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根本孔衛弁護士が、2021年1月8日永眠しました。

2021年8月1日 日曜日

 2021年1月8日、当事務所の創設者のひとりである根本孔衛弁護士が95歳で亡くなりました。これまで根本弁護士と親交のあった依頼者と関係者の皆様にご報告申し上げます。

 根本弁護士は、「地域に根ざした活動」を合言葉に、1968年4月に当事務所を開設しました。以来、当事務所は、「自由・人権・統一」の理念の実現をめざして奮闘し、2018年4月には開設50周年を迎えることができました。
 根本弁護士の活動は、多岐にわたり、その取組みそのものは、現代に脈々とつながっています。川崎民商弾圧事件は、今の倉敷民商弾圧事件や重税反対運動に、東芝臨時工解雇事件は、今の非正規のたたかい、その立法闘争に、新島ミサイル射爆場事件は、全国各地の基地反対運動に、そして、沖縄違憲訴訟は、辺野古、高江の反基地運動や「沖縄差別」撤廃闘争に、それぞれ連なり、今もって色あせずに今日的課題となっています。

 最後に。根本さん、本当におつかれさまでした。ゆっくりとお休みください。そして、好きな本をじっくりとお読みください。

2021年8月

川崎合同法律事務所

略歴

1925年3月  千葉県五井生まれ
1959年    弁護士登録 第一法律事務所入所
全林野東北の刑事事件、安保6・4事件、新島ミサイル射爆場反対、入会権訴訟等を担当
1965年10月~1967年10月  自由法曹団事務局長
1968年4月  川崎合同法律事務所を本永寛昭弁護士と共に設立
1974年10月~1976年10月  自由法曹団幹事長
1979年4月  横浜弁護士会副会長
 この間、沖縄違憲訴訟、川崎民商弾圧事件、東芝臨時工事件、川崎公害裁判、日本鋼管人権裁判、日本ゼオン配転解雇事件や借地借家事件、民商関連事件等数々の事件を担当。そのほか、自由法曹団神奈川支部支部長、日本弁護士会連合会米軍地位協定小委員会委員長などを歴任。

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

くらしの法律講座オンライン(ZOOM開催・事前登録)

2021年7月16日 金曜日

川崎合同法律事務所では、くらしの法律講座を、ZOOMでオンラインで開催します。

事前登録の上、是非、ご参加下さい。

 

「18歳からもうオトナ!?」

18歳成年がなにをもたらすのか。民事法と少年法等について、その影響と対応

2021年8月7日(土)午前11時~ 講師:弁護士 畑 福生

 8/7(土)11時~お申込はこちらから。

 

「遺言だけでは安心できない。知っておきたい老後の話」

成年後見を中心に、認知症に備える基礎知識

10月2日(土)午前11時~ 講師:弁護士 星野 文

 10/2(土)11時~お申込はこちらから。

 

 PDFファイルは、こちらからご覧下さい。

2021kurashi

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

借家のトラブル-家を借りる前に知らないと困る基礎知識 (弁護士 星野文紀)

2021年7月12日 月曜日

 星野文紀弁護士については、こちらをご覧ください。

 

 賃貸のマンション・アパートに住んでいる人は多いですが、不動産賃貸は、普通の人は頻繁にする契約でないためトラブルや不安になることもあります。しかし、基本的な知識があると不安は大きく軽減されます。そこで、知っておきたい基礎知識をご紹介します。

土地を借りて自分の家を持っている人はこちら(借地トラブルのケーススタディはこちらをご覧下さい。)

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目次
第1 基礎的法律知識 
1 賃貸借のはじめに 
(1) 準備するお金は家賃の6ヶ月分が目安 
(2) 保証人は必要? 
2 契約更新 
3 賃貸借の終わり 
(1) 賃貸物件を明け渡す場合の手続き 
(2) 大家さんから明け渡しを求める場合 
(3) 契約の解除 
4 契約の終了後の精算 
(1) 敷金のもつ意味
(2) 敷金から差し引けるお金(原状回復義務) 
5 賃料が高すぎる、安すぎる。そんなときは 
(1) 傾向 
第2 弁護士に相談するメリット 

