一さん、大貫端久さん(東弁)、同期の岡村共榮さんと私は、公害病認定患者の名簿をもとに住宅地図に一軒一軒プロットして準備を整え、患者訪問活動を行うこととした。目的は、被害者救済と公害対策に関する患者要求の聞き取りで、この作業は、町内別小規模集会、要求のとりまとめ集会を経て、「38項目」要求としてまとめあげられた。
 地域に入り、患者の声を要求にまとめあげ、関係団体の協力を得て、川崎市交渉へと発展させていった。


 川崎の公害対策は、71年に成立した革新自治体の施策によって、一定の前進をみたものの、巨大汚染源のコンビナート群(固定発生源)の抵抗と自動車排ガス規制(移動発生源)の停滞によって、抜本的な改善は進まなかった。
 そうしたなかで、78年7月に環境庁がNO2環境基準の改悪を強行し、経団連がマル秘文書で公害健康被害補償法の廃止を唱えるところとなった。そこで、川崎でも、大阪・西淀川訴訟につづき、大量の原告団を組織して、裁判を提訴することとした。請求は損害賠償請求と大気汚染物質の排出規制・差止請求の2本柱。提訴後に、公害で破壊された地域の「環境再生とまちづくり」という運動上の要求も加えられた。


 82年3月に提訴。以後2次~4次と追加され、原告団は、440名に達した。弁護団団長は、矢島惣平さん。一審判決後、体調を崩したため、その後は、加藤満生さんが就任。
 裁判は、96年の企業和解まで14年余、99年の国和解までに、さらに2年半を要した。国との和解条項では、「公害の根絶」と「環境再生とまちづくり」をめざすこととして、被害者と加害者が対等平等に協議する場の「道路連絡会」を制度化した。
 和解後、原告団と弁護団は、前記目的を達するまで、「解散しない」と宣言し、現在に至ってもこの活動を継続している。
 ちなみに、国道15号、国道1号の環境にやさしい道路構造対策、道路沿道対策、緑化対策は目にみえた形で進行し、今は、自動車専用レーンづくりが進んでいる。
 川崎市交渉もこれと結合して進められ、地下街アゼリアや駅前広場の改造も行われ、駅前の平面横断も「社会実験」をふまえて実現させた(近々にも、川崎駅北口の大改造も開始される)。
 公害裁判勝利和解の成果は、こうした「まちづくり」の実践とも連動して現在進行形の形で進んでいる。
 従って、加藤団長以下、団員は「生涯」、川崎公害弁護団として取り組みを継続する「さだめ」となっている。

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知っていますか?自民党改憲草案が目指す国の在り方/ 川岸 卓哉 2013.7

2016年8月17日 水曜日

自民党が発表した改憲草案を知っていますか。憲法は、国の最高法規です。ですので、憲法に反する政府の行為や、国会の作った法律はすべて違憲無効となります。憲法は、まさに国の在り方を決める、国にとって一番大事な法です。自民党改憲草案には、自民党が考える、将来の国の在り方が表れます。以下、自民党改憲草案のポイントをご紹介します。

①国民の服従を強いる天皇制へ
 自民党改憲草案は、天皇の元首化、君が代、日の丸、元号を憲法上制定するなど、天皇を国民の上に君臨する存在としています。これは、国の在り方は独裁者ではなく、私たち国民ひとりひとりが決めるという「国民主権」に反する内容です。

②戦争をする国への転換
 現行憲法では、前文で「日本国民は、恒久の平和を念願し…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。」9条2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と、平和主義、戦争放棄を定めています。しかし、自民党改憲草案は、これらを全て削除し、「国防軍」という名の軍隊を設けます。平和主義を放棄し、戦争をする国へ転換します。

③表現の自由の制限
 自民党改憲草案では、表現の自由に、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない」とわざわざ留保をつけています。この目的は、政府を批判するような情報についての国民の知る権利の制限、言論・政治活動の規制にあります。

④地方自治の破壊と住民切り捨て
 地方自治については、道州制を導入します。これは、国の責任を限定し、住民の福祉・安全に対する責任を地方自治体に転嫁します。結局、生存権の保障は骨抜きになり、ナショナルミニマム(政府が国民に対して保障する生活の最低水準)が失われることになります。

⑤国家緊急権による民主主義封殺・人権抑圧体制
 自民党改憲草案では、国家緊急権を定めています。これは、「緊急事態」と宣言された場合、政府に、通常時では認められないような強力な独裁権限を認めるものです。このような国家緊急権は、戦前の明治憲法に規定されていた内容の復活です。戦前には、政府に反対する国民の弾圧に使われました。軍部の台頭を許した暗黒政治に逆戻りする危険があります。

 以上のように、自民党が憲法を変えたい狙いはどこにあるのでしょうか。それは、大企業とアメリカの要請に応えるためです。第1に、大企業の負担軽減のために、社会保障の切り下げをし、これによって生活が苦しくなる国民に対し天皇のために耐えがたきを耐えなければならないと思想統制する、一方、反対する国民の表現の自由を制限し、弾圧できる体制を作ります。第2に、世界の「警察」として自由市場を守るアメリカの軍事費負担軽減の要請から、アメリカのかわりに戦争をすることにあります。
 7月の参議院選挙では、自民党は、以上のような憲法改正草案の実現をしやすくするため、第一歩として、憲法96条の憲法改正要件を緩和することを争点にしようとしています。しかし、このような自民党改憲草案がめざす「国の在り方」にしていいのでしょうか。
 川崎合同法律事務所では、憲法学習会の講師派遣を行っています。是非、自民党改憲草案について学び、国の在り方について一緒に考えていきましょう。

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派遣労働者に、派遣先会社(マツダ)との労働契約認める! 山口地裁が画期的判決/藤田 温久 2013.7

2016年8月17日 水曜日


 3月13日、山口地裁は、大手自動車メーカー「マツダ」に、労働者派遣法違反にとどまらず、「常用雇用の代替防止」という労働者派遣法の根幹を否定する「組織的かつ大々的な違法状態を創出する意図」があったとして、派遣労働者と派遣元会社との派遣労働契約を無効であるとし、かつ、派遣労働者と派遣先「マツダ」との間に黙示の労働契約が成立しているとの判決を言い渡しました。マツダが、法定の派遣可能期間(当初1年、現在は3年)経過後、3ヶ月と1日だけ、その労働者をサポート社員として直接雇用し、その後再び派遣労働者として受け入れる制度(「サポート社員制度」)を導入し、特定の労働者を派遣可能期間を超えて派遣として使用し続けてきたこと等を断罪したものです。


 かつて、我が国では「正社員」が当たり前でした。ところが、「小泉改革」以降10年間で、20%程度だった非正規労働者(派遣・契約社員等)は37%まで激増し、20歳代では45%にまで達しました。正社員を非正規労働者に置き換えた結果、大企業は儲けに儲けて、バブル期の3倍266兆円もの巨額の内部留保をため込みました。期間の定めがない労働者=正社員は、合理的な理由と社会的相当性がない限り解雇ができず、賃金水準も高いのに対し、非正規労働者は期間が来れば「雇い止め」ができ、賃金水準も圧倒的に低いからです。そこで、労働者派遣法も、「常用雇用の代替防止・正社員の非正規労働者への置きかえ禁止」のため派遣可能期間など様々な規制を課してきました。しかし、大企業は、派遣法の規制などに違反してまで非正規労働者を使い続けてきました。


 このように違法に働かされてきた派遣労働者が、リーマンショック後、20万人以上も、「雇い止め」にされました。これに対し、全国で80件以上、派遣先の大企業を相手に、非正規労働者が、本来正社員であるべきだったのだから直接労働契約があることを確認するよう求める裁判を起こしました。今回の「マツダ」判決は、松下プラズマディスプレイ最高裁判決(2009年12月)がいう派遣労働者と派遣元会社との間の雇用契約を無効とする「特段の事情」を認め、派遣労働者と派遣先会社との間に黙示の労働契約が成立することを認めた画期的判決です。


 マツダ判決は、現在闘われている、我が神奈川のいすゞ、日産、資生堂等を相手にする訴訟にも大きな影響を与えるものとなるでしょう。希望する人は誰でも正社員として働ける、当たり前の世の中に転換する第1歩としたいものです。