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第1 基礎的法律知識

1 賃貸借のはじめに

(1) 準備するお金は家賃の6ヶ月分が目安
 賃貸住宅の入居の際に必要なお金は様々ですが、首都圏では、礼金が2ヶ月、敷金が2ヶ月、仲介手数料が1ヶ月、前家賃1ヶ月が賃貸借契約の時に必要なことが多いです。しかし、その他にも火災保険料や損害保険料、家賃保証の費用がかかる場合もありますので、余裕をもった予算が必要です。

ア  礼金とは?
 賃貸住宅に入居するとき、大家に対して支払うお金です。礼金は、賃貸住宅から退去しても戻ってきません。礼金の額は物件によって異なりますが、およそ家賃の1~2ヶ月が相場です。近年は礼金ゼロの物件も増えています。礼金を支払うのは、賃貸借契約を締結するときです。

イ  敷金とは?
 将来、大家に損害を与えた時のために、入居時に大家に預けるお金が敷金です。敷金はあくまでも預けておく金銭ですから、原則的に退去するときに戻ってきます。ただし、家賃を滞納している場合や、入居者の負担で部屋を補修する必要がある場合には、その金額が敷金から差し引かれることになります。首都圏では、敷金の額はおよそ家賃の2~3ヶ月です。一部地域では家主に預け入れた敷金(保証金)の一部を退去時に償却する「敷引」と呼ばれる制度を採用している場合もあり、この場合は敷金の一部が礼金のような取扱いになります。

ウ  仲介手数料とは?
 仲介手数料は、家主と入居者との仲立ちをしている不動産会社に支払う報酬です。法律で最大でも家賃1ヶ月分に消費税を加えた1.1倍以内と決められています。実際には、1.1ヶ月分を請求されるケースが多いようです。近年は、仲介手数料は原則0.5ヶ月分という裁判の判断も出ています。0.5ヶ月という場合も増えると思われます。また、不動産会社から直接に賃貸物件を借りる場合は必要ありませんので仲介手数料ゼロとなります。

エ  前家賃とは?
 前家賃とは入居を開始する月の家賃を契約時に払うことです。建物賃貸借契約は、翌月分の家賃を先に払う契約になっている場合が多いので、契約の時点で入居開始月の家賃を前もって支払います。なお、月の途中から入居する場合は、前家賃として、その月の日割り家賃と翌月分の家賃を、一緒に支払うことが多いようです。

(2) 保証人は必要?
 賃貸借契約締結の場合、保証人が求められることが多いです。近年は保証会社による保証が求められることが多くなっています。破産等していると保証会社の審査が通らないこともあるので、心配な方は契約の条件等に注意してください。

2 契約更新

 賃貸借契約は2年ごとに更新することになっている場合が多いです。家主と借主が、合意によって、契約を更新する場合は、更新契約書を作成します。

ギモン 仲介手数料を払わなければいけない?
 更新の際に、仲介手数料を要求する業者がいますが、家主の立場で建物を管理している業者が、借主に対して、更新の際の仲介手数料を要求することは許されません。

ギモン 大家さんから更新を拒絶されたら出て行かなけれいけない?

 貸主が拒絶しても借主は原則的に更新することができます。これを法定更新といいます。法定更新とは、一定の要件を満たす場合に、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる制度です。不安な場合は、弁護士に相談してください。
 なお、更新契約書を作成しなくとも、契約は更新できます。

 

*注意* 定期借家契約に注意してください
 賃貸借契約の内、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことの約束を含むものを定期借家契約といいます。定期借家契約には、書面にしなければいけない、契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならないなど、法律上の要件がありますが、有効な場合は更新が認められず、期限が来たら賃貸物件をいやでも明け渡さなくてはいけない場合が出てきます。したがって、契約更新時に定期借家契約にならないように注意してください。
わからない場合は、弁護士に相談してください。

 

ギモン 更新料は払わなければいけない?
 契約に、更新料の支払が規定されていなければ、借主に更新料の支払義務はありません。もっとも、最近の借家契約では、更新料支払約定の規定が存在することが多くなっています。
 仮に更新料の支払約定があるのにもかかわらず借主が支払わない場合には、賃借人の債務不履行として、契約解除の理由になる場合があります。
 詳しくは弁護士にご相談下さい。

 

3 賃貸借の終わり

(1) 賃貸物件を明け渡す場合の手続き

① 退去の通知
 退去することを決めたらまず、退去の通知が必要です。入居時に取りかわした契約書に目を通し、退去通知の「時期」と「方法」について確認してください。法律上は6ヶ月前までに通知するようにされていますが、一般的に退去通知は退去の1ヶ月前までに通知すれば大丈夫な場合が多いのですが、1ヶ月以上前に通知しなければならないケースもありますので注意してください。通知が遅れると、明け渡し後も契約が終わってないとして家賃を請求される場合があります。
 通知の方法も、電話のみでいいのか書面の提出が必要なのかを確認しましょう。

② 引越し日の連絡
 引越し日が決まったら、不動産会社への連絡を忘れずにしましょう。この時、退去の立会いの日時を決めることが多いようです。

③ 引越し
 引越しまでに水道・電気・ガス・電話・インターネットの終了手続き(もしくは転居手続き)は終えておきましょう。

④ 退去の立会い
 部屋を明け渡す前に、管理会社や貸し主と室内のキズや汚れ等のチェックを行うことが多いです。

⑤ 鍵の返却
 鍵の原本と、合い鍵をもらっている場合は不動産会社に忘れずに返却します。合い鍵を返却しないと、防犯上鍵交換費用を求められることがあります。

⑥ 敷金精算
 敷金から契約書で定められている各種費用が差し引かれ、残金が返還されます。

(2) 大家さんから明け渡しを求める場合

 家主側からの解約には「正当事由」の存在が必要です。
 期間満了に伴う契約の解除には、上記の①6ヶ月前の解約通知と、②「正当事由」の存在が必要です。なお、法定更新によって期間の定めのない契約になっている場合でも同様です。

 「正当事由」の有無は、以下のことを考慮して判断されます。

①賃貸人、賃借人の双方が土地、建物を必要とする事情
②借地、借家に関する従前の経過(賃貸料滞納の有無、用法違反の有無など)
③建物の利用状況、現況(老朽化)
④財産上の給付の申出(立退き料など)

 むずかしい判断になるので、弁護士に相談されることをお勧めます。

(3) 契約の解除
 借主が家賃を払わなかったり、部屋を故意に傷つけたりして債務不履行(賃料の未払等の重要な契約違反)があった場合、家主側から契約を解除する場合があります。
 ただし、賃貸借契約は継続して存在する契約であって、当事者間の信頼関係により維持されていますので、1回程度の些細な賃料の不払いが直ちに契約解除が認められる訳ではありません。
 不払い回数だけでなく、不払い額、不払いに対する当事者の態度等を勘案して、当事者間の信頼関係が崩れるに至ったかどうかにより、解除の可否が判断されます。
契約が解除出来るかどうかも難しい判断になりますのでこれも弁護士に相談されることをお勧めします。

4 契約の終了後の精算
(1) 敷金のもつ意味
 敷金は、賃借人が賃料を滞納したり、賃借人が不注意等によって賃借物に対して損傷・破損を与えた場合等の損害を担保するために、賃借人から賃貸人に対して預け入れるものです。

(2) 敷金から差し引けるお金(原状回復義務)
 原状回復義務とその範囲(居住用建物を中心として)については、大まかにいうと、「経年劣化に伴う通常(自然)損耗」については原状回復の義務はありません。
 また、借主の退去後の「ハウス・クリーニング」「鍵の取り替え」など、新たに賃貸をするための必要経費は、原則、家主の負担となります。
 なお、退去時の原状回復の費用負担の振り分けについて、国土交通省が、下記のようなガイドラインを発表しています。