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福島原発事故の被害救済をもとめる訴訟を提訴しました!/ 中瀬 奈都子 2013.4

2016年8月17日 水曜日

  去る2013年3月11日、福島原発事故の被害救済を求める訴訟が各地で提訴されました。新聞やテレビで大きく報道されましたので、ご存じの方も多いと思います。

〇提訴について
  篠原弁護士・渡辺弁護士・川岸弁護士・私が所属する「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団は、国と東京電力を被告とし、原状回復と慰謝料を求めて、福島地方裁判所本庁に、提訴しました。
  原告数は、800名ちょうど。原告は、原発事故時に福島・宮城・山形・栃木・茨城の各県に居住していた方々で、そのまま居住地にとどまっている方約600名と、事故時の居住地から、北は北海道、南は沖縄まで避難されている方約200名、年齢は事故時0歳児から88歳まで、属性も農業、事業者、会社員、主婦、年金生活者、教員、漁業関係者・・・と実に様々です。また、原発事故時の居住地が福島県にあった方が9割です。

  提訴当日、澄んだ青空の下に約200名の原告・弁護団員・支援者が全国各地から集まりました(沖縄から飛行機でいらっしゃった方も!)。冒頭、震災で亡くなられた方々に対し、黙とうを捧げた後、「生業を返せ、地域を返せ!」の横断幕を先頭に、強い風が吹き付ける中、福島地方裁判所に向けていっせいに行進しました。
  門前まで行進した後、私は、原告団長の中島孝さん、弁護団幹事長の南雲弁護士とともに、みなさんに見送られ、訴状を提出しました。800名分の委任状はずっしりと重く、原告のみなさんの想いが込められていると思うと、身の引き締まる思いがしました。
  裁判所の敷地内へ入る際、中島原告団長が、「今から提出してくるぞ~!」と訴状をかかげると、集まったみなさんから「おぉ~~~~!!」と大きな、そして力強い声がかえってきました。

  午後は、報告集会を行いました。原告のみなさんから、裁判にかける想いや、この取り組みをもっと大勢のひとに広げていくことの大切さや意気込みが語られました。沖縄に避難している方からも、「遠く離れているけれど、気持ちは福島と一つ。一緒に団結して取り組みたい」と発言がなされました。
  中島原告団長からは、「原発事故後、不安な日々を過ごしていたが、被害回復のために何か行動しなければという思いで声をあげた。放射能は、福島だけでなく多くの地域へ飛散した。この集団訴訟は、原告になった人だけが救済されるものではなく、被害者全体の救済を求めるものであり、世の中全体の利益のために行うものである。まだ原発事故にこだわっているのかと心無い言葉をかけられることもあるかもしれないが、我々の痛みを周囲が理解していないからといって諦めることはない。訴訟はこれから始まる。大きな原告団に育てていこう!」と力強い決意が語られました。

〇提訴まで……
  弁護団は、800名の原告と、福島・米沢・沖縄の各地で開催された説明会を通じて出会いました。説明会は、週末はもちろん、平日も開催され、ときには同日に3カ所開催ということもあり、第一次提訴までに実に40回以上開催されました。
  昨年末、いよいよ3.11に提訴する、ということが決まったあと、私も、毎週末のように福島に通いました。福島・郡山・二本松といった中通り地方から、相馬・南相馬の浜通り地方まで、ときには、米沢、そして沖縄へひとっとびすることも。休日返上で説明会へ参加する日々は、体力的に厳しいものではありましたが、各地にちらばった被害者のみなさんのご苦労や、元の生活をとりもどしたいという強い思いに触れることで、力がみなぎる思いがしました。
  また、説明会の開催にあたって、県北、南相馬、相馬・新地などの被害者の会や米沢、沖縄などの避難者の会、各地の民商や農民連の事務局の方々が、電話がけをしたり、地元紙にチラシを折り込んだりして参加を呼びかけるなど、大変な努力を続けてこられていることに、とても力強く感じました。
  毎回毎回の説明会で、たくさんの方たちと出会い、お話できたことは私にとって大きな財産です。

〇私たちのもとめるもの
  800名の原告で構成された原告団と弁護団は、今回の事故を「公害」と位置づけ、国と東京電力の責任を追及しつつ、被害者の根本的な要求である「原状回復」と「完全賠償」を実現させ、全体救済のための制度化を求めています。裁判は、このような取り組みを実現させるための一つの手段として位置づけられています。私たちは、裁判だけですべてが解決するとは考えておらず、裁判と並行して、国や東電と直接交渉したり、要請活動をしたりと、力強く運動を進めていきます。

〇これから……
  私たちは、「原告1万人目標」を合い言葉に、今回の提訴にとどまらず、どんどん追加提訴を行い、原告数を増やしていくとともに、この取り組みを全国的なムーブメントにしていきたいと考えています。
  そのために、全国各地での脱原発運動と連携していくことも重要だと考えています。川崎にもたくさんの避難者の方がいらっしゃいますし、エネルギー政策という身近な問題として、みなさんにも応援をしていただければ幸いです。
  3.11提訴が終わった週末も、ひとやすみ……とはいかず、第2次提訴に向けた説明会を開催しました。また、裁判の当面の主張立証に向けた準備も、もちろん進めています。長い取り組みになりますが、若手中心の弁護団ですので、元気いっぱい突き進んでいきたいと思っています。ご支援をよろしくお願い申し上げます!

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PM2.5汚染の真相は/西村 隆雄 2013.3

2016年8月17日 水曜日

はじめに
  この間、連日のように中国の大気汚染問題が報道され、PM2.5(微小粒子)汚染のわが国への影響が論じられています。
  PM2.5は、直径2.5ミクロン以下の微小な粒子のことであり、体の深部に入りやすく健康影響をおよぼす危険な大気汚染です。
  欧米では早くから注目されてきた汚染物質でしたが、わが国では、東京大気汚染訴訟の和解において、初めて、環境基準の設定に向けた検討が約束され、患者・市民の運動もあって、やっとのことで2009年9月に環境基準(年平均値15μg/立方メートル、日平均値の98%値35μg/立方メートル)が設定され、その後、運動に後押しされるかっこうで、この間測定体制の整備が進められてきたというのが実情です。

わが国のPM2.5汚染の実情
  この間の中国での高濃度汚染や西日本での中国からの汚染飛来が報じられていますが、それ以前から、わが国では欧米に比しても濃度レベルが高く、2011年度の東京都における測定結果でみても、自動車排ガス測定局(沿道)12局中全てが環境基準オーバー、一般測定局(非沿道)16局中、基準達成はたったの2局のみで残り14局は基準オーバー、しかも短期基準の日平均値のみならず、長期基準の年平均値も含めて、いずれも環境基準をオーバーするという惨たんたる結果となっていたのです。

環境省の暫定指針
  環境省はこうした実態にほおかむりして、中国の汚染ばかりを強調、2月27日には、暫定指針の70μg/立方メートルなるものを発表しました。
  しかしそもそも環境基準の35μg/立方メートル自体、このレベルを越えると循環器・呼吸器疾患による死亡が増加したり、呼吸器疾患(COPD,ぜん息)や循環器疾患(冠動脈・脳血管疾患、脳梗塞、うっ血性心不全)による入院・受診が増加することから、これが環境基準値とされたのであって、この2倍が暫定指針というのはいかがなものです。

急がれるPM2.5対策
  東京大気の原告団・弁護団は、裁判和解以降、国・都などとの間で「道路連絡会」を開催して、和解条項の履行と公害対策を迫ってきましたが、先日の連絡会で、当方から、国民の関心の集まっているPM2.5の当面の対策についてただしたところ、環境省は、測定体制を整備し、成分分析の結果が出てからでないと対策の検討には入れないと答弁して、会場をあ然とさせました。
  中国からの移流汚染ばかりを強調し、国民に外出をひかえる暫定指針を云々する前に、もともと環境基準をオーバーする状況にあった国内由来のPM2.5汚染に対する対策を強化することが緊急の課題です。
  その意味で、東京都が発表している東京都のPM2.5発生源別の寄与割合でみても、都内および関東6県の人為発生源のうちの34パーセントをしめる自動車、とりわけディーゼル車の対策を強めることがまずもって求められ、さらなる単体排ガス規制の強化、使用過程車の対策強化、都心部への流入規制、ロードプライシングの導入等による自動車交通総量の削減などの対策が急務となっています。