原則として賃貸人が負担:
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの(例:家具の設置による跡、電気焼け、日照や雨漏りなどで発生した床の変色等)

原則として賃借人が負担:
賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)(例:引越し作業で生じた傷、不注意による床の変色、壁等の釘穴、ねじ穴等)

参考)国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

*注意* 原状回復に関する退去の際のトラブルを予防するために
 入居時の状況を、写真撮影しておきましょう。特に、中古建物に入居する際は、原状を把握しておくために有用です。

 

5 賃料が高すぎる、安すぎる。そんなときは
 賃料増減額請求で不当に高かったり、安かったりする場合は、裁判所を利用して賃料を変えることが可能です。

(1) 傾向
 従前は賃料増額請求がほとんどでしたが、バブル崩壊後は、減額請求が増加しました。
また、建物の築年数が重なっていくので、借主としては原則的には、「せめて、現状維持を」と主張しておくのが賢明でしょう。また、建物の維持管理、修繕要求とも関連して、増額請求に対処しましょう。

(2) 紛争の解決手段
 また、法改正によって、賃料の増減額に関して、紛争が生じた場合には、いきなり裁判で争うのではなく、まず簡易裁判所で調停を申立てることが必要となりました。
(自主交渉→調停→裁判という流れとなります。)

*注意* 貸主から、賃料(家賃)の値上げ請求をされたら?
 適正な増額請求かどうかを見定めて交渉をする必要があります。
 もし、これまでの賃料を提供して、家賃が受け取りを拒否した場合、賃料の未払という債務不履行にならないよう、法務局に供託をしておきましょう。

第2 弁護士に相談するメリット

 賃貸借は、ある程度の知識がないと、不利な結果になることがあります。弁護士に相談する事で、どうしたらいいという不安な状況から抜け出せると思います。
 契約の内容によっては取り返しのつかないことになる場合もあり、契約時や問題が起きた時など、こまめに弁護士の助言をもらっておくことが、トラブルの防止のために大事です。
 住まいの問題は、精神的にも負担になることが多いので、早めに弁護士に相談することで気持ち的にも楽になることが多いです。

 

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

いつでも元気(2021年7月号No356)に、中瀬奈都子弁護士が掲載されました

2021年7月8日 木曜日

いつでも元気(2021年7月号No356、全日本民医連)に、中瀬奈都子弁護士が掲載されました。

「いつでも元気」について、こちらからご覧下さい。

中瀬弁護士の記事のPDFファイル

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アトーニーズマガジン(2021.07.01vol.76-77合併号)事務所探訪に掲載されました

2021年7月8日 木曜日

アトーニーズマガジン(2021.07.01vol.76-77合併号)事務所探訪に掲載されました。

是非、下記オンライン記事をご覧下さい。

川崎合同法律事務所【事務所探訪】Attoney’s MAGAGINE Online

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

7/16(金)司法試験受験生向け学習会のお知らせ

2021年7月5日 月曜日

令和3年(2021年)司法試験受験生の皆さま

 司法試験受験お疲れ様でした。受験後の期間いかがお過ごしでしょうか。

 合格発表までの間に,私たちの活動を少しでも知っていただきたく、学習会を企画いたしましたので、ぜひご参加ください。
 なお、司法試験受験生のみならず、修習生、ロースクール生、予備試験受験者も参加可能です。

 

日時: 2021年7月16日(金) 18時00分から

場所: 川崎合同法律事務所またはZOOM

テーマ:「建設アスベスト訴訟最高裁判決を受けた全面的解決への取り組み」

 

 当事務所の西村隆雄弁護士が解説を行います。
 建設アスベスト訴訟においては、アスベスト建材の製造・使用につき規制権限を行使しなかった国や、アスベスト建材を製造していた建材メーカーに対し、地裁及び高裁で勝利判決を勝ち取っており、このたび最高裁判決もなされました。
 神奈川建設アスベスト訴訟弁護団団長の西村弁護士から,被害者の想いに寄り添いながらも,弁護士としての知識をフル活用し、これまでになかった判決枠組みを勝ち取って行く弁護士の姿を学んでみませんか。