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『2013.3.10 原発ゼロへのカウントダウン in かわさき集会』に ご参加下さい/川岸 卓哉 2013.3

2016年8月17日 水曜日

1 集会開催経緯
(1)2012年3月11日の集会
 「原発ゼロへのカウントダウンinかわさき」実行委員会(以下「実行委員会」といいます)は、昨年2012年3月11日に川崎市中原平和公園で脱原発集会を行うために結成され、当日の参加者は1650名を超え大成功となりました。
(2)その後の活動
 3月11日の集会後は、7月、11月の中央で大規模集会への参加、大飯原発再稼働に反対する川崎市内主要駅の一斉ビラ配り、東京電力川崎支社との交渉などを行ってきました。11月には、「キャンドルナイト&デモ」として、川崎駅前の渡田公園で集会とキャンドルデモを行い、250名が参加しました。
(3)毎週金曜日川崎駅前行動
 昨年10月からは、官邸前での毎週金曜日の脱原発行動に連帯し、川崎駅前LAZONA連絡路で、毎週金曜日18時30分から20時まで,脱原発の訴えを継続的に活動を行っています。参加者によるリレートークの他,脱原発コール,ビラ配り,通行人に福島への想い,被災地への想いを書いてもらう「手書きツウィッター」などを行っています。

2 本年の集会内容
 本年2013年3月10日にも、再度,川崎市中原平和公園で集会を行います。本年は、原発事故から2年が経過し、原発問題が風化しいく情勢のもと、脱原発を目指す団体・個人が結集し力を合わせるため,前回の集会には参加していなかった団体への実行委員会への参加の呼びかけを拡大するとともに,広くかわさき市民への参加を呼び掛けています。

スケジュール
11:00  開場 原発関連展示ブースほか
12:00  文化行事
13:00  「川崎から脱原発!」リレートーク
 ≪スペシャルゲスト≫
  「大間原発に敷地は売らない」 あさこはうす 小笠原 厚子さん
  「経済界から脱原発宣言」  城南信用金庫 吉原 毅理事長
 ≪リレートーク≫
  ①福島からの避難者の発言
  ②電気代不払い運動
  ③川崎市在住の小さな子供がいるお母さんの発言
  ④韓国の脱原発運動家からの国際連帯のメッセージ
  ⑤リニア新幹線問題
  ⑥福島の子供を受け入れるサマースクール
  ⑦福島原発事故弁護団
  ⑧川崎の放射性物質汚染ごみ問題,などを予定。
14:30  原発ゼロへの行進 誰でもデモ

3 集会の方式
①呼びかけ人方式
 川崎市内在住の著名人を中心に,教授,宗教家,弁護士,各市民団体の代表者など,多くの人が呼びかけ人となっています。
②個人賛同方式
 集会には個人個人から賛同署名を得て,メッセージはHPに記載しています。
③「広場」のイメージ
 実行委員会・集会には「脱原発」の一致点のみで参加しますが,各団体が・個人が各ブース・集会で自由に発進します。私たちは,実行委員会・集会をそれぞれが自由に情報発信する「広場」と考えています。

4 集会・実行委員会の特色
①立場を超えた「脱原発」の一致点での集まり
 実行委員会は,思想信条を超えて「脱原発」の一致点で、多様な団体・個人が参加しています。今年1月からはこれまで実行委員長であった三嶋健弁護士と、川崎市内での脱原発ネットワークである「脱原発かわさき市民」の学習院大学教授の川口洋一さんの共同代表体制となっています。
②活動報告・交流の場としての実行委員会
 実行委員会には、子供を守るために川崎市へ放射性物質汚染問題について働きかけるお母さんから、10年以上脱原発を訴えてきた人まで、実にそれぞれ多様な活動を行っている方が参加しています。実行委員会は、各参加者の活動報告・交流・ネットワークの場としての実行委員会になるように工夫をしています。実行委員会に初参加の団体には、毎回十分な自己紹介・活動報告の時間を取るようにしています。また、各実行委員会のはじめには、数人に,活動報告をしてもらい、問題意識の共有化、学習・交流の場としての役割も果たせるようにしています。
③川崎の地域に根ざした活動
 実行委員会は、地域に根ざした草の根の活動を行い、脱原発の裾野を広げることが、脱原発の声を大きくしていくことになると考えています。官邸前の金曜日行動に連帯して、川崎駅前で金曜日行動を行っているのも、この考えに基づきます。

5 是非ご参加下さい
 本年の集会、そして実行委員会の最終目標は、もちろん脱原発にあります。さらに、究極目標は命より経済を優先する社会価値観の変革にあらねばなりません。福島原発事故は、福島の多大なる犠牲の下に、多くのこれまで政治に無関心であった国民に、この国の本質的な矛盾について気づかせることになりました。その「気づき」を、確実に社会にフィードバックしなければ、同じことは何度でも繰り返されることになります。にもかかわらず、先の衆議院総選挙では、経済政策を第一に掲げ原発政策の推進を目論む政党が勝利し、福島の悲劇の教訓は活かされていません。選挙結果の分析からは、前選挙より1000万人も投票者数が減り、戦後最低の投票率を記録したことが明らかになりました。これは、私たちが訴えていた原発問題が国民にとって重要な争点化しなかったことを意味します。私たちの運動としての広がりが不十分であった結果です。
 国民の世論の7割である脱原発の声を結集し伝えるために、本年の集会に是非ご参集ください。

【昨年2012年3月11日の集会の様子】(HPより抜粋)
・原発ゼロへ昨年は集会に1650名が参加
 2012年3月11日。川崎市・中原平和公園には1650名の参加者の熱気につつまれました。
 福島第一原子力発電所事故と東日本大震災から一年となる節目の日に、震災犠牲者への黙とうを会場全体で捧げるとともに、脱原発、原発ゼロを訴える集会がおこなわれました。
 メイン会場の周辺には、実行委員会に参加する各団体の展示ブースや模擬店が並びました。
 集会後、原発ゼロを掲げて会場から元住吉ブレーメン通りを経て武蔵小杉駅までデモ行進をおこないました。
 お互いの意見の違いを超えて、広範な市民が原発ゼロの実現のために実行委員会をつくりとりくんだ集会でした。

 

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就活自殺をなくすためにできること/小野 通子 2013.2

2016年8月17日 水曜日

平成10年の不況時に自殺者数が急増して以来、日本の年間自殺者数は3万人超えで高止まりしていましたが、近年の市民や行政の活発な活動もあり、昨年ようやく年間自殺者数が3万人を切りました。しかしながら、学生が就職に失敗して自殺に至る「就活自殺」は近年特に急激に増加しており、平成22年の「就活自殺」は平成21年の2倍、平成19年の3.5倍にもなりました。

 そこで、当職の所属する横浜弁護士会自殺問題対策プロジェクトチームでは、今年、「STOP就活自殺」をテーマに相談会およびシンポジウムを行いました。

 相談会は、平成24年9月29日と平成25年1月26日の2回開催し、就職活動に悩む若者の相談を数多く受けることができました。しかし、ここにつながることのできた若者は就職活動に悩む若者のほんの一部に過ぎないことは実感せざるを得ないところです。

 シンポジウムは「就活自殺の実情と防止策」とのテーマで、平成25年1月26日に関西大学経済学部教授の森岡孝二先生をお招きして開催しました。自殺というナイーブなテーマの中でも「就活自殺」に絞り込んだテーマであったことから、どれだけの方に来場いただけるか心配していましたが、当日は土曜の夜であるにもかかわらず、開講記念会館1号室をほぼ満席にするほどの方々にご来場いただきました。就活自殺の問題が待ったなしの問題として市民のみなさんに捉えられている証拠だと思われます。

 森岡孝二先生によれば、大学生の「就活自殺」急増の原因は厳しすぎる就職環境にありますが(平成24年3月の大学卒業者の22.9%(12万8224人)は無職か半失業状態とのことです!!)、現在はメンタルケアしか行われておらず、対策は甚だ遅れています。一方で、運良く就職できた大学卒業生もブラック企業と呼ばれる企業で直ぐに過労を強いられるため、新卒での過労死・過労自殺も急速に増加している状況です。