 なお、リアルでの参加の他、オンライン(ZOOM)での参加も可能です。もちろん参加費用は無料です。

 学習会参加希望の方は,044-211-0121 まで電話またはhata☆kawagou.orgまでメール(「☆」を「@」に変えて送信ください)にて、担当者の畑弁護士宛にご連絡ください。

 当日参加も可能ですが、特にオンラインの場合は連絡が間に合わない場合がございますので、できる限り事前のご連絡をお願いいたします。

 皆様のご参加お待ちしております。

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行政不服審査法シンポジウム-5年後見直しの課題-のご報告  (弁護士 小林展大)

2021年6月29日 火曜日

 小林展大弁護士については、こちらをご覧ください。

nichibenren

 

1 2021年5月17日(月),日本弁護士連合会主催の「行政不服審査法シンポジウム-5年後見直しの課題-」にパネリストとして登壇し,情報公開の分野における審査請求の問題点について報告するとともに,パネルディスカッションもしてきました。

2 この情報公開請求は,マイナンバー違憲訴訟の中で判明したものですが,マイナンバーを取扱う業務については,委託元の許諾を得なければ再委託してはならないこととなっているにもかかわらず(番号法10条1項),委託元の許諾を得ずにマイナンバーを取扱う業務を再委託して,マイナンバーが大量漏えいするという事故が続発したことから,その事故について事実関係を確認するために行っていたものです(現在もまだ情報公開請求の手続は続いています。)。

3 情報公開請求の分野における審査請求の問題点については,主に地方自治体における審査請求手続の問題点を報告しました。具体的には,審査庁において,弁明,反論という形で一通り主張させてから情報公開・個人情報保護審査会もしくは行政不服審査会に諮問している自治体もあれば,弁明書が提出されるとすぐに審査会に諮問してしまい,審査会において反論をさせている自治体があるという手続上のばらつき,行政不服審査法31条1項に基づく口頭意見陳述及び審査会での口頭意見陳述の案内をしている自治体もあれば,同案内をしていない自治体もあるという問題,審査会への諮問後に意見書等の提出の機会を与えている自治体とそうでない自治体があるという手続のばらつき,審査会で口頭意見陳述をしたときの審査会の委員の姿勢の違い等を報告しました。
  また,地方自治体の情報公開請求の審査請求手続については,情報公開条例により,2014年の法改正で導入された審理員による審理制度を適用除外としている自治体が多いですが,審理員による審理制度がなされた自治体については,その審理の経過も報告しました。
  そのほか,審査会の答申と裁決の傾向,審査請求手続における対象文書の追加特定についての問題点,当初不存在とされた文書が実は存在していて後に部分公開決定がなされたという実例等も報告しました。

4 パネルディスカッションにおいては,行政不服審査における論点をいくつかピックアップして,その各論点につき,ディスカッションをしました。

  具体的には,弁明書・理由説明書の記載が不十分ではないかと考えられること,処分庁の主張を基礎付けるような証拠,資料等があまり提出されず,物件提出要求申立(行政不服審査法33条)をすることになることもあること,口頭意見陳述の実情,口頭意見陳述の活発化等といった各論点について,コーディネーター及びパネリストでディスカッションをしました。

5 シンポジウムに向けた準備をするために,自分自身で行っていた情報公開請求及び審査請求を振り返ってみて,手続の相異として興味深い点もあれば,改善が必要ではないかと思う点も見つかり,行政不服審査の実務上の問題点を見つめ直す良い機会となりました。

  特に,口頭意見陳述の活発化,口頭意見陳述を有意義,有益なものとするための努力は,制度を利用する者としての今後の重要課題であろうと考えられます。

以上

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

2021年7月14日(水)18時~「コロナ・パンデミックと日本資本主義」講師:友寄英隆先生(講演会企画・参加費無料)