 「就活自殺」の最も有効な防止策は、現在働いている労働者の残業時間の規制を徹底し、新規雇用を創出することです。

 確かに、「就活自殺」の問題は直接的な被告が存在しないようにみえるため、弁護士が関わっても直接的な解決は難しい分野とも言えます。しかし、労働者とそれに寄り添う弁護士が、適切な労働時間・労働条件を勝ち取ることが、間接的にではありますが若者の自殺防止に役立っているのです。我々弁護士も、このことを心に留めて、これからも頑張りたいと思います。

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原発事故被害者とともに東電、経産省・文科省交渉に参加して/ 中瀬 奈都子 2012.12

2016年8月17日 水曜日

 11月20日、東電および経産省・文科省との交渉のため、福島、米沢、沖縄から200名を超える原発事故被害者が結集した。渡辺・川岸・私も「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団の一員として交渉に参加した。想定以上の集まりに席が足りず、床に座り込む人も出る異様な雰囲気の中、「原状回復、完全賠償、廃炉」といった要求を掲げて交渉をした。

 特に人々の印象に残ったのは、水戸から沖縄へ避難している若いお母さんの発言ではなかろうか。

 ――「子供の健康を守るために必死なんです。生活も何もかも変わってしまったのです。けれど私たち自主避難者には何も賠償されない。東電は線引きをせずに賠償すべきです。」

 安全な環境で子供を育てたい、健やかに成長してほしい――親ならば当然の思い。ふるさとを離れるという選択を強いられ、仕事で地元を離れられない夫と離れ、慣れない土地で子供を育てる大変さ。当然、生活費は二重にかかる。避難費用もかかる。しかし、東電は、原発に近い一定の地域からの避難者にしか、避難費用を賠償しない。

 国や東電は、十分な賠償を進めないどころか、特定の被害者にのみ賠償をすることで、被害者の間に分断を生じさせようとしている。上述したお母さんの訴えは、賠償の実態を端的に表している。

 原発事故の被害は実に多様である。農民は土壌を汚され、漁民は海を汚され、事業者は風評被害に苦しみ、お母さんたちは子供の健康被害を心配し――。

 交渉には、様々な立場の被害者が参加していたため、東電や国に、多様な被害実態を具体的にぶつけることができた。

 しかし、国も東電も、ひたすら被害者の声が枯れるのを、その時間が通りすぎるのを待っているかのような態度だった。形だけの回答を繰り返し、より一層被害者の怒りを買った。国と東電が言い訳のようにいう「責任がある」「ご迷惑をおかけした」という言葉が、「法的責任」を認めた上のものでないことは明らかだ。

 被害者に共通する要求である「原状回復」、「完全な賠償」を本質的に進めさせるためにも、国と東電の「法的責任」を明らかにしていかなければならない、と改めて決意を固くした。

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裁判所の覚醒を!/藤田 温久 2012.9

2016年8月17日 水曜日

1. 2009年12月の松下PDP事件最高裁判決(以下「PDP最判」)以降、裁判所は、大企業が強行した違法な解雇、雇止めを擁護・免罪し、非正規労働者の救済に背を向け続けています。

2. 派遣労働者については、PDP最判の「論理」に盲従し、偽装請負等の派遣法違反を認定しがら、行政取締法規違反に過ぎないから、派遣契約の効力に影響を与えないとして、派遣先企業の直接雇用責任を否定してきました。更に、2011年9月の日本トムソン事件大阪高裁は、派遣先会社の悪質な派遣法違反につき「労働者派遣法は労働者保護ではなく」「労働者に対して就労の場を提供する機能を果たしていることも軽視できない」なと驚くべき「認識」を示して、一審判決の不法行為の成立、慰謝料支払いをも取消しました。

3. 有期契約社員についても、2012年4月のいすゞ東京地裁判決は、「不況等の事情の変化による生産計画の変更に伴う要員計画に変更がない限り、契約更新により少なくとも2年11か月までは雇用が継続される合理的期待を有していた」と、契約更新に対する「合理的期待」を限定し、期間内の雇止めなので「解雇権濫用法理が類推適用される」として、雇止めの「合理性」を検討するとしましたが、「期間従業員全員について剰員が生じた」、「商用車受注の急激かつ大幅な減少がいつまで続くのか的確に予測することは困難であった」ことだけで雇止めに「客観的合理性」を認めました。こんな論理で「要員計画の変更」の合理性が認められ雇用継続の合理的期待権の範囲外とされるならば、それはトートロジーですから、常に、有期契約社員の雇い止めは合理的ということになってしまいます。これは、「有期契約社員といえども契約更新が繰り返された場合解雇権濫用法理の類推適用がある」という確立した最高裁判例法理を事実上骨抜きにするものです。

4. 一方で、最高裁判例に盲従し、他方で、最高裁判例法理すら骨抜きにする。そこに共通するのは非正規労働者を景気の調整弁として利用するという使用者側の願望をそのまま認める姿勢だけです。上記大阪高裁の「認識」が自白するように、財界とマスコミが作り上げた「新自由主義改革」「非正規労働が日本を支えている」という幻想こそが裁判官のもつ「偏見」の正体なのです。

5. しかし、経団連の指示に従い、自公政権、民主党政権が雇用破壊を続けた結果、日本の労働者の35%が非正規労働者となり、大学を卒業しても就職できない結婚もできない子供も産めないという異常な状態を作り出し、10年にわたり賃金が上昇せず国民の購買力が低下し、更に賃金切り下げと非正規化が強行されるという悪循環に陥っているのが現実です。
 今こそ、法廷内外の闘いにより、裁判所を「幻想」から覚醒させ、日本国憲法の三権分立制下で司法が担う人権保障機能を発揮させなければなりません。我が事務所の弁護士が弁護団に参加している「いすゞ」「日産」「資生堂・アンフィニ」各非正規切り訴訟事件は、今年後半から来年にかけて山場を迎えます。裁判所を覚醒させる突破口とするべく奮闘中です。ご支援を宜しくお願いします。

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国のエネルギー政策の転換をめざして/渡辺 登代美 2012.9

2016年8月17日 水曜日

自宅は中古のマンションなので、前所有者が残していったエアコンが3台ある。しかし、夏の稼働率はゼロ。これは原発事故とは何の関係もなく、夫は クーラーが嫌いで、私はクーラーで病気になるというだけのことだ。

 原発事故以来、世の中の冷房が全般的に弱くなって、過ごし易くなった。それにも拘らず、せっかく薄着でいられる季節に、ハイソックス、カーディガ ン、膝かけで完全武装しても下痢や吐き気に襲われ、精神衛生上とっても良くない世の中に逆行している事務所がまだ存在している。もっとも、「人の迷惑 より自分の健康」をモットーに、窓を開け放ってはいるが。

 閑話休題。

 7月から8月にかけて、政府の「エネルギー・環境会議」が、2030年までの日本の原発に対するあり方として3つの選択肢を設定し、パブリックコメントを募集した。この選択肢に関する「国民的議論」を踏まえて、8月に新しいエネルギー・環境戦略を決定するとしている。3つの選択肢とは、①原発ゼロ、②原発依存度15%、③原発依存度20~25%だ。

 東京電力福島原発事故の悲惨さを目の当たりにしながら、まだ原発に依存しようとする政府の姿勢は理解に苦しむ(本当はよくわかるんですけど。)。各地で行なわれている意見聴取会で電力会社の社員が原発擁護発言をして問題になったり、参加者の大多数が「ゼロ」を主張しているのに①~③の発言者の数を同数としたり、短時間で質疑応答もない形ばかりの「国民的議論」がなされている。

 そもそも、選択肢の中に、「直ちに原発をゼロにする」というのがないのはおかしい。毎週金曜日の夜、首相官邸前で原発再稼働に対する抗議行動が繰り広げられている。ドラムマーチやら、ジャンべ(アフリカの太鼓)やら、白い風船、チェの旗。再び、国内すべての原発を止めるまで、続けたいものだ。

 私、川岸、中瀬の3人が事務局として参加している「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団では、原発に依存する国のエネルギー政策に変更を迫るため、東京電力だけでなく、国をも相手とした裁判の準備を進めている。原発事故による被害の完全な回復を図るためには、国に責任を認めさせ、エネルギー政策を転換させなければならない。凄惨な悲劇を二度と繰り返さないように。

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