2021年6月2日 水曜日

 PDFファイルは、こちらからダウンロードできます。

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 新型コロナウイルス感染症の拡大感染は、私たちの暮らしや働き方に様々な変化をもたらしました。貧富の格差は拡大し、新たな差別も生じています。今年秋までに行われる衆議院選挙では、当面の対策とともに、コロナ・パンデミック後の社会をどう構築するかが、重要な争点となるべきです。

 そこで、友寄英隆先生をお招きし、科学的社会主義の立場から、コロナ・パンデミックについての考察とそれをもとにしたコロナ禍後の日本資本主義の課題について、お話しいただきます。ふるってご参加下さい。

 

投稿者 川崎合同法律事務所 | 記事URL

首都圏建設アスベスト神奈川1陣訴訟、最高裁で勝訴しました!!(弁護士山口毅大)

2021年5月18日 火曜日

 2021年5月17日、首都圏建設アスベスト訴訟(神奈川訴訟1陣)において、最高裁判所で、国と建材メーカーの責任、更に一人親方等の救済を認める勝利判決を勝ち取りました。

 

 首都圏建設アスベスト訴訟は、建築現場における作業を通じて石綿粉じんに曝露し、中皮腫や肺ガンなどの石綿関連疾患を発症した被災者及びその遺族が、国と建材メーカーを相手に訴えた訴訟です。当事務所からは、神奈川訴訟の弁護団団長である西村隆雄弁護士、藤田温久弁護士、小野通子弁護士、星野文紀弁護士、川岸卓哉弁護士、中瀬奈都子弁護士、山口毅大弁護士、小林展大弁護士、畑福生弁護士が弁護団に加わっています。

 

 2008年、国と建材メーカーに損害賠償を求める首都圏建設アスベスト訴訟(東京・神奈川)を提起し、これ続き、2011年には北海道、京都、大阪、福岡の全国各地で、同様の訴訟が提起されました。
原告は、大工・保温工・電工・左官・配管工・解体工などの建設作業に従事し、肺がん・中皮腫・石綿肺などの石綿関連疾患に罹った被害者であり、被告は、国及び石綿含有建材を製造販売した40数社の企業です。
いずれの訴訟においても、国に対しては、石綿の危険性を知りながら、防じんマスクの着用義務付けや製造・使用禁止措置などの規制を怠ったこと、建材メーカーに対しては、危険な石綿建材を製造販売し続け、製造販売にあたり適切な警告表示を行わなかったことなどの責任を追及してきました。

 

 国、メーカーの責任、更に一人親方等の救済を認めた最高裁での勝利判決は、建設アスベスト訴訟の被害補償基金制度の創設に向けて大きな武器となりました。特に、一人親方等についても、国の責任を認めたという点で、世論、政治に訴える力は極めて大きいものです。

 

 テレビ、新聞等、各メディアで大きく報道されました。

 提訴してからすでに13年が経過しました。この間、全国各地で建設アスベスト集団訴訟が提起され、原告の総数は、今回最高裁判決を受けた4事件を含め、被災者単位で900名を超えていますが、そのうち7割を超える者が亡くなっております。もはやこれ以上の解決の引き延ばしは許されません。

 2020年12月14日、東京1陣訴訟における最高裁判所第一小法廷の上告受理決定により国の法的責任が確定し、同年12月23日、田村憲久厚生労働大臣は、原告代表者を大臣室に招いて謝罪するとともに被災者救済のための協議の場を設けるとの考えを示しました。

 

 国は本最高裁判決を真摯に受け止め、全国の建設アスベスト訴訟を速やかに和解によって解決すべきです。

 

 また、建材メーカーらも徒に訴訟を引き延ばすことなく、早期解決のため、和解のテーブルに着くべきです。

 

 さらに、アスベスト関連疾患による労災認定者はこれまでに約1万8000人に上り、建設業がその半数を占め、石綿救済法で認定された被害者の中にも相当数の建築作業従事者が含まれています。また建設アスベスト被害者が今後も毎年500~600人ずつ発生することが予測されています。

 そこで、これらの被害者が裁判などしなくとも早期に救済されるよう、「建設アスベスト被害者補償基金」を創設することが喫緊の課題となっています。現在、与党建設アスベスト対策PTにおいて協議が進められていますが、国及び建材メーカーは、与党PTと連携し、基金創設に向け最大限の努力をすべきです。

 

 私たちは、「建設アスベスト被害者補償基金」の創設まで、全力を尽くして参ります。

 

 

 

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離婚後にどれくらい養育費をもらえるか知りたい ~養育費について~ (弁護士 中瀬奈都子)

2021年5月7日 金曜日

 婚姻費用については、こちらをご覧ください。

 離婚したい!となったときに、一番に頭に浮かぶのはお金の問題ではないでしょうか。
 別居期間中の生活費、養育費、財産分与、年金分割、不貞行為やDVなどの慰謝料・・・後悔することがないよう、相手方としっかり話し合い、納得のいく合意を形成する必要があります。
 今回は、養育費について取り上げます。

 

■「養育費」とは?

 

 未成熟の子どもが生活するために必要な費用(衣食住にかかる費用、教育費、医療費など)を「養育費」といいます。
 夫婦が離婚する際、未成年の子どもがいる場合、その子どもの親権者をどちらかに決めなければなりません。
 親権者にならなかった親も、子どもの親である以上は、扶養義務があり(民法877条1項)、離婚をしても養育費を分担する義務があります。
 その内容は、子どもが最低限の生活ができるための扶養義務ではなく、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を保持させる義務(生活保持義務)です。
 子どもは親に対して直接、扶養義務の履行として「養育費」を請求することができますが、通常は、子どもの親権者が他方に対して、「養育費」の支払いを求めます。

【ポイント】
・離婚をしても、親であることは代わらないので、親権者でない親も養育費を分担しなければならない。

 

■「養育費」はいくらもらえるものなの?金額のほかに決めるべきことは?

● それでは、離婚後、親権者になって子育てをするとして、相手方にどれくらい「養育費」を支払ってもらえるでしょうか。
 基本的には、「婚姻費用」を決める場合と同じです。
 いくらにするかは、夫婦で自由に決められます。
 まずは、夫婦間で話し合いをし、協議で決まらなければ、調停の手続の中で、金額や支払方法を話し合うことになります。通常は、離婚条件を決めるにあたって「養育費」についても話し合うため、離婚調停を申し立てて、その中で話し合うことが多いです(養育費を決めずに離婚をして、後で養育費分担の調停を申し立てることもできます)。
 もし、調停で話し合いをしても決着がつかないときは、離婚訴訟の中で(あるいは養育費分担の審判手続の中で)、裁判官に決めてもらうことになります。
 調停、審判、訴訟といった裁判所の手続きを利用する場合、「養育費」は、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとにして、計算することになります。
 そのため、夫婦間で話し合う際にも、合意に至らず裁判所の手続きにうつることを想定して、「算定表」をもとに決めることが多いです。 

 

● 「養育費・婚姻費用算定表」が2019年12月23日に改定されました!
 2019年12月23日に新しい「養育費・婚姻費用算定表」が公表されました。
 最新の統計資料に基づいて更新されたもので、従前の「算定表」よりも、一般的には増額されています!
 ★新しい「算定表」はこちら!

 

● 新しい「算定表」を見てみましょう
 「算定表」の見方は、まず子どもの人数と年齢に合った表を選び、義務者(支払う側の配偶者)の年収欄と権利者(支払われる側の配偶者)の年収欄が交差する点を確認します。そこに書いてある金額が、標準的な「養育費」の額です。
なお、年収については、給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を見ることになります。

例:会社員の夫 年収400万円  パートの妻 年収 75万円 
  子ども 6歳 離婚後、妻が親権者として子育てする場合

→ まず、表1を見ます。

 縦軸(義務者の年収/万円と記載されている軸)の左側の数字で「400」のところから右方向に線をのばします。横軸(権利者の年収/万円と記載されている軸)の下側の数字で「75」のところから上に線をのばします。この二つの線が交差する、「4~6万円」が、義務者が負担すべき婚姻費用の標準的な月額を示しています。

 

● いつまで支払ってもらうか(成人まで、と諦めないで)
 「婚姻費用」と違って、「養育費」の場合、支払いの終期を決める必要があります(「婚姻費用」はその概念からおのずと、終期は「別居又は婚姻関係を解消する時」と決まります)。
 養育費分担義務の対象である子どもとは、未成熟子、つまり、自己の資産または労力で生活できる能力のない者をいうとされています。
 一般的には、成人して働く能力があれば未成熟子とは言えませんが、心身の障害によって働けない場合は成年に達していても未成熟子と言えますし、夫婦の収入や学歴、社会的地位から子どもが大学に進学してしかるべき場合は大学生も未成熟子と言えます。
 夫婦双方が大学を卒業しており、離婚時の子どもの年齢からして進路がある程度明確になっているケースの場合、大学に進学することを前提に終期を決めるケースが多いです。
 その場合、「子どもが大学を卒業するまで」という決め方ですと、浪人や留年等によって卒業する年がのび、終期をめぐる争いが生じかねません(また、不特定な文言にすると、強制執行する際に問題になり、強制執行できないということもありえます)。そのため、「22歳に達した後に到来する3月末日まで」などと明確に決めておくことをおすすめします。
 子どもの心身の状況や就学状況はまちまちです。その子に応じた終期を決めることをおすすめします。終期をどう決めるかや、後に争いにならない文言の定め方は、お子さんのことだからこそ、とても重要です。是非、弁護士にご相談ください。
【ポイント】
・養育費の支払終期は、必ず成人までというわけではない。
・子どもの心身の状況や就学状況、親の学歴等によって、成人時を超えた終期を決めることも可能。
・後に争いにならないような文言にしておくことも重要。弁護士にご相談を!

 

■養育費を支払ってもらえない!とならないように出来ること

 

 法務省の検討会議が、2020年にまとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は、なんと24%とされており、養育費の不払い解消策は、法制審でも論点になっているほどです。
 では、せっかく決めた養育費を支払ってもらえない!なんてことにならないように、対処することはできないでしょうか。
 調停や裁判といった裁判手続で決まった場合には、裁判所が作った調停調書や和解調書、判決書をもって、強制執行することができます。つまり、支払義務者の預貯金や給料などを差し押さえて、そこから直接回収するということができます。
 では、裁判所の手続を使わず、話し合いで決めた場合はどうでしょう。
 単なる「合意書」では、不払いが生じたときに直ちに強制執行することはできません(裁判手続を経る必要があります)。そこで、合意内容を、強制執行認諾文言を入れた「公正証書」にすることをおすすめします。
 公正証書は公証役場の公証人が作成する公的な契約書です。最大のメリットは、「強制執行認諾文言」を入れておけば、調停調書や和解調書、判決書と同じく、直ちに給与の差押え等の強制執行ができるという点です。
 公正証書を作成する際には、公証人に対し、作成費用を支払うことになります。公証人手数料は公正証書に載せる条件(養育費、財産分与、慰謝料など)の金額によって計算される仕組みになっています。概ね数万円程度の費用にとどまりますので、安心のために作成することをおすすめします。
 公正証書を作る際に、きちんと、強制執行が可能な文言にしておくこともお忘れなく。文案の作成と公証人とのやりとりを弁護士にご依頼いただくことも可能です。

【ポイント】
・協議で養育費を決めた場合は、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておく。
・公正証書の案の作成は、ぜひ弁護士にご依頼を!

 

 川崎合同法律事務所では、年間150人を超える方々から、離婚・男女トラブル・子どもに関するご相談をいただいております。たくさんの事例を経験しているからこそ、依頼者のみなさまそれぞれのご事情に応じた解決策を立てることができます。     
 女性弁護士が多数在籍していることも当事務所の大きな特徴です。
 ご家庭の問題で悩みを抱えたときには、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

弁護士 中瀬 奈都子

 

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